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2016-06-25 源義経黄金伝説■第69回

源義経黄金伝説■第69回

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■ 1199年(建久10年)鎌倉

文覚は、対決の後、しばらくして、広元屋敷の元を訪れている。

文覚の頭や顔は朱に染まっている。

足取りもおぼつかぬ。

鬼一の打撃の後がゆっくりと文覚の体をむしばんでいる。

鬼一の八角棒には、やはり丹毒が塗られていた。

大江広元殿、鬼一方眼はワシがあやめた、これで、あやつらの王国、勢いがなくなろう」

文覚は、大江に満足げに言った。

「さようでございますか。それは重畳。しかしながら、いかがなされた。その傷は」

「我のことなぞ、どうでもよい。よいか、大江広元、義行を逃がせ」

「源義行を…、何を言う。気が狂られたか」

「よいか、大江広元。私、文覚は、元は武士である。鬼一との約束は守らねばならぬ」

 文覚は息も絶え絶えに言うのである

「皆の者、出て参れ。文覚殿、乱心ぞ」

大江広元は、屋敷の郎党を呼び寄せる。

くそっ、広元、貴様

 手負いの熊のように文覚は、広元の手の者と打ち合うが、多勢に無勢。おま

けにひん死の状態の文覚は打ち取られる。

「残念、無念。清盛、西行、お前らが元へ行くぞ」

とらえられ、牢につれていかれる文覚が、いまわの際に叫んだ。

文覚は,今は亡き好敵手西行最期を、そして西行から聞いたある話を

思い起こしていた。

待賢門院璋子けんれいもんいんたまこは、西行の手を強く握りしめている。

待賢門院璋子は後白河法皇の母君である

その臨終の席に西行が呼び寄せられていた。

「二人の皇子をお守り下され。西行殿。私の最後の願いでございます

「わかりました、璋子様、この西行の命に変えても」

西行宮廷愛の達人でもあった。この時期日本は宮廷愛の時期である

待賢門院璋子の二人の子供とは、崇徳上皇後白河上皇である

璋子は鳥羽天皇の間に後白河法皇を生み、鳥羽上皇の祖父である白河法王の間

崇徳上皇をうんだ。白河法皇は璋子にとり愛人であり、義理父であった。

いわゆる源平の争いは、璋子を中心にした兄弟けんかから起こった。

西行は璋子のために終生、2人の御子を守り事を誓ったのだ。

西行は璋子のために、京都朝廷のしくみを守りために、その生涯を捧げた。

西行と文覚は、若き頃、恋いにそまりし王家を守る2人の騎士であった。

それでは、文覚は、日本の何を守ったのか。自問している。

文覚は若き折り、崇徳上皇騎士であった。

上西院の北面の武士である

しかし、文覚は保元の乱の折り逃げ出している。その折りの事を西行はよく知っているのだ、言葉で攻めていたのだ。

西行は、いまはのきはに、叫んでいた言葉を思い起こす。

「文覚殿よ、天下は源氏におちたと、、思わぬほうがよい」

「何だと」

頼朝殿の義父、北条平時政殿の手におちるかもしれんな」

西行の死に臨んでの予言であった。

いにしえ、坂東の新皇と自ら名乗った、平将門まさかどの乱平定に力があ

ったのは、藤原秀郷と平員盛である。藤原秀郷の子孫は、奥州藤原氏西行

家などである

平員盛の子孫が、伊勢平氏北条氏であった。

(続く

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2016-06-18 源義経黄金伝説■第66回

源義経黄金伝説■第66回

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 1199年(正治元年) 鎌倉

 鎌倉の朝。1199年(正治元年)1月13日

鎌倉街道の地面に落ちた霜が太陽を受けて、湯気をあげている。気おもいで

気分のすぐれぬ頼朝は、単騎でゆっくりと動いて来る。大姫の死が、頼朝

こころを責めさいなんでいる。

鎌倉街道の要所、相模川の橋の完成式の帰りであった。この時のお共には、広

元は最初から参加していない。頼朝は馬に乗り、見知らぬ道を通っていた。ふ

と、回りを見ると、いつもはいるはずの郎党共の姿が見えない。おまけに辺り

にはうっすらと霧が出てきたようである

「これは面妖な…、ここはどこだ…」

きづくと霧の真ん中に頼朝が一人。

 頼朝は、ひとりごちた。道の向こうに人影がぼんやりと見えている。

「おお、あそこに人がおる。道を尋ねよう」

頼朝はそちらに馬を進めた。

 すでに鬼一法眼の術中に嵌まっていることに、頼朝は気付いていない。

鬼一得意のの幻術である

 この時、頼朝の郎党の方は、大殿の行方を捜し回っている。

が、みつからぬ。二股道の一方を頼朝が通ったあと、鬼一の手の者が偽装したのだ。頼朝は、郎党から切り話されて霧ふかき見知らぬ森の中にいる。護衛から全く切り離され、一人きりなのである

頼朝を乗せた馬は、一歩一歩と、その人影に近づいて行く。

どうやら、若い女性のようだ。旅装で網代笠を被っている。頼朝は馬上から

尋ねた。女の体つきに、へんに見覚えがあった。

「これ、そこなる女、ここはどこなのだ。そして、鎌倉までの道を教えてはくれ

ぬか」

 女はくぐもった小声で答える。

頼朝殿、鎌倉へお帰りのつもりか。もう鎌倉はござらぬぞ。お前様は帰ると

ころがない」頼朝は奇異に感じた。

「何を言う、貴様妖怪か」

 

