No.21: HAMILTON DE HOLANDA & ANDRE MEHMARI / Continua Amizade

selected by 特別顧問"G"


稀代のバンドリン奏者アミルトン・ヂ・オランダと、ピアノを超えた天才アンドリ・メマーリの入魂の一発DUOアルバム。

そもそもバンドリンひとつでソロアルバム(しかもライブ!)を作ってしまうアミルトン。
異常なテクニックと音楽性で、この不自由なバンドリンという楽器に凄まじいまでの表現力を与える。

ピアノのアンドレを初めて聴いた時は、私のピアノという楽器に対する概念が覆った。

メロディを追うとかコードがどうのとかを全く抜け出た、ピアノという「音の箱」を星屑にしてばら撒き、脳内に振り撒く衝撃を受けた。
低音の甘さ、ダイナミズム、不連続な鍵盤の躍動、天板から反射し外へ抜ける音に混じってそのまま打弦の上に零れ落ちる音のパノラマ。
ピアノを聴きオーロラを視た。

その二人が呼吸を合わせ、高まった「気」の中、音を紡ぎだす瞬間から飛翔を捉えたものがこれである。
バンドリンの弦の震えや、ピアノの降り積もり消え行く音符に魂が吸い寄せられてしまう。
お互いを妨げる余計な音が無いDUOという形態が見事にはまった。

音は勿論、ジャケ、イラストまでも至高。
私のベストアルバムのひとつ、必聴の一枚。

No.20: PARDON KIMURA / Frozen Hawaii -Bonjour Hawaii Remixes

selected by dançar(会員番号:155)

山ブラの会員でありながら、あまりブラジル音楽をあまり知らないので、ワールドミュージックつながりでハワイアンを。
語るほどの知識もありませんが、ハワイアンをパードン木村がリミックスしています。
日曜日の昼前とか昼飯後とかゆっくりしたいときに真っ先に浮かぶ一枚です。
旅にでたような感じに浸れます。日常から解放されると思います。
なにも考えずに聞いています。聞きながら寝ています。ここちいいのは間違いないと思います。
うんちくありませんがよく聞いています。今の季節にピッタリだと思います。

No.19: LUNA MONTI Y JUAN QUINTERO / El Matecito De Las Siete

selected by 小倉


日本のブラジル音楽ファンにおなじみ、アルゼンチンのギタリスト、Agustin Pereyra Lucenaが、現在のアルゼンチンフォルクローレ界最高のギタリストと絶賛するJuan Quintero。彼が私生活でもパートナーというLuna Montiと自主制作したこのアルバムを、数年前都内CDショップで無印良品の企画盤?と一瞬見まがうジャケットが目に止まり何気に試聴したところ息がとまってしまった。憂いがありそれでいて凛とした女性ボーカルと控えめながらも最高に美しいメロディを奏でる男性ギタリストのデュオが織り成す曲は全て包み込むような優しさに満ちていて、聞いたことがないはずなのにどこか懐かしさを感じるものばかり。文化は違っても人間の根源に訴える美しさは普遍的なものと改めて認識させられ ます。手拍子や床を踏んでリズムをとる音、かすかな笑い声がときおり混じり、ふたりの息遣いまでが伝わってきそうな究極アコースティックな世界は一貫して透徹な空気が流れ、人に聞かれることすら全く意識していないのではと思えてしまうほど。その自然さは、最近すっかりジャンルのひとつとして定着した感のある自然体 を売り物にした音楽のあざとい自然さとは次元が違うのは言うまでもありません。Juan Quinteroがリーダーを務めるバンド、Aca Seca Trioはアルバムの日本盤がリリースされ、アルゼンチン本国でもAca Seca Trioとしてのほうが、人気も評価も高いそう。けれど個人的には同アルバムのようなミニマムな編成でこそ、奏者としても作曲家/アレンジャーとしてもその卓越した才能が際立つように思います。一方Luna Montiにはヨガとピラテスのインストラクターとしての横顔も。アコースティックは貧乏くさいとかださいといったイメージも完全に払拭してしまうこの作品、ジャンルを問わず音楽が好きな全ての人達にぜひ聞いてほしいです。

