甲陽軍鑑の信ぴょう性〜信玄は実際に天下統一を考えていた

以下は、歴史秘話ヒストリアの放送内容が元ネタです。
甲陽軍鑑。この書は読み書きのできない高坂弾正が口述したものをその甥が書き留めたとの体裁がとられていますが、江戸期の軍学者小幡景憲が自らの甲州軍学を宣伝するために作った偽書と長年扱われていました。
しかし、国語学者酒井憲二氏の研究の結果、戦国時代末期の作と判明したそうです。酒井氏は、長年の文献探索の結果、現在最古と考えられる写本を見つけ、その写本にある語彙を研究した結果、日葡辞書の語とほとんど一致していたそうです。甲陽軍鑑は、年代等に誤りが多く、話も謙信と信玄の一騎打ちのようにドラマチックに過ぎ、信用性に疑問を持たれてきました。ただ、この書は、長篠合戦以後、高坂弾正が昔語りしたものを筆記したものです。あくまで高坂の記憶を基にしているため、年代がずれているのは仕方ないことです。実際古い時期になればなるほど年代の時期の間違いが多くなるのは、記憶に基づく口述なれば仕方ないことでしょう。むしろさすが高坂弾正と、その記憶の良さを褒めるべきでしょう。また内容がドラマチックに過ぎるのも、口述によるものだからどうしてもそうなるのでしょう。
この甲陽軍鑑には、末書というものがあり、いわば補遺的なものですが、ここに信玄が天下統一を考えていたことを示唆する記述があるそうです。信玄は、部下に全国の住人から山その他地形の状況、城の状況を聞き取らせ、それを地図にまとめていたというのですが、それが中国、四国、東北に及んでおり、天下統一を目指していたからこそこのようなものを作ったというのです。