叫ぶが早いか、頼朝は、女の網代笠を馬の鞭で跳ね飛ばした。瞬間の霧の中

から、ごおーっという音が起こっている。

おお、これは…、幻影か。

頼朝の目の前に炎上する都市の姿が見えていた。霧の仲にくっきりとその映像が見えるのだ。

頼朝は、平泉のことを思い出しているのかと一瞬思う。う、これは、なんとした事。

が、よく見ると、そこは鎌倉なのだ

「何ということ。儂の鎌倉燃えている。どういう訳だ」

自分が手塩にかけた愛しき町が燃え上がっている。鎌倉という町は、頼朝にと

っていわば、自分記念碑である

「き、貴様」女の顔を見る。

「うわっ、お前は大姫」

 四年前に奈良でなくなったはずの愛娘、大姫の姿がそこにあった。大姫は頼

朝の方へ両手を伸ばした。顔はて暗がりではっきりとは見えないのだ。

「さあ、父上、私と一緒に極楽浄土へ参りましょう」

 大姫が指さす方は、燃え上がる鎌倉である

「あの中へと」

 その炎上の中にいる人々の姿がはっきりと見えていた。平氏、奥州・藤原氏

の武者、そして源氏の武者、おまけに義経の姿もある。今までの頼朝人生

手にかけてきた人物たちである

「さあ、父上の親しい皆様が、ほれ、あのようにあちらから呼んでおいです。さあ、父上、はよう」

 頼朝ゆっくりと馬から降りて、ふらふらとそちらの方へ歩んでいる。

 突然、石つぶてが、頼朝の体といわず頭といわず降り注いできた。

「ぐっ」

 頼朝は、頭に直撃を受け倒れ、気を失う。淡海の部下が数名、投弾帯や投弾

丈をもちいて、ねらいたがわず頼朝命中させていた。投弾帯は、投石ひも

ともいわれ石弾をはさむ一本のひもで、石弾をはさみ下手投げでなげる。時速

八〇キロの速度はでた。

 頼朝はしばらくして気付いた。が、目の前はまだ霧の森の中である

「い、今までのことは夢であったか」

頼朝は叫んでいる。

人影がある。大姫の姿があった。

「お、大姫。助け起こしてくれ」

 今は亡き大姫の名前を呼ぶ。しかし、大姫は反応しない。

「儂が悪かった。許してくれい。お前の幸せを考えず、志水冠者殿を殺してし

まったのは、俺の不覚じゃ。許せい」

志水冠者は、頼朝が殺した大姫のいいなづけ、木曽義仲の息子である

 大姫の姿がするすると、頼朝のところへ近づいて来る。

「本当に、そうお思いですか」顔をよせてきた。

「そうだ」頼朝は、大姫の顔を仰ぎ見た。

 いった瞬間、大姫の服が弾き飛ばされている。

 そこには、うって変わって、りりしい若い武者が立っている。

「お、お前は何者」

大地をころびながら頼朝が叫んでいた。

「源義経が遺子、源義行にございます

 頼朝は、驚き、その人物の顔をしかと観察する。

「まてまて、お前は義経が子か」

「そうでございます

 義行は、頼朝に対して刀を構えている。しかし目には不思議に憎しみはない

のだ。頼朝に対する哀れみが見える。

 この男は…、本来ならばおじになる。

が、我が父を葬った男。鬼一から話を

聞き日々の憎しみを増幅させ、この計画を練ったのだ。しかし、実際に、頼朝

対峙してみる、と、悪辣なる敵のイメージとあまりにもかけはなれている。

頼朝には一種独特の凄みがありながら、その体から悲しみを感じるのだ。

愛娘を死なした絶望が見える。頼朝人生は多くの人々の亡骸から気づかれてい

る。悲しい人生かも知れぬ。おのの存在源氏の長者として大きくみせなけれ

ばならなかった。いままで、源氏のだれもが、望み得なかった高見に頼朝はい

るのだ。

しかし、この悲しみの原因は何のか。

そして、義行を哀れみの情で見ているのだ。驚いたことに頼朝は、涙を流しているではないか。

源義行は思わずたじろぐ。

「義行殿、不憫よのう、お主は、我が父、義経が、北へ逃れ、蝦夷の王、

いや、山丹の王になっておるをお主は知らぬのか。

頼朝が、ある人物との約束で許したのだ。」

何をいまさら、血舞いよい事を。

その言葉の一瞬、源義行は、頭に血が上り

この後に及んで、私をたぶらかそうとするのか。やはり叔父上は、見かけで

はなく、本当に悪人なのかも知れぬ。

義行は、迷うが、怒りをあらわに再び切りかかる。

同時に、木陰から数個の石が雨あられと降り注ぐ。再び狙い過たず、頼朝

の体に命中していた。額からは、うっすらと血が滲んでいる。頼朝が再び地に

伏す。

「蝦夷だと、ええい世迷いごとを、、叔父上、 父の敵、覚悟…」

 義行が、大声で呼ばわり、大地に倒れている頼朝に走りより、刀で刺そうと

した。

 突然、じろりと頼朝が、うつむいていた顔を持ち上げ、義行にまなざしを向

ける。 不思議な鋭い眼差しであった。空虚うつろ)。深き絶望が、その眼の中に見えるのだ。

「ううっ…」

義行は、振りあげた刀を、叔父の体に振り下ろすことができない。

「うっつ、くそ

義行は、叫び声をあげ、いたたまれなくなり、急に後を振り向き、霧の深い

森の外に走り出した。

義行の体がおこりのように、体がぶるっと震えた。

なぜだ、なぜ俺は、この父の敵の叔父上を打てぬのか。それに父が、、

義経が蝦夷、山丹の王だと、聞いていない。鬼一はそれを知っていたのか。

疑問が渦を巻く。

くそっ」

義行は、途中で思わず路傍に、武士の魂、刀を投げだすように捨てた、一目さ

んで逃げ出している。

倒れている頼朝の側に、霧の中からのそりと僧服の大男が現れていた。

頼朝様、ごぶじか」

「おお、文覚、助けに来てくれたか」

「鬼一、ひさしぶりだのう。お主の計画、俺が止めてやるわ」

霧の中に向かって文覚がしゃべっている。

森の中の霧が、ゆっくりと薄らいできた。

霧の中から、同じような格好をした鬼一が、背後に人数を侍らしながら現れて

いる。

くそっ、文覚め。よいところで、邪魔をしおって。だが、いい機会だ。

西行殿の敵、ここで討たせてもらうぞ」

鬼一も言葉を返す。

「ふふう、逆に返り討ちにしてくれるわ」

「まて、まて」

 二人は構えようとしたが、騒ぎを聞き付けて、ようやく頼朝の郎党が、刀を

構えて走ってくる。

勝負は後でだ、文覚」

鬼一は走り去る。

「わかりもうした」

文覚は、逃げていく鬼一の集団にむかい叫ぶ。

頼朝殿、しっかりされよ」

 文覚は、頼朝の体を揺さぶり抱き起こした。気を取り戻す。

「傷は浅手でございますぞ」

「文覚、今、儂は、義経の子供にあつたぞ」

「おきを確かに」

文覚は、あたりに転がっている頼朝を倒した石を調べてみる。石の表面がわ

ずかに濡れている。何かの染料か。文覚は石の先を木の枝で少し触り、その匂

いを嗅いでみる。

くそ、鬼一め、丹毒を塗っておる。いずれは吉次か、手下の鋳物から、手

に入れよったか」

「はよう、大殿を、屋敷に」

文覚はあわてた、

この時期に頼朝殿をうしなうとは、鎌倉の痛手となる。ましてやこの文覚がそだてた頼朝殿を、日本の統一を手にした頼朝殿を、、この手配は、京都の手のものか。ゆるさじ。

続く

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2016-06-11 源義経黄金伝説■第63回★★

源義経黄金伝説■第63回★★

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■ 建久六年(一一九五)三月 奈良東大寺

その夜、奈良興福寺大乗院宿泊所にいる大姫のもとを、尼姿の静が密かに訪れてきた。

「どうしたの、静。その尼の姿は、和子はどうしたの」

静は出家し、大原寂光院のそばに庵(いおり)をいとなんでいる。

すべては西行の手配りであった。

「和子は、私の手元にはおりません。今でも鎌倉でございます

静には、わざと子供の行方を聞かされてはいない。

「何、鎌倉ですと。母上は約束を守らなかったのか」

「いえ、政子様は、こうおっしゃったのです。子供の命は助けると申した。

が、その子供をお前に預けるとは、言ってはおらぬ」

「では、和子は…」

「生きております。が、義経様に対する備えとして」

人質として、が、義経様は亡くなったのでは」

「いえ、まだ、みちのくに生きているという噂、風の便りに聞きました。

頼朝様は、その噂が恐いのでございます

大姫はしばらく口を噤んでいる。

「いいがなされました。大姫様」

「静、お前に会えるのも、これが最後かも知れぬ」

「何を心細いことをおおせですか。まさか…」

「その、まさかですよ。静、私にはお前のように心から強くはない。父上、母

上の顔を立てなければならぬ」

「お逃げなされ、大姫様」

「私は、もう生きる希望を失っています

「…」

「ずっと昔、あの志水冠者(しろうかじゃ)殿が、父上の手にかかってから

というもの、私は死者なのです」

木曽義仲の息子であり、大姫の夫志水冠者は、頼朝の手で殺されていた。

1184年元暦元年4月の事でありもう十一年の歳月がすぎていた。

十一年の間、大姫はその姿を心にひきづって生きている。

「そこまで、もう長くは、私は生きていますまい。静、どうか私の来世を祈っ

ておくれ」

「大姫様」

二人の女性は、鎌倉の昔と同じように、両手を握りあわせ、各々の運命の苛

酷さを嘆きあう。

「政子様、どうぞ内へ入られませ。あのお方がお待ちでございます

磯禅師は、京都のとある屋敷へと、政子をいざなう。

「この方が丹後局様、皇室内のこと、すべて取り仕切られております

無表情というよりも、顔に表情を表さぬ蝋人形のような美女が座っている。

流石の政子も思わずたじろぐ。底知れぬ京都の、連綿と続く力を背後に思わせ

た。

丹後局は、白拍子あがりだが、後白河法王の寵愛を受け、京と朝廷に隠然たる

勢力をいまでももっている。いわば後白河法王の遺志の後継者である

「これは、はじめてお目見えいたします。私が北条政子、源頼朝が妻にございます

政子は、深々と頭を下げた。目の前にいる女に頭を下げたのではない。あく

までも京都という底力に対してだ。そう、政子は思った。

「磯禅師より聞いております。大姫様の入内のこと、すでに手筈は調っており

ます

「え、本当でござりますか」

「が、政子殿。大姫様入内の前に、こちら側よりお願いしたき儀がございま

す」

「何でございましょう。私ごときができることでございましょうか」

「無論、お出来になるはず。源頼朝様にお力をお貸しいただきたいことがござい

ます

丹後局は少し間を置いた。

焦らしているのである

次の言葉が、政子には待ち遠しく思えた。

「それは、一体…」 思わず、政子の方から口を切っている。

「いえいえ、簡単なことでございます。征夷大将軍の妻たる平政子殿にとって

はな」

再び丹後局は黙り込む。京都の朝廷で手練手管を酷使している丹後局

ある。

丹後局は磯の禅師と同じ丹波、宮津の出身だった。

交渉力においては、まだ新興勢力である北条政子の及ぶところではない。

摂政九条兼実殿を、罷免していただきたい」

「何をおっしゃいます、兼実殿を…」

九条兼実は、頼朝派の味方になった政治家だったのである

北条政子が不在の折、興福寺大乗院前の猿沢の池で、頼朝と大姫は、舟遊びを楽しもうとしていた。

猿沢池の両側に興福寺、反対側に元興寺、両方の五重の塔が威厳を誇っている。

興福寺藤原氏の氏寺。元興寺(がんこうじ)は、蘇我氏の氏寺である

奈良猿沢の池を中心に奈良平城京ができた折りの政治状態が反映されている。今また新 しい新興勢力である鎌倉源氏が、この奈良古京(こきょう)に乗り込んで自らの政治勢力を固持している。

