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ヤマモトの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-08-08

書籍「今すぐ実践カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメントレビュー

監訳者の長沢さんから献本いただきました。ありがとうございます。ようやく一通り読みましたのでご紹介します

カンバン」は、価値あるサービス製品をすばやく提供することが求められる今日IT現場マッチする、シンプルプロジェクトマネジメント手法です。現状どのような開発手法を行なっていたとしても、最小限の変更で移行でき、透明性あるプロジェクト運用と、流れるようなすばやい価値提供が実現できます

本書は、全体で約150ページと少ないページ数で、以下を説明しています

語り口は平易でリズムもよく、図や画像も随所に用いられており読みやすいです。各章に配置されたMicrosoft社のXboxプロジェクトでの実践事例コラム理解を助けてくれます。前述しましたが、ウォーターフォールプロジェクトおよびスクラムからの移行方法を手厚く説明していますので、新たにカンバンを導入することを考えている読者には大いに役にたつことでしょう。

私が本書を読んで得た最大の収穫は、カンバンにおける見積り方法です。本書の12ページにさらりと説明されている計算式がその答えです。どうしてこんな簡単計算でよいのでしょう?それは、ふたつの理由によるものかと思いますひとつは、見積りはその時点での予測であり、それ以上でもそれ以下でもないからです。見積りは方向を示すコンパスであり、探検者は歩を進めながら何度もそれを眺め、目的地に近づいて行きます。一歩も歩かないで正確な答えを得ることはできません。見積りに対するこのスタンスは、書籍アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~」に通じています。そしてもうひとつ理由は、カンバンプロジェクトの流れに着目しており、仕掛り中の仕事を極力減らすことに関連しています。このために、複雑(なわりに正確でない)な見積り依存する必要がないのだと考えられます。「アジャイルプロジェクトはい完了するのかはっきりしない」というよくあるイメージに対しても、本書は「納期を守る」として一章を割いて説明し答えています

カンバンは、チームが今どこにいるのかをあからさまなほど見える化ます。もしかしたら、カンバンを始めたばかりのチームは、カンバンが突きつける現実困惑し、以前の計画主義的なやり方(バッファが多いので問題が隠れやすい)に戻りたいと思うかもしれません。しかし、それこそがカンバンのねらいだということを忘れないでください。カンバンはチームやメンバーを辱めようとしているわけではなく、現状を見える化し、問題ひとつひとつ対処していくことを促しているのです。チームには、改善学習マインドを持って柔軟かつ積極的現実対処していくことが求められるのです。最小限の変更で始められるカンバンですが、このような体質改善も徐々に行なっていくことになるでしょう。カンバンがもたらす見える化はそれを促進してくれます。また、ファシリテーションサーバントリーダーシップの考え方やテクニックが活きるでしょう。書籍カンバン仕事術」の第10章あたりも参考になると思います

カンバンは、プロダクトの開発、保守運用に「流れ」を作ります。瞬間最大風速や、最終的な成果だけに着目するのではありません。滞りなく流れるように価値を届けられるようになるために、カンバン継続的改善と学び・成長を支援してくれます。本書をガイドに、価値あるサービス製品を、やりがいを持って提供できるように、進んでいきましょう。

以下は各章の概要と、山本感想です。