中国で土地収用トラブル深刻

今日の日経の6面に、「中国の土地収用トラブル深刻」との記事があった。中国の地方政府は、二つの収入源がある。一つは税収だが、一つは不動産開発利益だ。08年のリーマンショック直後に中央政府は4兆円の景気刺激策を発表した。しかし4兆円全てを国が出すのではなく、3分の2は地方政府の負担となった。
地方政府は借り入れができない。税収は増やせないから、土地の再開発で一儲けしようと考えることとなる。中国は土地が国有で、国民はその使用権を得て、利用しているに過ぎない。そのせいもあって地方政府により、安易な土地収用が行われやすい。住人から安価で土地を買い上げ、土地を開発し、高く売る。こうした手法で簡単に収入を上げることができる。開発に伴う地価上昇で発生した利益は、5割を地方政府、4割を開発業者、残りの1割が補償金に当てられるに過ぎないという(11.1.10日経)。
政策の基本方針を示す昨年の「中央1号文件」にも「積極的かつ穏当に都市化を進める」とあって、こうした大義名分を手に、こうした土地収用は積極的に行われる。
当然住民からは怨嗟の声が上がるが、開発業者は地元政府の幹部の親族が経営しているし、そうでなくとも開発業者は5割を裏金で地元幹部に渡す。しかもそうして得られた地方政府の儲けも、地方政府の幹部が出張名目で海外旅行したり、飲食をしたりでかなりの部分をつかってしまう。一説によると、GDPの1割近くがこうした役人の娯楽に消えているという。
世界各地に中国人観光客があふれ、金を湯水のように使っているが、これもこうした民衆の犠牲の上に成り立っている。