かがり火が、こうこうと照らされ、興福寺五重の塔が照り映えている。

この船遊びは、気鬱の大姫のために頼朝が考えたのだ。

が、池の舟のうえで、事はおこる。

「よろしゅうございますか、父上。大姫はもう、この世の人間ではございませ

ぬ」

湖の周りには、奈良以来の雅楽が演奏されている。空気はぴんと貼りつめ、篝

火の届かぬ空間のその闇は深い。

「大姫、何を急に、、おまえは狂うたか」

頼朝は、我が娘を別の目で見ている。篝火に照りはれる大姫の顔は尋常では

ない。

「狂っているのは、父上の方です。私は、私です。お父上の持ち物ではござい

ませぬ」

「むむっ、口答えしよって」

「私は、いえ私の心は、志水冠者様が、父上によって殺された時から、死んで

おります

大姫は舟の上から、体を乗り出している。

「いとおしき志水冠者様、いまあなたの元に、この大姫は参り増すぞ」

「大姫、何をする」

「いえ、父上。お止めくださるな。父上が静の子供を死なしたようにするので

ございます

言い終わると、大姫の体は、波の中に飲み込まれていた。

「ああ、大姫」

 頼朝の腕(かいな)は、空をつかむ。

重りをつけた大姫の体は、猿沢池底の闇に深く巻き込まれている。

頼朝の両手は届かなかった。大姫の心にとどかなかったのと同じように。

「さあ、お言いなされ、母上。何を大姫様におっしゃったのですか」

静は母親、磯の禅師を非難している。

「この子は、何を急に、言い出すのか。大姫様が、いかがいたした」

「母上、私は、幼き頃より、母上の身働きを存じております。それゆえ、この

度、大姫様が入水自害をされた…」

「何、大姫様が入水自害…」

禅師は驚いた表情をする。呆れ果てたように、静は告げる。

「それほど、大姫様が憎うございますか」

「何を申す。これは源頼朝殿を滅ぼさんがためぞ。お前、義経殿を殺させた、頼朝殿が憎くはないのか」

禅師は厳しい表情をし、声をあらげている。

「そ、それは、義経様を…、殺させた頼朝殿は憎うございます。が、大姫様を

なぜに殺された」

「愛姫だからのう。それに、頼朝殿の血が、京と天皇家に入内せしこと防がねばなりません」

「それは、京都の方からの指令でございますか」

禅師は答えぬ。

(続く)

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2016-06-08 源義経黄金伝説■第62回★★

源義経黄金伝説■第62回★★

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■ 建久六年(一一九五)三月 奈良東大寺

法皇崩御3年後。

すでに頼朝は兼実の手引きにより征夷大将軍地位を得ていた。

後白河法皇万歳ごばんさい)三ヶ月後、一一九二年七月十二日。

征夷大将軍の位を得て、鎌倉幕府が誕生した。日本始めての武家政権である

東大寺落慶供養は、源頼朝、政子の列席のもと、

建久六年(一一九五)三月十二日に行われる事になった。

また、このときが、源頼朝、政子の愛姫、大姫の京都貴族へのお披露目の時である

重源を頭目とする勧進聖たちは、立派にその役目を果たし、聖武天皇以来

大仏大仏殿が再び人々の目の前に姿を表していた。以降、大仏様という建

様式で呼ばれることになる壮麗な南大門の中には、京都仏師に対する南都仏

師運慶、快慶の仁王像が力強い時代の到来を告げることになる。

鎌倉幕府の時代、武士の時代の始まりである

貴族の牛車引きたちが、武者たまりでしゃべっていた。

「あれが東国武士か。恐ろしげなものよな」

「我々とは、人が違う。主も思うだろう」

「そうじゃ。あの大雨の中で揺るぎもせず、目をしばたかす、武者鎧をつけ

て、身じろぎもせず立っておるのだ」

頼朝という者を守るためにのう」

「やはり、人ではない。動物に近いものだ」

「あやつらに、荘園が取り上げられて行くのか。悲しいのう。悪鬼のような、

仕業だ」

「いや、あやつら板東武者の力を借りて、貴族荘園を守るしか仕方があるま

いて」

東大寺正門から両側の道に、ずらっと頼朝が武者が立ち並んでいる。

南大門、その他の門前にも、東国武士の恐ろしげな顔をした者共が並んでいた。

折あしく、春嵐が奈良近辺を襲っていた。

読経の中、空は暗雲に包まれて、若草山から、風雨が吹き荒れている。

居並ぶ京と貴族達は、これから自分たちの行く末が、暗示されているよう

な気がしたのだ。

東大寺全体、奈良のすべてがまるで嵐の中、頼朝を長とする、源氏の軍勢に占

領されているように見える。

貴族たちの牛車は、脇に寄せ集めて、その他大勢の背景であり、時代の主役の

乗り物ではない。

この時、北条政子は、夫、頼朝にせっついていた。

「はよう、大姫、入内できるようお取り計らいくださいませ。あなたは、もう

征夷大将軍なのでございますよ。それくらいの実力は、おありになりますでし

ょう」

「わかっておる。すでに九条家を使い、かなりの沙金を貴族の方々に、ばら蒔

いておるのだ」

にえきらぬ頼朝の態度に、政子はいらついている。

(もし、頼朝殿の手づるがだめであるならば、そうだ、磯禅師の手づるを

頼もう。あの磯禅師の方が、このような宮廷工作には長けておるはず)

供養の途中、重源は、傍らにいる栄西に語りかけていた。

「良くご覧になるがよい。あれが源頼朝殿」

「では、あの小太りの田舎臭い女が、北条政子殿か」

「さようだ。話によると、頼朝殿は尻に敷かれているという」

「が、栄西殿は、せいぜい取り入ることじゃ。お主の茶による武者の支配

お望みならばな」

後に、栄西は、尼将軍北条政子の発願により、鎌倉に寿福寺を開くことにな

る。

「それで、重源殿。奥州藤原氏の沙金は、いかがなされました」

重源は、栄西にすべてを語るわけにはいかぬ。

「それよ、栄西殿。西行殿は、はっきり申されぬうちに、亡くなってしまっ

た」

「もしや、頼朝が沙金を…。」

「うむ、頼朝殿奥州征伐のおり、かなりの砂金を手に入れたと聞く。この砂金を

つかい、今の地位を得たという話だ」

「もしや、西行殿が源義経殿の命の安全を図るために、砂金を使うという、、、」

「そうだ、その可能性はある。西行が、あの沙金を義経殿の命と引き換えに

したということは考えられるのう」

西行の入寂後、なぜ、重源は、東大寺大仏殿裏山を切り崩したのか。

あるいは、あの裏山に奥州藤原氏の黄金が、と栄西は考えた。

では、頼朝よりの寄進とされる黄金は、ひよっとして、西行が運び込みし、

秘密の黄金かもしれぬ。では、その黄金を、頼朝から寄進とすることで

西行頼朝が得たものとは何か?少し、目の前にいる、食えぬ性格の重源殿

に鎌をかけてみようと、栄西は思った。

西行殿は、なぜそのように義経殿に肩入れをなさったのか」

重源は、その栄西質問にしばし黙り、考えているようだった。

やがて、意を決して

「よろしかろう。栄西殿ならばこそ、申そう。西行はある方から、義経殿の

身の上を預けられたのだ」

「ある方じゃと、それは一体」

「よーく、考えてみられよ。西行殿の関係をな」

栄西はよくよく考えて、頷いている。

「そうか。相国、平清盛殿か」

得心した振りをして栄西は、 重源の晦渋さを再認識した。

この腹の裏をもたねば、これからの京都や鎌倉相手に、勝負ができぬわけか、、

西行がなくなり、五年がたつ。

平清盛が、1181年治承5年、五十四歳でなくなり

十四年の月日が流れている。

地位を手にいれた家族幸せかどうか。

東大寺落慶供養の式次第の後、 大姫と頼朝、政子は、奈良の宿所となった興福

大乗院寝殿で争っていた。

「どうした、大姫。顔色がすぐれぬが」

「そうですよ。これも皆、お前を入内させんがため、父上も私も努力している

のですよ」

「私は、私は…」

大姫は小さきか弱き声で自分を主張しようとした。

「どうしたのじゃ、思うこと言うてみなさい」

「いまでも志水冠者様を愛しているのでございます。皇家のどなたの寵愛も、

受ける気はございません」

「何ということを言うのか」

「お謝りなさい、大姫」

「いやです。私は私です。私は父上や母上の、政治の道具ではないのです」

「何を言うのじゃ。俺はお前の行く末を思えばこそ」

「嘘です。父上は、私のことなど、お考えではない」

「バカモノめ」

勢いあまって、頼朝は、大姫に平手を食らす。

「まあまあ、落ち着いてくだされ。大殿様、仮にもここは晴れの席。まして大

殿様は、いまや征夷大将軍でございますぞ」

その場は落ち着かせた。

政子は、鎌倉をたつ前にあることを思いついていた。

静を大姫に合わせることである

20131020(続く)

