平成21年7月14日最高裁第3小法廷判決 7月10日判決の後追い判決

第3小法廷も、7月10日第2小法廷判決同じ趣旨の判決を

 7月10日に最高裁第2小法廷が、期限の利益喪失約款があることだけを理由に、悪意の受益者でないと推定することはできないとした判決を出したことは13日のログでも書いた。
 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090713/1247502764
 第3小法廷も全く同じ理屈で、同じ結論の判決を7月14日に出した。しかし13日のログでも書いたが、普通のリボ払い式の借入をしている限りは、恐れることは何もない。17条書面、18条書面がちゃんと交付されているかどうかを争えばいいからだ。

7月14日第3小法廷判決の原文

 14日判決は言う。
 平成18年1月24日第三小法廷判決は、期限の利益喪失約款がある以上は、17条書面、18条書面が交付されたとしても超過利息を任意に支払ったものとはいえず、みなし弁済は成立しないとした。しかし同判決が出る前は、そのような考えは一般的ではなく、「大多数が、期限の利益喪失特約下の支払というだけではその支払の任意性を否定することはできないとの見解に立って,同項の規定の適用要件の解釈を行っていたことは,公知の事実である。」
 そうして以下のように続ける。このあたりの論理展開は10日判決と全く同じだ。
 そうすると,上記事情の下では,平成18年判決が言い渡されるまでは,貸金業者において,期限の利益喪失特約下の支払であることから直ちに同項の適用が否定されるものではないとの認識を有していたとしてもやむを得ないというべきであり,貸金業者が上記認識を有していたことについては,平成19年判決の判示する特段の事情があると認めるのが相当である。したがって,平成18年判決の言渡し日以前の期限の利益喪失特約下の支払については,これを受領したことのみを理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできない(最高裁平成20年(受)第1728号同21年7月10日第二小法廷判決・裁判所時報1487号登載予定参照)。