平日の記録



併設のカフェで食べた甘いもの。
この春リニューアルオープンした南池袋公園内のRacines FARM to PARKにて、アイスコーヒーに、ワッフル・クラシック。クロテッドクリームメープルシロップが添えられているもので、かなり時間がかかった。居心地はよく、店内も外(公園内)も賑わっていた。二階はブックカフェになっており、本の数は少ないけれど、私の好きな「ファーブル植物記」があったのでめくってみる。
赤城神社の境内のあかぎカフェでは、豆乳のホットケーキ。豆の匂いがして、超もちもち。窓際の席は雨なら雨で眺めがいい。

トリプル9 裏切りのコード



これは面白かった。格別クールなわけでも逆に泥臭いわけでもなく、ごくごく「普通」の内容が丁寧に撮られている。私はこういう映画、好きだなあ。


オープニングは暗闇の中での男達のやりとり。まず声が響き、次いで顔が映し出される。そのうちその場が、「しぶい店」でも部屋の中でもなく狭い車内だと分かる。後にウディ・ハレルソン演じるジェフリーが甥のクリス(ケイシー・アフレック)に「警官は、昼は化け物を退治して、夜は家に帰るんだ」と言い聞かせるが、汚職警官達が顔を突き合わせるのが大抵暗がりなのは、彼らに帰る家が無いからにも思われた。「本物」の家族を求めるが得られないマイケル(キウェテル・イジョフォー/彼だけが「警察経験」を持たない)は「俺達は家族だ」と口にする。例え「家族とばれてはいけない家族」であっても。


男達に次いで、子どもに本を読み聞かせている女が二人続けて映る。うち一方の、ケイト・ウィンスレット演じる「プーチンが恐れて刑務所に入れた」マフィアのボス、の妻イリーナが、車のトランクの中のあるものを確認する姿が挿入される。確かに彼女の権力はボスの「妻」ゆえのものだが、その描写の「普通」ぽさ、「女」ならではのものとされる要素の無さは心地よくありがたい。中盤、尻の割れ目が見えそうなスカートを履いたその妹(ガル・ガドット)が帰宅すると、奥の部屋に膝丈程度のスカートのイリーナが脚を組んで腰掛けている、そのどちらの様も「普通」で素敵なのだ。


「Triple 9(原題)」の意味は早々に説明される。職務中の警官が撃たれた際に使われる警察コードのことである。これを利用し、その間に強盗をするというアイデアがまずいい。自分も常に「それ」にさらされている警官達がその案について話し合う様子も、計画が狂って仲間が撃たれたと知らず無線の「999」に飛び出していく様子もぐっとくるけれど、強盗実行シーンとクロスカッティングで描かれる、ジェフリーが「999」の現場に向かう様子が面白い。手を替え品を替え「車を飛ばしている」ことが示されるだけのこのくだりは楽しい。サイドミラーが吹き飛び、歩道の女の髪が揺れる!


ここアトランタでの警官たちの仕事は「戦争」である。コンビを組まされたマーカス(アンソニー・マッキー)とクリスの間のわだかまりは、ある出動(での出来事)を機に無くなる。しかしここで生まれた「絆」めいたものとは何だろう?その後のバーでのやりとり「昨日の発砲を覚えていない」「よくあることさ」「お前には無い」から分かるように、これは「戦場に長く居るものは病む」という話なんである。ジェフリーの場合は酒と薬と「アメリカ」で自身を締め上げることで、「正義」の立場に居ることを保っているのだ。彼との最後のやりとりでクリスが「セラピーに通ったら」と勧めることから、甥の方はもしかしたら、今後も大丈夫かもしれないと思わされた。