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2016-06-06 源義経黄金伝説■第61回★建久三年(1192)3月13日京都

源義経黄金伝説■第61回★

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■ 建久三年(1192)3月13日京都

後白河法皇の御殿に九条兼実が現れる。

後白河法皇最愛の人、高階栄子からの至急の呼び出しがあったのだ。

彼女丹後局(たんごのつぼね)である

法皇の部屋には、病人独特のにおいが立ちこめ、香りがたかれていて、九条兼実は、むせかえりそうになった。

兼実は、すでに死のにおいをかいでいる。

病床にある後白河は、力なくやっと左手をあげ、「兼実、ちこうまいれ」と

弱々しげに言った。

「ははつ、法皇様。何かおっしゃりたきことがござりますやら」

「そばに行かれよ」

後宮女帝、高階栄子が、兼実をせかす。

「朕の遺言じゃ聞いてくだされ」

「、、、、」

「よいか、それぞれの貴族の家は、古式ののっとり、各家々の特異技を家伝とされよ」

「それが、板東の奴輩に対抗する手でござますか」

藤原兼実も、すでに藤原氏の氏の長者(うじのちょうじゃ)になっているのだ。

「朕が遺言、よくよく聞いてくださるか。兼実殿」

後白河法皇が、言った。

高階栄子が、兼平をせかす。

「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。

「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝(れんし)をもって我が王朝を助けよ。まもれよ」

「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」

「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」

言葉による防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。

「これによりわが国は神と仏による鎮御国家となった」

「まずは藤原定家が先陣かと考えます」

法皇は、急に目をつぶり、静かになる、

「母君、兄君。いまおそばにまいらせましょう。目宮(めのみや)君、萎宮(なおのみや)君もな」

法皇は、4人目の宮、4つの宮であり、自分兄弟名前を呼んだ。

目宮は眼が見えず。萎宮は体が動かなかったのだ。

「御家を、それぞれの家を、古式由来の技で守ってくだされや。いにしえよりの我々貴族の技(わざ)こそ我ら貴族を守る。朕の遺言ぞ、、」

「兼実殿、、、」

「はっつ」

「お、お主とは、、最後まで、、分かり合える事は、、なかった、、な」

「、、」

「が、頼んだぞ。わが王朝貴族の連枝を守るのじゃ。、、それが藤原の、、」

「よいか、藤原の兼実殿のお役目ぞ」

丹後局である高階栄子が、かたわらで繰り返す。

法皇様態が変化した。

弁慶に謝ってほしい。お、お前から伝えてくれぬか、、」

弁慶どの、、ですか、、」

兼実は言いよどむ。熱病にとらわれているのか、法皇は、すでに弁慶がこの世

の人ではないことを忘れている。

4年前1189年文治5年4月30日に衣川でなくなっている。

「兼実殿、猊下のお言葉にあわせられよ」高階栄子が、叱咤する。

「朕は、この父は、悪人であった。弁慶お前を我が王朝の闇法師として使ってのう、許してくれ。お前の一生を犠牲にしてしまってのう」

法皇は、弁慶が目の前にいるようにしゃべっているのである

兼実が弁慶に見えるようだ。兼実は、法王のいいがままにしている。

弁慶法皇の子供だった。

「朕はな、この京都を守りたかった。あの鎌倉が武者どもに、板東の蛮人

どもに政権は渡せぬぞ。

血なまぐさき奴輩。京都を源頼朝藤原秀衡に渡してなるものか」

しばらくは沈黙が続く。

「そうじゃ、西行は、西行はどこだ。崇徳上皇の霊が俺を呼んでおる。

早く、早く、崇徳の霊を追い払ってくれ。のう、西行。そうじゃ、平泉にの霊

御殿をつくる話は、、いかがすすんでおる。藤原秀衡は喜んでおるか…」

兼実は、西行になったつもりで、告げた。

西行はここにおわしますぞ。どうぞ、法皇様。経文を、経文をお唱えくだされませ」

「何、経文をか。よしわかったぞ。それに西行、もし朕が亡くなれば、よい

か。あの法勝寺殿の跡に葬ってくれ。くそっ、木曾義仲め」

法勝寺殿は、現在三十三間堂あたりにあった法皇の御殿であり、義仲の襲

撃によって焼き払われていた。

八角九重の塔は、八十二mの高さを誇り遠くから望見できた院政と京との象徴であったが、今はそれもない。

法皇、安んじなされませ。やや、経文をお読みくだされ…」

「おお、そうだ。そうだ」

後白河は、経文を六度唱えた、そして静かに。院政最期巨人崩御された。

猊下…」

丹後局以下侍女たちが嘆き悲しむ。

しかし、藤原(九条)兼実は、法皇の亡きがらを前に、考える。

これで、、頼朝殿に征夷大将軍の位を与えることができる。

兼実は鎌倉殿、頼朝びいきの男であった。

建久三年(1192)3月13日後白河法皇崩御。66歳であった。

その昔、西行崇徳上皇の霊をしずめることで、後白河法皇の信任を得ていた。

西行は、平泉に第二の御所をつくることと引き換えに、崇徳上皇の白峰神宮をつくることを約束していたのである

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2016-06-02 源義経黄金伝説■第58回 1190年(建久元年) 河内国葛城弘川寺 西行

