小休止(11) 奈良・大阪・和歌山の6塔を巡る

小休止(11) 奈良・大阪・和歌山の6塔を巡る

 1月、2月は、たびたび寒波が襲来し、例年にない寒さが続いた。また、家族中で風邪をひいてしまい、旅に出ようにも出られない状況であった。
 3月になってやっといくぶん寒さも弱まり、また風邪も収束し、天気予報では、11日から13日の3日間、晴のち曇となっていたので、いよいよ出発することにした。
 しかし、3月半ばというのに、また寒波が訪れ、初日は、晴れてはいたが寒く、2日目は、午前中は良かったが、3時ころから天候一転雪が降り出し、奈良盆地は一時車窓が真っ白になるほど降った。大阪に入ると日差しが輝き、目的地に着いたら、またみぞれから雪と、変化の激しい一日であった。3日目も、朝からお日様が照ってはいたが、風は冷たく、3日間、ジャンパーを脱ぐことができない毎日であった。

3月11日(日)


大宮→8:40/高崎線/9:06→上野→9:14/山手線/9:22→東京→9:33/新幹線ひかり507号/12:30→新大阪→12:45/山陽本線快速/12:49→大阪→12:59/JR西日本大和路快速/13:40→大和小泉大和小泉駅東口→14:00/奈良交通バス/14:08→松尾寺口→徒歩25分/→松尾寺(14:35〜15:00)

 
 松尾寺口でバスを降りる。道はほとんど真っすぐ松尾寺へと続く。途中に貼られたポスターに「まつのさんまいり」松尾寺の初詣のお知らせがあった。地元では、「まつのおさん」で親しまれているようである。距離にして、半分から先は、山道となり、かなりの傾斜を登る。車は、前からも後ろからも続々と来る。バス停からほぼ30分、やっと駐車場が見えてくる。かなりの車が駐車している。松尾寺に入ると、厄除修行の声が本堂から響いている。修業を終えた人たちが境内を巡っている。また鐘がひっきりなしに打ち鳴らされている。皆さん厄除まいりである。


松尾寺→徒歩20分→松尾寺口→15:23/奈良交通バス近鉄郡山駅行き/15:40→近鉄郡山→16:01/近鉄橿原線/16:17→大和八木→16:28/近鉄大阪線準急/16:32→松塚→徒歩30分→百済寺(春日若宮神社)(17:00〜17:30)


 松塚からの道は、狭い。狭い道を車が追い抜いていく。道の両脇は田圃。足を止めて車が行き過ぎるのを待つ。 20分ほど歩くと百済集落。集落の中の道は細く、くねくねと曲がる。行き先が分からなくようである。急に開けたところに、塔が立つ。三重塔とその前を塞ぐ鳥居。

右に回りこむと、大きな公園が広がる。夕暮れに三重塔だけが立つ。本堂その他の堂はまったくない。背後に若宮神社の本殿があるだけである。日暮れて寒くなる中、松塚駅にまっすぐつながる田圃の中の道を引き返す。まっすぐな道であることがよけいに恨めしい。


百済寺→徒歩30分→松塚→18:04/近鉄大阪線/18:09→大和八木

大和八木泊


3月12日(月)


大和八木→8:14/近鉄橿原線/8:19→橿原神宮前→8:25/近鉄南大阪・吉野線急行/8:33→尺土→8:35/近鉄南大阪・吉野線/8:38→当麻寺→徒歩12分→当麻寺(8:50〜9:30)


 当麻寺駅から当麻寺へと向かう道は、黄色く着色されていてわかりやすい。両側には、屋根に七福神を載せた家々が続く。途中には、相撲博物館があった。「当麻の蹴速」の誕生の地である。4月には、葛城場所があるという。周りに幟が旗めいている。

 当麻寺に近づくと東塔、西塔の2塔が見えてきた。2塔が並び立つのは、ここだけである。しかし、2塔を一緒にカメラに収めるのは難しい。

 朝が早いせいか、境内には、参詣する人はいない。あちらこちら修復中であり、いるのは、工事の人ばかりである。
 西塔は、まっすぐに向かう道があり、正面からとらえることができる。しかし、東塔は近くに寄ることができない。中の坊に入る。庭園内も工事が入っており、塔のある山方向は、立入禁止になっている。中の坊の庭園越しに東塔を眺める。


当麻寺→徒歩12分→当麻寺→9:45/近鉄南大阪・吉野線/9:48→尺土→9:51/近鉄南大阪・吉野線急行/10・07→壺阪山→10:15/奈良交通バス/10:30→壺阪寺前→徒歩5分→壺阪寺(10:35〜11:25)