No.18: VINICIUS DE MORAES, CLARA NUNES, TOQUINHO / Poeta, Moça e Violão

selected by みとも(新潟の宿六)


極若かった10代の終わりから、粋な男といえばいつも真っ先に頭に浮かんだのがヴィニシウス。
それから二十数年、ずっと心のアイドルでい続けています。

ヴィニシウスとトッキーニョのレコードで1番初めに買ったのがマリア・クレウザとのコラボレーションでした。

出会った瞬間は今でも鮮明に覚えていて、感動で何度針を下ろした事か。

以来、この二人と女性歌手とのコラボレーションは見つけるたびに少しずつ買い集めてきました。

2008って書いてあるから今年の再発なんですよね、きっと。

このシリーズの中でも白眉の一枚ではないでしょうか?

サンバでないクララ・ヌネスが、これまたとっても良くって楽曲・音の質感、どれをとっても次から次へと素晴らしすぎて涙が止まらなくなり・・。

呑み過ぎてちょっとおセンチになった真夜中に聴くと染み渡りすぎて眠れくなるほど心をざわざわさせてくれた今年の大感動盤です。

No.17: ELIS REGINA / Elis Regina in London

selected by Junko Kurihara (No.153 ひとり湘南支部)


若くして他界したELIS REGINAの極上アルバムです。
全て良いのですが、中でもいちばん好きなのは「Se Vose Pensa」です。
私がブラジル音楽に触れたきっかけになったのは、United Future Organization がきっかけでした。
もう、何年も前になりますが、若かりし頃に青山のblue(もうなくなっちゃったclub)に通っていた頃は、週末「Upa Neguinho」がよくかかっていました。
このアルバムをきっかけに、じわじわと年齢も重ね、ラテン系クラブミュージックからブラジリアンミュージックに移行してきました。
You Tubeでも発見。これがまたかっこいい。
 http://jp.youtube.com/watch?v=0Jcpg3GguUU&feature=related
あまりにも有名なアーティストですが、何度聞いても新鮮で感動できるアルバムだと思います。


 

No.16: FILO MACHADO / Jazz de Senzala

selected by 浅野光成@名古屋(会員番号127)


このアルバムは、山寺の思い出と深く結び付いている。

夕景から夜景に変わる、会場の大きなガラス窓。
汗を飛ばしながらの歌唱、そしてパフォーマンス。
ヴォイスパーカッションの不思議。可能性。

そして、客席。
言葉はわからなくても、彼の挑発で
一人、また一人と立ち上がっていく熱狂。

言葉が通じないからこそか。あの一体感。
私にとって、ライブで味わった初めての幸福感だった。
このアルバムは、私のそういった思い出と分かちがたく結びついている。

曲名は同じでも、アルバムに収められた楽曲と、
ライブ会場で味わった楽曲は、もちろん違うものだ。
あの熱狂を直接感じるわけではない。
しかし、その欠落感が、いっそう、あの夜のことを私に思い起こさせるのだ。

No.15: MOACYR LUZ / Mandingueiro

selected by 稲葉昌太(Rip Curl Recordings

サンバはこんなに切なくて、瑞々しい。還暦過ぎてやっと1人前、みたいな枯れた味わいもいい。でも、力強くギターの弦を弾きながらまっすぐに歌う、こんなフレッシュなサンバが僕は好きだ。

ヴェーリャ・グアルダの長老と、昨今ラパで活躍する若手サンビスタ。両者をつなぐ世代の代表格がこのモアシール・ルス。1958年生まれ、40歳にして発表したこの作品でのフレッシュでストレートな瑞々しさこそが、彼の魅力だと強く思う。あくまで己の声とギターで勝負し、メロディをあるがままに気持ちを込めて歌うそのスタイル。
それがそのまま僕の心に飛び込んでくる。CDを再生した直後に、こんなに切ない気持ちになり、しかし心躍らされるサンバのアルバムが、他にあるだろうか。

今でもラパを根城にライブを精力的に行っているモアシール。最近の作品はどれも入手し易く、また内容もどれもいい。しかしやはりこのアルバムが1番好きです!
現在はなかなか入手しづらいかもしれませんが、中古盤ではたまに見かけます。それも安価で。ぜひ聞いてみて下さい。