源義経黄金伝説■第58回

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■ 1190年(建久元年) 河内葛城弘川寺

葛城の弘川寺に西行はいる。 背後には葛城山脈が河内から紀州に南北に広がり

河内と奈良古京の道をふさいでいる。

庵の文机に向かい、外の風景を見ていた西行は、いにしえの友を思い起こして

いた。平泉を陰都にする企ては、昨年の源頼朝の「奥州成敗」により、ついえて

いた。おもむろにつぶやく

「我が目的も、源頼朝殿の手によって潰えたわ。まあ、よい。源義経殿、またその和子、源善行殿も生きておられれば、あの沙金がきっと役に立つだろう」

西行は、崇徳上皇のため、平泉を陰都にしょうとした。また、奥州を仏教の平

和郷であり、歌道「しきしま道」の表現場所にしょうとした。それが、鎌倉殿、源頼朝の手で費えたのである

西行ぼんやりと裏山の方、葛城山を見つめている。季は春。ゆえに桜が満

である

「平泉の束稲山の桜も散ったか。俺の生涯という桜ものう……」

桜の花びらが散り、山全体が桃色にかすみのように包まれている。

「よい季節になったものだ」

西行はひとりごちながら、表へ出た。

何かの気配にきずいた西行は、あたりをすかしみる。

「ふふつ、おいでか?」と一人ごちる。 そして、枝ぶりのよい

桜の枝をボきボキと折り、はなむけのように、枝を土に指し始めた。ひとわた

り枝を折り、草かげの方に向かって、話しかけた。

「準備は調いましたぞ。そこにおられる方々、出てこられよ。私が、西行だ。何の用かな」

音もなく、十人の聖たちが、草庵の前に立ち並んでいた。

西行殿、どうぞ、我らに、秀衡殿が黄金のありか、お教えいただきたい」

「が、聖殿、残念だが俺らの道中、悪党どもに襲われ、黄金は、すべて奪い

去られてしもうた」

「ふつ、それは聞けませぬなあ。それに西行殿は、もう一つお宝をお持ちのは

ず」

「もう一つの宝とな。それは」西行の顔色が青ざめた。

「そうじゃな、秀衡殿が死の間際に書き残された書状。その中には奥州が隠し

金山の在りかすべて記していよう」

「よく、おわかりだな。が、その在りかの書状のありかを、お前様がたにお

教えする訳にはいかぬよ」

「だが、我らはそういう訳にもいかん」

「私も、今は亡き友、奥州藤原秀衡殿との約束がござる。お身たちに、その

行方を知らす訳にはいかぬでな」

西行、抜かせ」

聖の一人が急に切りかかって来た。

西行は、風のように避けた。唐突にその聖がどうと地面をはう。その聖の背に

は大きな桜の枝が1本、体を、突き抜けている。西行、修練の早業であった。

「まて、西行殿を手にかけることあいならぬ」片腕の男が、前に出て来てい

る。

「さすがは、西行殿。いや、昔の北面の武士佐藤義清殿。お見事でござる」

西行は何かにきづく。

「その声は、はて、聞き覚えがある」 西行は、その聖の顔をのぞきこむ。

「さよう、私のこの左腕も御坊のことを覚えてござる」

「ふ、お前は太郎左か。あのおり、命を落としたと思うたが…」

いささか、西行は驚いた。足利の庄御矢山の事件のおりの、伊賀黒田庄悪

党の男である

「危ういところを、頼朝様の手の者に助けられたのじゃ。さあ、西行殿、ここ

まで言えば、我々が何用できたか、わからぬはずはありますまい」

「ふ、いずれにしても、頼朝殿は、東大寺へ黄金を差し出さねばのう。征夷

将軍の箔が付かぬという訳か。いずれ、大江広元殿が入れ知恵か」

西行あざ笑うように言い放った。

西行殿、そのようなことは、我らが知るところではない。はよう、黄金の場

所を」

「次郎左よ、黄金の書状などないわ」

「何を申される。確か、我々が荷駄の後を」

「ふふう、まんまと我らが手に乗ったか。黄金は義経殿とともに、いまはかの

国にな」

「義経殿とともに。では、あの風聞は誠であったか。さらばしかたがない。西

行殿、お命ちょうだいする。これは弟、次郎左への手向けでもある」

「おお、よろしかろう。この西行にとって舞台がよかろう。頃は春。桜の花び

ら、よう舞いおるわ。のう、太郎左殿、人の命もはかないものよ。この桜の花

びらのようにな」

急に春風が、葛城の山から吹きおち、荒れる。

つられて桜の花片が、青い背景をうけて桃色に舞踊る。

「ぬかせ」 太郎左は、満身の力を込めて、右手薙刀を振り下ろしていた。

が、目の前には、西行の姿がない。

「ふふ、いかに俺が七十の齢といえど、あなどるではないぞ。昔より鍛えてお

る」

恐るべき跳躍力である。飛び上がって剣先を避けたのだ。

「皆のものかかれ、西行の息の根を止めよ」

弘川寺を、恐ろしい殺戮の桜吹雪が襲った。

桜の花びらには血痕が。舞い降りる。

西行庵の地の上に、揺れ落ちる桜花びらは、徐々に血に染まり、朱色と桃色

がいりまじり妖艶な美しさを見せている。

「まてまて、やはり、お主たちには歯が立たぬのう」

大男が聖たちの後ろから前へ出てくる。西行は、その荒法師の顔を見る。お

互いににやりと笑う。

「やはりのう、黒幕はお主、文覚殿か」

「のう、西行殿。古い馴染みだ、最後の頼みだ。儂に黄金の行方、お教えくだ

さらぬか」

西行はそれに答えず、

「文覚殿、お主は頼朝殿のために働いていよう。なぜだ」

「まずはわしが、質問に答えてくれや。さすれば」

「お前は確か後白河法皇の命を受け、頼朝様の決起を促したはず。本来なら

ば、後白河法皇様の闇法師のはず、それが何ゆえに」

西行不思議に思っていた。

文覚は、後白河法皇の命で頼朝の決起を促したのだ。

「俺はなあ、西行頼朝様に惚れたのだ。それに東国武士の心行きにな。あ

の方々は新しき国を作ろうとなっておる。少なくとも京都の貴族共が、民より

搾取する国ではないはずだ。逆にお主に聞く。なぜ西行よ、秀衡殿のことを

そんなにまで、お主こそ、後白河法皇様のために、崇徳上皇のためにも、奥州

平泉を第二の京都にするために、働いていたのではなかったのか。それに、ふ

ん、しきしま道のためにも、、」

「ワシはなあ、文覚殿。奥州、東北の人々がお主と同じように好きになったの

だ。お主も知ってのとおり、平泉王国の方々は元々の日本人だ。京都王朝

支配の及ばぬところで、生きてきた方々。もし、京都と平泉という言わ

ば二つの京都で、この国を支配すれば、もう少し国の人々が豊かに暮らせると

思うたのだよ」

文覚は納得した。

「ふふ、貴様とおれ。いや坊主二人が、同じように惚れた男と国のために戦う

のか」

文覚はにやりと笑う。

「それも面白いではないか、文覚殿。武士はのう、おのが信じるもののために

死ぬるのだ」

西行もすがすがしく笑う。

「それでは、最後試合、参るか」文覚は八角棒を構えた。西行は両手を構え

ている。

八角棒は、かし棒のさきを鉄板で包み、表面に鉄びょうが打たれている。

西行、宋の国の秘術か」

「そうよ、面白い戦いになるかのう」

(続く)

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2016-05-30 源義経黄金伝説■第56回

源義経黄金伝説■第56回

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■ 1189年文治5年7月 鎌倉

「さあて、源氏の古式にならい、旗をあげる時じゃ、広元、準備おこたりない

か」源頼朝が言った。

大江広元大江国房の孫である大江国房が参謀として計画、奥州平泉に攻めいるは鉱山貴族である源氏が100年程前から「前九年の役」からの野望であった。

源氏の血を奥州に広めねばならん」

「大殿(頼朝)様、日本のすべての国に動員をかけませ。頼朝様の見方かどう

判断できましょうぞ」

「ということは、源平の争いのおり、我が源氏の軍に刃向かいものどもにも、

動員をかけるわけか」

「さようでございます。今天下は大殿さまに傾きつつあります。誰が見方か、

敵か、この動員に参加するかどうかで見事にわかりましょうぞ。これにより、

大殿様の天下草創が周知徹底できましょうぞ。すなわち、源氏武家の王であ

ることが見事証明できましょう」

「わかった。みなまでいうな。大江広元、その力をもって平泉を征服しょうぞ」

武家としての源氏平家の関東制覇と奥州攻略の歴史は長い。奥州の金鉱石を狙い血みどろの争いが続いた。

東国では、名高い平将門(まさかど)の乱の後、1028年(長元1年)平の忠常(ただつね)が反乱を起こした。千葉氏の祖である

追討使は源頼信。多田の満仲の子供である多田(現兵庫県川西市)の源満仲は、源氏武家の始まりとされ、多田銀山の銀を持って貴族に取り入り、京都王朝での立場をきづく。

源頼義(よりよし)は奥州に攻め入り、前九年の役(1051年から1063年)、後三年の役 (1083年−1087年)を通じて関東平家を郎党とする事に成功した。

源頼義(よりよし)は、板東の精兵を、奥州の乱の鎮圧に動員した。その契機は平直方(なおかた)の娘婿となったからである

平忠常(ただつね)の乱のお り、平直方(なおかた)は追討使となり、源頼義(よりよし)の騎射の見事さ に感心し、娘を嫁がした。

平直方(なおかた)は鎌倉に別荘を持っており、源頼義義理からこの屋敷を譲り受ける。

鎌倉は関東平氏のの勢力範囲であったが、源氏は関東地方に人の支配権を得た。源頼義の子供であり平直方(なおかた)の外孫である義家(よしいえ)は、前9年の役、後3年の役でその武名を天下にとどろかせた。

源義家よりの4代目が、源頼朝、源義経の兄弟である

後三年の役は1087年に 終わる。

その100年後、頼朝私戦、奥州大乱は、1189年7月鎌倉の出発を持って始まる。

頼朝は、新しい日本歴史を作ろうとしていた。

日本の統一である

■6  1189年(文治5年)9月 平泉王国   


奥州王である藤原泰衡は悲しくなった。

なぜ私が攻められるのだ。

(約束を守ったではないか。ちゃんと頼朝が言うとおり、義経を殺し、その首

差し出したでしないか。義経を差し出せば、奥州は安堵するという約束をし

たではないか。くそっ、西の人間など、やはり信頼できぬ。この戦どうしたも

のか。助かる手段はないものか。そうだ、ともかくも頼朝に平謝りに謝ろ

う。そうしなければ、親父殿、祖父殿に申し訳が立たぬ。この身、どうしても

奥州仏教王国守らぬばのう。

 そうだ、まだ西行がおる。あやつを捕まえ、頼朝に申し開きもうそう。そう

だ、それがよい。

奥州の平泉王国第4代国王藤原泰衡は思った。

一瞬後、その命が吹き引き飛んでいた。

郎党、河田次郎の裏切りであっ た。

奥州黄金郷は、ここに滅んだ。

1189年(文治5年)9月3日の事である

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2016-05-27 源義経黄金伝説■第55回★1189年(文治五年) 十三湊(とさみなと)

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■ 1189年(文治五年) 十三湊(とさみなと)      

津軽平野を横切る岩木川の河口に十三湖と呼ばれる海水湖がある。現在は狭

い水戸口で日本海と結ばれているが、昔は広大な潟湖であった。

 義経と吉次が目指していた十三湊(とさみなと)がここである

 藤原秀衡、その弟秀栄の勢力圏である

この十三湊を中心に蝦夷地、中国大陸との貿易を行い、繁栄していた。この湊から貿易された蝦夷や、黒龍江など、異民族の産品は、京都に送られ、公家たちを 喜ばせていた。

 夷船、京船など各国の船が商売を求めてこの港をおとづれている。その船どまりに、吉次の船は停泊している。船を外海用の船にさし変えて出かける。食糧、水を積み込むためである

