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馬上行動 山田冬樹の部屋

2011-06-14

更新料の有効性につき、最高裁第2小法廷が7月15日午後1時30分に判決

13:03

最高裁でついに決着

 更新料の有効、無効を争って上告されている3つの裁判で、最高裁第2小法廷で口頭弁論が6月10日に開かれた。7月15日午後1時30分に判決が言い渡される。

消費者契約法10条

 更新料を定める約定については、消費者契約法10条に違反するかどうかをめぐって、従来厳しく争われて来た。同条は、

民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって」(前段)

民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」(後段)

は、無効と規定している。

二つの大阪高裁判

 更新料規定について、大阪高裁平成21・8・27判決は10条に違反し無効とし、大阪高裁平成21・10・29判決は10条に違反せず有効とする判断を示し、大きく対立している。両判決とも、更新料の約定が前段要件に該当することは認めるが、後段要件の該当性についての判断が食い違っている。

 8月判決が、消費者契約法の目的規定(同法1条)に照らし、「あくまでも消費者契約法の見地から、信義則に反して消費者の利益が一方的に害されているかどうかを判断すべきである」とし、更新料規定を無効とした。

 他方、10月判決は、消費者と事業者との間にある情報、交渉力の格差を背景にして、「本来は法的に保護されるべき消費者の利益を信義則に反する程度にまで侵害し、事業者と消費者の利益状況に合理性のない不均衡を生じさせるような不当条項」とまで言えるかという観点から、そこまで不当なものではないとして、更新料規定を有効と解した。

最高裁は更新料を肯定

 平成23年7月15日付最高裁第2小法廷判決は、更新料規定を原則として消費者契約法10条に違反しないとし、その有効性を認めた。

 同判決はまず

消費者契約法10条は消費者契約の条項を無効とする要件として,当該条項が,民法等の法律の公の秩序に関しない規定,すなわち任意規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重するものであることを定めるところ,ここにいう任意規定には,明文の規定のみならず,一般的な法理等も含まれると解するのが相当である。そして,賃貸借契約は,賃貸人が物件を賃借人に使用させることを約し,賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約することによって効力を生ずる(民法601条)のであるから,更新料条項は,一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において,任意規定の適用による場合に比し,消費者である賃借人の義務を加重するものに当たるというべきである。」

として、更新料規定が消契法10条前段の要件に該当することを認めた。ここは、従来争いの無かったところである。

 ついで、争点となっている消費者契約法10条後段の規定を引用。

「当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは,消費者契約法の趣旨,目的(同法1条参照)に照らし,当該条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきである。」と前記大阪高裁7月判決と同様に判示した。

 こうなるとあとは更新料有効に判断は傾く。判決は続ける。

「更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは,前記(1)に説示したとおりであり,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。」

「また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であること」

「従前,裁判上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからすると,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人との間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。」

と、更新料を有効とする理由を述べた。

 あとは結論。「そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。」

として更新料規定が、特に高額すぎたり、更新期間が短きに過ぎ頻繁に更新料を取られる等の事情が無い限り更新料規定を有効とした。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81506&hanreiKbn=02