 壺阪山駅で乗車していた客のほとんどが降りる。こんなに壺阪寺にお参りにいる人がいるのかと思ったら、今日は、「町家のひなめぐり」があるとのこと。3月いっぱい行われており、期間中、各家で雛が展示されるとともに、手作り雛の作家展やC級グルメ選手権など、多彩な行事が開催されるという。
 壺阪寺もコースに取り込まれている。バスは、7、8人のおばちゃんのグループと一緒。関西のおばちゃん一人でも賑やかなのに、グループではたまらない。お寺の境内に入っても、賑やかなおばちゃんたちの声がついてきた。

 高取町のあちこちに「日本一の山城とくすりのまち」の立て看板がある。駅前でひなまいりの案内をしている観光協会の職員らしき方に、「くすりの町とあるが、どうしてですか。」と聞くと、「この町のくすりの歴史は、古代から始まる。」との答えが返ってきた。「飛鳥時代には、推古天皇聖徳太子や伴を率いて、高取の山野で薬狩りを行ったと伝えられている。」「修験者によって大和の薬が 、全国に広められたのが、大和売薬の興りとなった。」、「江戸時代には、高取城植村藩主がトップセールスを行った。江戸参勤の際、他の藩主に薬を贈り、全国の販路拡大を図った。江戸中期頃からは置き薬として各地を行商した。」
 江戸の町屋には、富山の置き薬と並んで奈良の置き薬があったそうである。


壺阪寺→徒歩5分→壺阪寺前→12:00/奈良交通バス/12:15→壺阪山→12:22/近鉄南大阪・吉野線急行/13:12→大阪阿倍野橋→徒歩5分→天王寺→13:32/関西本線快速/13:34→新今宮→13:42/南海電気鉄道空港急行/14:12→貝塚→14:15/水間鉄道/14:29→水間観音水間観音(14:30〜15:10)

 
 水間観音駅は、水間寺の三重塔を模した駅舎である。

 駅を出ると、外はみぞれ、みぞれの中を水間寺に急ぐ。「天台宗別格本山 水間寺」の標柱を過ぎると、近木川を渡る橋、厄除橋である。お参りは、厄除橋を渡るのが正式である。みぞれの中、観光バスで来た参拝客がはしって、渡りに来る。
 境内に入ると、三重塔がひときわ目立つ。本堂の前に立ち、遮るものはない。堂に入ると、僧侶が、「どちらから来られたのですか。」と、にこやかに聞く。由来を記載したパンフレットなど、様々資料をいただく。「これからどちらに」と、聞くので、「道成寺と」答えたら、「それはまた遠いところへ、お気をつけてお出でください。」と、言葉が返ってきた。


水間寺水間観音→15:17/水間鉄道/15:32→貝塚→15:43/南海本線空港急行/15:47→泉佐野→15:50/南海本線/16:26→和歌山市→16:31/JR紀勢本線/16:37→和歌山→16:46/JR紀勢本線/17:55→御坊


御坊 泊


3月13日(火)


 電車の本数が少ない。ホテルを8時30分に出て、歩いて道成寺に向かう。車の通りがかなり頻繁である。トラックが来ると、身を小さくして脇に寄る。15分ほど歩くと、右が道成寺と道標が指し示す。右に曲がると、小さな踏切。踏切の正面遠くに石段と山門が見える。手前には、お土産が並ぶ。まだ時間が早いので、開店準備中である。石段わきにある土手状のものは、遠近法で上は大きく、下を小さく出来ているとのこと。参詣客に石段を短く見せる工夫と、説明文に記載している。

 62の石段を登ると、山門の先に本堂、三重塔等が見える。もっとケバケバしたものと勝手に想像していたが、落ちいた雰囲気である。本堂の前の枝垂れ桜、左手の入相桜、その名も、「京鹿子」、いずれも枝の先がわずかほころびてきた程度である。何か、暖かさを感じさせる。


道成寺→9:47/JR紀勢本線/9:50→御坊→10:06/JR西日本特急くろしお10号(自由席1360円)/11:50→新大阪→12:13/ 新幹線ひかり516号(自由席4730円)/15:10→東京→15:19/京浜東北根岸線/15:24→上野→15:30/高崎線/15:55→大宮

 
 特急くろしお号の車内販売で、「柿の葉すし」を買う。鯖の押しずしを柿の葉で包んである。柿の葉ごとぱくりと食べてしまったら、口の中がもぞもぞする。説明文を読んだら、包んである柿の葉を取って、鯖の旨みと柿の葉の香りをしみ込ませたすし飯の深い味わいをお楽しみくださいとある。