「吉次よ…」

と義経は吉次に呼びかけていた。牛若の頃を思い出している。

「そうだ、あの源空はどうしていよう。今の私の姿を見たらどういうだろう」

源空はすでに法然として宗教活動にとりくんでいる。後白河法皇帰依してい

るのだ。

無駄な殺生はおやめなされと今でもいうかな。だがすでに私の手はもう汚れている、平家の若武者の屍をいくたり気づいてきたことか。日本全国に死体の山を気づいていた。兄じゃのために、その私が兄者のために、この日本を追われるのだ)

今はもう若き頃、思い出だ。

「京都の鞍馬山、よう冷えたな」

「はっ、殿。京と鞍馬山よりも奥州平泉の方が寒いのではありませぬか」

 吉次は、義経の質問意味をうまく理解できずに答えていた。

「いや、吉次。人の心じゃ。京の人の心は冷たすぎる。あの都市の地形によるものなのか」

「殿、これからゆかれる蝦夷はもっと寒うございますぞ。雪も深うござい

ます

「そこに住む人の心が暖かければよいが…」少しばかり義経は考えていた。

「ところで吉次。静は健やかだろううか」

心配なされますな。後ろ盾には西行様がついておられます

「が、西行様もお年じゃ」

「ようございますか、義経様。義経様が今日あるは、西行様の深慮遠謀のお

陰。すべて考えられる手は打っておられます

 義経は、目の前に広がる寒々とした日本海の海面を見つめ、寂しそうにして言った。

「そうであろうな、無論。が、吉次殿、お前はなんで私を逃がす手助けをし

た。なぜ心変わりした」

「吉次は商人。利で動きますぞ」吉次は僅かに笑ったようだった。

「利か。私と一緒にいて、お主に何の利益がでるか」

「ふふう、それはこれからの義経様の動き次第。よろしいか、義経様。十三湊の先は宋国そして、あの金でございます。また新しい国が誕生するとの噂も聞いております。その時に義経様に助けていただきましょう。藤原秀衡様の祖父、清衡様は、昔から黒龍河を逆上っておられます。その河の沿岸には、商品が数多くございましょう」

「それに吉次、俺は蝦夷の地図を持っておるからな」

「そう、それでございます。それは言わば宝の地図。いろんな商材がありましょう」

 吉次は遠くを思いやるような眼をした。

「もう一度、夢を追ってみるか」吉次は思った。

 (奥州藤原秀衡様のお陰で一財をなした。が、その秀衡様も今はない。これからの日の本は、源頼朝殿の世の中になる。が、そのうち外国で一儲けも二儲けもしてみよう。商人吉次の心には、もう日本の事は映っていないかもしれない。

出雲、備前、播州、大坂渡辺、京都平泉第、多賀城、平泉、、。

あちこちを移り住み、商売をした。平の清盛と共に奥州の金をつかい、福原で宋の商人と貿易もした。日本全国に吉次事の手配の者が散らばり商売を行っている、主人であるこの儂がいなくても、商人の砦としての吉次王国は揺るぎもしまい。儂の後輩が跡を継いでくれよう。日本全国に儂のような商人が増え、日本の商売繁栄し、日本が繁栄するだ)吉次はそれを、望んだ。

(日本が平和であればよい、すでに頼朝殿により、日本は統一されるだろう)

もの思う吉次、義経二人の前に、唐船が、突然現れて、義経らの船腹に急激

に力任せにあたっていた。

衝撃が走る。

 「む、この唐船は、、何用」

 「何奴?」

から竿がのび義経の船へ。その船へ飛び乗ってきた僧衣の聖たちが、突

然、義経を圧し囲んでいた。

「義経様、お命ちょうだいいたす」聖たちが叫んだ。

「待て、お主ら、誰の手の者だ」

「我らか。我らは文覚様が手の者だ」

「何!文覚」

「今はもう頼朝様が世の中。義経様のこの世での役割、もう終わられたぞ。消えていただきたい」

「まてまて、お主ら、文覚殿にお伝えあれ。この義経は兄上と張り合う、そのような望などない。もう私、義経は日の本にはおらぬ。遠い国へ行くのだ。日の本のことなど預かりしらぬこと」

「それが俺らは合点が行かぬ。いつ帰って来られるかわからぬ。それは頼朝様が世を危うくする」

 聖たちは、八角棒を構え、殺意をあらわにしている。義経はしかたなく刀を引き抜いている。いにしえの征夷大将軍、坂上田村麿呂将軍ゆかりの刀である。飛びかかる男を二人切り放った。船上で、殺戮が始まろうとした。

「まて、皆、やめよ」戦船の長らしい男が、船からわたって来て、義経に対峙していた。

「義経様と存じ上げます、我らも無駄な殺生はしたくはございません。文覚様から伝言をお聞きいただきたい」

「何、文覚殿の…、申してみよ」

「もし、坂上田村麿呂将軍ゆかり太刀をお返しくださるならば、我々手を引くように言われております。我らが目的はその太刀でございます

「なに、この大刀を…」

「さようでございます。その太刀は征夷大将軍太刀、大殿様にとっては征夷将軍という位、大切なものでございます。また皇家にあっては、その太刀が外国に渡ること、誠に困難をを生ぜしめます、なぜなら皇家にとって、その刀は蝦夷征服をして統一を果たした日本国を意味する大事な刀でございます

吉次が言った。

「義経殿、よいではないか。お返しなされい。そんな太刀など、どうでも良いではございませぬか」

「何を言う、吉次。お前も知っておろう。この太刀、我が十六歳のおり、鞍馬から盗みだし、ずっと暮らしを共にしてきた刀じゃ。そう、やすやすと…」

船長(ふなおさ)が、続けて言う。

「では、こういたしましょうか。約束をもうひとつ。もし、その太刀をお返しくださるならば、決して義経様が和子、義行(よしゆき)様を襲いはしないとお約束いたしましょう」

「我が和子をか。くそ、文覚め」

「が、殿、このあたりが取引の決め所かと」

吉次が告げる。

「この商売人めが。むっ」

しばらく、義経は考える。

「よい、わかった。この太刀、お返しいたそう。が、必ず、我が和子、義行がこと、安全をはかってくれ」

 義経の太刀は、頭らしい男の手に渡った。

やがて船と船とを繋いでた桁が外されている。

「では、義経殿。よき航海を、いや、失礼いたしました。これから先の事。我々の預かり知らぬ方。我々は義経殿には合ってはおりませぬ。ただ、海の中から、伝来の行方知らずの太刀を、拾いあげただけの事」

 両船は、少しずつ、離れて行く。

「が、義行のこと、必ず約束を…」

義経は船にむかい叫んだ。

「わかり申した。文覚様にそう告げます

大丈夫でしょうか」

吉次が疑問を投げる。

「まあ、西行殿、鬼一殿、生きておわす間はな、大丈夫であろうよ」

義経は、遠くをみながら言った。

20131013(続く)●山田企画事務所

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2016-05-25 源義経黄金伝説■第54回

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■文治五年(1189)鎌倉

文治五年(一一八九)六月一三日。

「九郎義経殿の首、届きましてございます大江広元が、源頼朝に告げていた。

「何、義経の…」

「いかがいたしましょう。御館様直々に」

「いや、止めておこう。顔を見知りおく軍監、梶原景時と、和田義盛に行かせるのだ」

これが義経が首か。

塩漬けにされた首が、漆箱から出された。梶原景時は思った。

何とこやつは不思議な奴よ。数々の新しい戦い方を考えつきながら、言う

こと、話すこと、考えることは、まるで童子のような奴であった。

義経の首は、塩漬けにされていた。

奇麗に彫金された漆の箱から取り出される。

されど、泰衡も可哀想な奴よ。自らの首を絞めよったわ。頼朝様が自分

弟をこのような目に合わした奥州藤原氏を許す訳がない。なんと政治的見解のない男よのう。所詮は奥州の田舎者祖父、父よりはずーっと人間が下がりおる。梶原は思った。

頼朝様の怖さを知らぬ。あの方は自分の思いどおりに動かぬ者、あるいは頼

朝様の思いを読み取れぬ者を非常に嫌われるのだ。が、それに義経に対する兄弟愛を泰衡は気づかなんだか。

義経を捕縛して、頼朝殿に差し出せば何とかなったかもしれんな。いや

、まてよ、やはりだめか。

頼朝様が欲しいのは、奥州は金の打出の小槌よ。頼朝様が言えば言うだ

けの金が送り込まれて来るわ。

これから戦略を梶原は思った。

頼朝は忙しげにあちこち歩き回っていた。

頼朝自分命令しておきながら、義経の首は見たくなかった。

「どうであった」

不安げに頼朝は、大江広元に尋ねた。

「梶原曰く、確かに義経様の首であったということです」

「むう、泰衡め。我が弟を殺しおったか。早速、奥州を打つ。我が弟が敵だゃ」

 頼朝は、急に怒り出した。

その怒りの激しさに、広元は驚いている。

なぜだ。ご自分命令なさったくせに。この殿は、京の女子のようなところ

があるな。 

院宣はいかがいたします」

「そのようなもの必要あるまい。この頼朝の弟を殺したは許しがたい。奥州藤原 氏め、余が総指揮をとって攻め滅ぼそうぞ」

 頼朝は甲高い声で、上ずって、まるで常軌を逸してに命令してい た。

「御意。いよいよ日本は、頼朝様のもとに」

大江広元よ。日本よりも、俺は義経を殺した藤原泰衡めが憎いのじゃ。父、藤原秀衡があれほどかわいがっておった義経を、自分王国支配したいがゆえに、 殺してしまいおった藤原泰衡めがのう」

