週末の記録



練馬区立美術館で開催の始まった「19世紀パリ時間旅行」へ。「大改造」以前・以後のパリを描いた作品(「地図」や「ドレス」まで)を詳細な解説と共に展示するもので、いかにもこの美術館らしいと楽しみにしており、実際とても満足した。他の展覧会だってそうじゃないかと言われそうだけど、面白い本を一冊読んだというような感じ。解説の比重が(私は当時の事をよく知らないから)大きいというのもあるかな。


帰りに池袋を通りすがりに、ミスドのto go専門店というのを見つけて限定ギフトセットを購入。小さな揃いの「カラフル・ポン・デ・Jr.」が可愛い。

笑福亭たま 深川独演会



古今亭ちよりん「本膳」
笑福亭たま「山寺瓢吉」
ニックス(漫才)
笑福亭たま「お玉牛」
 (中入)
三遊亭歌る多「替り目」
笑福亭たま「ショート落語〜オール電化
 (4/21・深川江戸資料館)


独演会の会場が心理的に少し遠いということもあり、好きな噺家さんの一人なのになかなか見られていない。今回は、歌る多さんがゲストとは新鮮な組み合わせだなと思い予約してみた。
この日は全演者に客席から声が掛かっていたけれど(「たっぷり」「待ってました」じゃなくとある事情での「がんばれ!」も・笑)歌る多さんへの期待度もかなりのもので、そのせいだけじゃないと思うけど、高座もいつもより熱かった。「春団治師匠と彼(たま)はいい男だから目を見て話せない」んだって(笑)「お玉牛」を聴いてどうだったろう?


中入前の枕で「落語会における携帯電話問題」についてのアンケート。「自分が鳴らしてしまったことも他人が鳴らした場に居たこともなく、もし誰かが鳴らしても特に気にならないだろうと思う人」にかなりの手が挙がると(私もそう)「そういう人ほど鳴らすので是非チェックしてください!」。確かにそうかもしれない(笑)
ちなみに「自分の会では9割がリピーターなので(鳴らす人はまず居ない)」と言っていたけれど(それは本当だろう)こういう、はっきりと自分の仕事を管理している感じ、私は好きだな。


普段は白鳥さんの、しこしこ作っては山手通りを歩きながら練りに練った噺を聴いてるもんだから、「オール電化」のような、作りがどうというより、これ面白くない?という勢いの方が強い噺(いや、比べたらそうでしょう!)が妙に新鮮で、笑ってしまった。
枕やくすぐりにぎゅうぎゅうに詰まった政治ネタに、普段ニュースで読んでるようなことを大阪の人が取り上げると、全国的な問題なのに外国人の目線のようなものを感じるというか、東京も地方なんだと再確認するのは、とはいえ名古屋に帰省した時にはそう思わないから、何と言うか、私にとって大阪は特別なんだろうなあ。そもそも上方の落語の方が「ナマ」っぽく聞こえるのは、私が結局は共通語圏の人間じゃなく、江戸の言葉がよそゆきだからだと思う。

スウィート17モンスター



主人公ネイディーンの小学生の頃の回想に、登校時に車から降りない彼女を母親(キーラ・セジウィック)が何とかしようと無理強いする場面があるのに、なぜ父親はそうせず母親はそうするのかと思っていたら、中盤、母親には出勤時間が迫っていたからかもしれないと推測できる。
高校生になったネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は、車どころか「免許も持っていない」(いわく「試験に落ちた」)。そのことが実際にどうというんじゃなく、運転するようになれば乗せる側にも事情があると理解する切っ掛けになるところが、分からないまま17になってしまった。そんな彼女が、映画の最後には自転車で世に漕ぎ出す。うんと時間が掛かる距離なら、うんと早起きして。


ネイディーンに「車を降りなさい」とはっきり諭すのは、ブルーナー先生(ウディ・ハレルソン)である。親だけじゃなく教師もまた、子どもの成長に大切な役割を果たす。授業での言い間違いを(次の授業時に!)指摘する彼女に「揚げ足取りは人生の無駄だと思わないか?」と返すのは笑える応酬のようだが、当人は真面目に受け取り「思わない」と言ってのける。先生は「成長を願う」。実はこの物語はここに要約されているのだった。母親も実に真っ当なことを言うが、娘には通じない。先生の妻の言う通り、年月が解決する部分も大きいのかもしれない。
旅行前にドレスからの二の腕について聞く母親への心無い返事、兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)にむかつくことを言われての「頭がでかくてバランス悪い」、あるいは憧れていたニックへの「古い車」。ダリアンの言う通り「正し」けりゃいいってもんじゃない、意味が無いように思われる「Have a good day」も大事なんだと、ネイディーンは最後に気付く。いや、見えていた向こう岸に飛び移れたと言うべきかな。


本作では、洗濯物が常に男子と共にある(いずれも親の留守に扱っている)。それはネイディーンが日々の生活においていかに甘やかされているかをこちらに伝えるためのものだろう。兄がスムージーを作り妹はパンとピーナツバター、というのも(ヘイリー・スタインフェルドの容姿が全然「いけてな」くないから目立たないけど)「昔」と違って、でもカウンターというより当たり前のように感じられていい。
ダリアンが「冷蔵庫に成績表なんて貼って」いたのは、遠方への進学につき母親が何とかしてくれるかもと期待をこめていたのかもしれない。しかし実現はしなかった。常に家庭を背負っている彼が、犬のおしっこを拭いている時にふと現れて片付けを手伝うクリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)に惹かれるのも分かる。二人のこの「改めての出会い」や「翌日に顔を合わせての会話」はとても素敵で、「ラブシーン」以上にときめかされた。