『モナミは時間を終わらせる?』(はやみねかおる)

モナミシリーズの3巻。モナミが英語の単語テストで間違えて〈腕時計〉を〈time machine〉と書いてしまったために、シンクロが発動。モナミの腕時計がタイムマシンになってしまいます。それでモナミがタイムスリップして同じ時間にふたりのモナミが発生してしまったために時間と空間が乱れ、なんと太陽を挟んで地球の反対側に反地球ができてしまい、世界の危機が訪れます。
SFとしては、シリーズの中でこれがいちばんおもしろかったです。モナミがふたりいるのを解消しようとタイムリープをするたびに、さらに事態がしっちゃかめっちゃかになっていくさまが、とても愉快です。地球の終末レベルの危機が起きてはいますが、主人公のモナミの最大の関心事は学食の限定隠しメニューを食らうことですから、モナミ周辺はあまりシリアスにならず、混乱が拡大していくさまを気軽に眺めることができます。
そのかわり、転校生キャラがシリアスパートを担っています。ここの仕掛けはかなりエグいです。思い浮かんだ類作はろくでもない作品ばかりでした。
最終的な解決では、アレを都合よく使いすぎている感じはしますが、オチがモナミらしいので笑って本を閉じることができます。
ところで、銀のさじレーベルではずいぶん長いあいだ本が出ておらず、一部ではレーベルは終了したのではないかという噂も流れていました。杞憂だといいのですが、モナミは銀のさじも終わらせることにならないか、心配です(作中で「金の匙」なるアイテムが出てモナミにアレされたのがとても不吉に思えます)。