「はあ…」

広元は急に気が抜ける気がする。

一体、何を考えておられるのじゃ。が、まあよい。今は奥州藤原氏を滅ぼせ

ばよいのだ。

大江広元と、源頼朝は、しばし無言でみつめあう。

頼朝は、急に昔にした義経との会話を思い起こした。

「兄上、父上は兄上に似ておられますか」

 頼朝は、急に義経にこう聞かれたのだ。

「なんだ、こいつは…」

 義経は真剣眼差し頼朝をじっと見つめている。

「こやつは子供か」

頼朝は思った。

義経は、父のことを覚えていないのだ。

一二歳の時まで父親と一緒に戦い、無念にも負けた頼朝とは違う。

父親愛情を受けたこともなく、父の記憶もまったくないのだろう。義経の心のどこかに、父を思う気持ちが常にあるのだ。

と、人間観察にかけては優れている頼朝は思った。

このような純粋な心を持っている奴は、かえって危ない。思い込んだらそ

れこそ命懸けだと、頼朝は義経の心の純粋さを羨み、そして義経を憎んだ。

一方、大江広元は、鎌倉へ来られよという書状を受け取った日のことを思い起こしていた。

貧乏貴族である大江広元は、昇殿を許されていない。つまり、帝にお会いすることなど、かなわぬのだ。

しかしながら、幼少のころから蓄積された学問が、広元の自意識肥大させ

ていた。

私は大江の家のものだ。自分ほどの者が、なぜ重用されぬのか。藤原阿呆

どもが、どんどん出世し、なぜこの俺が、このような貧乏ぐらしをしなければならぬのか。

鬱屈した意識が、一層勉学に打ち込ませていた。

そんなある日、源頼朝の元にいる知人から、ぜひとも鎌倉へという手紙を受

け取のだ。

新たな天地、

板東の鎌倉!。

新世界。

広元は迷った。

鎌倉などは町ではない。

この当時、日本で都市といえたのは京都、そしてかろうじて南都奈良。そして奥州藤原の平泉。それ以外は泥臭い田舎である教養人など、一人もいないのだ。  広元は文化香りが好きだった。知的な会話を欲していたのだ。その知識人のいない鎌倉へなど。

しかし、源義経の存在が、広元の意を決しさせた。

それは暑い日だった。

その日、木曽将軍を滅ぼした義経の軍勢は、都大路を行軍していた。

京の民は、「ほう、あれが義経か」と物見高く、都大路に並び、一目有名な義経を見ようとざわめいていた。義経は武巧一の武者であり、そしていわばアイドル スターだったのだ。

大江広元は興味にかられ、庶民の間に入って、義経の軍勢を眺めていた。

「うっつ」

広元は、衝撃を受け、急に道ばたに倒れていた。

何かが広元の額に当たり、一瞬気を失い、倒れたのだ。

やがて、気がつくと、額が割れじっとりと血がにじんでいる。

くそっ、一体」

「だいじょうぶかい、お公家さま」

見知らぬ庶民が、不安げに広元に声をかけている。

「一体、私はどうしたのだ」 思わず、ひとりごちていた。

「お前さん、気付かなかったのかい。義経さまの馬が撥ねた石が、お前さ

んの頭に当たったのさ」

額に手をあてる、じっとりと血がにじんでいる。

「何…、今、源義経殿は…」

怒りの勢いに、その庶民の男はのけぞり指さす。

「ほら、あそこさ」

大江広元は勢いこんで人込みをかき分け、源義経の顔を覚えておこうとした。

「おのれ、源義経、覚えておけ」

相手凱旋将軍。何も覚えてはいまい。俺は単なる路傍の石。が、今に見て

おれ。

何かが広元の中ではじけていた。

俺は、俺の知識で新しい国の形を作ってやる。源家武威で国を治めるならば、わが家、大江の家は知識で新しい政治の形を。

急にそんな思いが、広元の心を一杯にした。思いもかけぬ考えだった。そんな

ことを、今の今まで考えてもみなかった。

この日、しかし、民衆の羨望の目を浴びながら、にこやかに、すこやかに、

何の苦労も知らぬげに、都大路をゆったりと後白河法皇の元へ向かう源義経に、

大江広元は、どす黒い怒りを覚えた。

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2016-05-22 源義経黄金伝説■第52回

源義経黄金伝説■第52回

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「もはや、これまでだ。義経殿を高館を襲え」

 文治五年(1189)4月30日 奥州、藤原泰衡は、目の前に揃う武者に命令を下していた。激情で目の前が真っ赤になっているのだ。

奥州藤原の武者たち500騎は「おう」と鬨の声を上げる。

藤原秀衡がなくなりまだ、2年とたたない。泰衡は平泉で兄弟や部下の粛正を

つくかえしている。自分命令を聞かない部下や弟を亡き者にしていた。

その滅亡へ、自ら進んでいるのだ。

武者は、義経がいる高館を目指して駆け寄ってくる。

高館の物見がきずく。

高館に火矢が打ち込まれる。

泰衡の軍勢は、半刻後、高館を取り囲んでいた。

逃れる道はない。高館へのすべての道は兵で塞がれている。

「高館が、燃え上がっております

 燃え上がる高館近く、北上川の対岸で、西行と静が二人していた。

くそ、まにあわかたか。静殿、残念だ」

「静殿、義経殿にあのこと伝えてられよ。聞こえるかも知れぬ」

西行は静を促した。

「殿、和子は生きておわす」

遠くから、静は義経に呼びかける。聞こえているのかいないのか義経の姿は望

見できない。

「殿、わ、和子は…大江広元様のご慈悲で生きておわす。和子の命、お守りくださると約定いただきました。これは政子様も、ご承知になられております

義経の姿が見えたような気がした。

静の姿にゆっくりうなずき、炎の中に入って行った。

 火の手が高館すべてにまわっている。

 外から呆然と見上げる西行と静。

「さあ、もうよかろうぞ」

「義経さま……」

静は、高殿の方へ声を限りに叫んでいる。

高館の中、

「もはや、これまでか」

義経はうめいている。

「義経様、どうぞ、ご準備のほうを」

 東大寺闇法師、十蔵が、義経そっくりの顔で言う。

十蔵は西行命令で、この地にいるのだ。

「十蔵、私だけが助かる訳にはいかん。

私を信じてついてきてくれた郎党たちも、助けてくれ」

「義経様、それは無理というもの

 義経の回りには、弁慶始め郎党たちが、取り囲んでいる。

皆、覚悟を決めているのだ。

「どうぞ義経様、お逃げくだされ。我々はここで討ち死にし申す」

弁慶が涙ながらに言う。

「そうです。それが日の本のため」

他の郎党も続けた。

「どうか頼朝殿への無念をはらされよ」

弁慶自分だけいい子になるなよ」

「よろしいですか。義経様は我々の宝。

いえ、この日本の黄金じゃ、どうか生き延びてくだされ」

「武者は戦場で死ぬものでございます。我々、義経様のために死ぬこと、恐れ

ませぬ。むしろ誇りに思います

「我々は、平氏との、幾たりかの、戦いを、楽しませていただきました」

武勇こそ武士の誇り]

「義経様…」

「俺は良き友を持った」

義経のほおを、滂沱の涙がしたたりおちている。

義経は、その涙を拭おうともしない。

「友ですと。我々郎党をそのように…」

 義経の郎党、全員が義経をとりかこみ泣いている。

皆、胸に込み上げて来るものがあるのだ。

 弁慶は思った。

これは愛かもしれんな。

衆道ではない。仏門で、衆道は当たり前だが、俺の義経様への思いは、やはり愛だろう。

そうでなければ、もともと俺は後白河上皇様の闇法師だ。

鎌倉殿の情報を取り入れがために、義経様に近づいた。

 弁慶不思議に思った。

そして時折、後白河法皇の憂鬱げな顔を思い出していた。

弁慶を見る法皇のまなざしには何かがあった。

家族愛不思議感覚であった。

弁慶は、また、一個の後白河法皇の闇法師、いわば法皇の捨てゴ

マだった、その男に対し法皇のまなざしは何かを告げようとしていた。

法皇は、今でもまだ、白拍子を呼んで、今様(いまよう)を口ずさんでおられるのだろうか。弁慶は遠く、京都にいる法皇を思った。

「泣いている暇など、ございません。早くお逃げくだされい」

東大寺闇法師、十蔵が促す。感傷に冷や水をかける。

「何じゃと、人間感情がわからぬ奴だのう、お主は」

 弁慶が涙で目を一杯にしながら、十蔵にけちをつける。

弁慶殿、俺らが東大寺闇法師の命は、目的のために捨てるのが定法。

今がその時。一刻も猶予はならんのだ」

「十蔵殿…」

 義経が十蔵の肩に手を乗せた。

「済まぬ。私がごときのためにのう。おぬしの命を捨ててくれるのか」

「何をおっしゃいます奴輩は、炎の中で死ぬが本望。先に東大寺での戦で、

多くの部下を殺しておりまする。また目的死ぬこと、東大寺の闇法師として

恐れはいしませぬ」

「すまぬ。許せ。皆、さらばだ」

 義経は、高殿地下につくられた坑道から消える。

十蔵が支度し、施工した坑道であった。

東大寺勧進職である、重源殿の絵図、役に立ったな」

弁慶がひとりごちた。

 やがて平泉、北上川を見下ろす、北政庁北西の小高い丘にある高館に、藤原

衡の軍勢がわれさきになだれこんできた。

「お主ら、ここから先は地獄ぞ。わしが閻魔大王ぞ」

弁慶が叫ぶ。

 その弁慶めがけ、数十本の矢が打ち込まれていた。

 弁慶は一瞬、たじろぐが、再びからだを動かし

「ぐっ、これは、これは、泰衡殿の武者もなかなかのもの、決して平家の武者どもにひけはとらねのう」

矢羽を片手つかみで、みづからの体から、引き抜きながら、

弁慶は泰衡の兵に打ちかかっていく。

「こやつは化け物か」

泰衡の兵共がその生命力に驚いている。

西行と静は、まだ対岸にいた。

静は、うなだれている。

「静殿、さあ、今上の別れだ。一節、薄墨の笛を吹いてくださらぬか」

西行様、酷なことをおっしゃいます。それに果たして、義経様に聞こえるか

どうか」

「何をいわれる。静殿の義経殿への愛の証し、ここで遂げられよ。

義経殿の冥途への旅に、趣向をなされ。それが、静殿のお持ちの源氏ゆかりの薄墨の笛だ」

 西行文人、しきしま道の主導者であった。

この殺戮の場においても、文学者的な演出を試みる。

それが、静には奇妙に思われる。この方西行様は何をお思いなのかか。

「薄墨の笛」

これは代々源氏の長者に受け継がれる、鋭い音色の出る笛、竜笛である

から、中国では竜の声として言われているのである

 静は、この笛を、吉野で義経と別れた時にもらっている。太郎左たちに襲わ

れたときも肌身離さず持ち歩いていたのである

「よいか、静殿、最後の別れ。一節吹かれよ」

西行は、静に命令している。

西行様は、酷なことを、、」

「静殿、義経殿への想いを、この場でされよ…、義経殿とは、もう二度とはこの世の中で会えぬ。別れを惜しまれよ」

 静は、涙ながら笛を手にした。

 高館の火の手は、一層燃え上がっている。

 炎を背景に、笛を吹く静の姿は、妖艶であった。

静の目の色は、今や狂人のそれである。悲しい音色が、いくさ場の中で、旋律を響かせている。

『十蔵殿、頼んだぞ。このあいだに義経殿は、お逃げくだされい』

 西行は心の中で叫んでいた。静には義経が逃げる事は教えていない。

時間稼ぎの目くらましに、静を使おうとしていた。

「ああ、義経様」

演奏の途中で、静は崩れ落ちる。秘笛は川原にころがりおつる

 西行は、静を抱き起こし姿を消そうとした。

藤原泰衡の軍勢が、北上川対岸にいる、西行と静に気づき、こちらにむかって

きたからである

東大寺闇法師、十蔵は、高殿の炎の中、僧兵の雄叫びを聞いたような気がした。

ここが死に場所。平泉、高館。そして義経殿の身代わり。

何とよい死に場所を、仏は与えてくれたものか。東大寺大仏を焼いてしもう

た心残り、部下の僧兵たちを助けられなかった責は、これで少しは心がやすんじられよう。

悪僧(僧兵)の頃に、心は戻っていた。紅蓮の炎を見ながら、十蔵は思った。

心は、その時に舞い戻っている。

奈良猿沢の池のまわりに、僧兵の首のない死体ごろごろ転がり、地面を流れ

た血糊が、地を、どす赤黒く染めあげている。

東大寺興福寺伽藍燃え上がる紅蓮の炎は、火の粉を散らせる。死体

くすぶらせる煙が舞っている。えもいわれぬ臭みが、辺りを覆っていた。空は

昼というのに、炎のため浅黒く染まって見える。

あちこちの地面に差し込まれた棒杭の先には、平家の郎党に仕置きされた僧

兵の首がずらりと無念の形相を露にしていた。

ここが死に場所、熱さが十蔵の意識をおそう。

紅蓮の炎が重蔵の体をなめ尽くした。

東大寺闇法師、十蔵の体は、義経として滅びた。

(続く)

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2016-05-21 『デザイン政策ハンドブック2016』公開のお知らせ

クリエイティブ産業News92号 (平成285月19日)より

『デザイン政策ハンドブック2016』公開のお知らせ

⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒

デザイン政策にかかわる行政官等が活用できるハンドブックとして、デザイン政策

概要関係資料、各都道府県・デザイン関連団体等の施策掲載されています

以下のページに公開されております。ぜひご参照ください。

◇デザイン政策ハンドブック2016

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/reports.html


●日本のデザイン会社事情はここ

日本で9000会社程度見たいですね。統計上は。

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/file/2016handbook/04_toukei.pdf




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2016-05-20 ■山田企画事務所ユーチューブ■youtube.com■シリーズ

2016-05-14 ガーディアンルポ03「洪水」 http://ncode.syosetu.com/n1503de/

ガーディアンルポ03「洪水」

http://ncode.syosetu.com/n1503de/


ガーディアンルポ03「洪水」

地球の廃墟で、最後生存カインは地球滅亡を迎える。が彼は自らの生命形態を変えて、地球を再生し、敵への復讐を硬く誓う

僕、カインは、地球人であり、我々を助けるために来た宇宙人、LS星人に助けられる。

僕は彼女アニーそして僕が、この星で生きていくためのパートナー。を探す。地球は、射線の熱射による犬洪水で滅んでいた。敵星「ROW」に対する復讐のため、私はあるモノに自分を変化させて 復讐を誓っていたのだ。

山田企画事務所・飛鳥京香 サイト などより転載http://plaza.rakuten.co.jp/yamadas0115/

飛鳥京香/SF小説工房山田企画事務所

2016-05-05 山田企画事務所の協力作家・イラストレター石田雅也さんのHPです。

山田企画事務所の協力作家イラストレター石田雅也さんのHPです。

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http://oshiruko-design-factory.jimdo.com/

制作に興味があるからは、どちらからでもご連絡下さい。

よろしくお願いいたします。

2016-05-04 今年の夏に兵庫県にて「メカムシ教室」開催予定です。

メカムシ教室」開催予定

2016年05月04日(水)

今年の夏に兵庫県にて「メカムシ教室」開催予定です。

詳細はお待ち下さい。

http://mekamushi.com/

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メカムシ工房

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あまりに先の話ですが、子供さんの夏休み工作にどうぞ!

2016-04-17 源義経黄金伝説■第39回

源義経黄金伝説■第39回

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頼朝は、競技場傍に設けられた仮屋敷に戻り、体を打ち振るわ

せ、怒りをあらわにしている。大江広元と、文覚の二人を前に

怒鳴っている。

「よいか、本日自重しょう。が、奥州平泉を攻め滅ばした後

はかならづや、西行とその結縁衆を滅ぼすのだ。また、あの西行

敷島道を完成させてはならぬ、我々武士武威と、仏教にて、

この日本は支配されるべきだ」

「ははつ、かならずや」二人は唱和した。

「奥州平泉を滅ぼすは、我が大江家の悲願でもあります

「大殿様、ワシは、その頼朝殿の考えに惚れたのです」

文覚が言葉を続ける。

「奥州仏教王国を滅ばしさん、その黄金を手に入れて、今度は

この鎌倉を仏教王国にいたしましょう。そうだ、我が鎌倉

大仏建設いたしたしましょうぞ」

大江広元言葉を継いだ。

「結縁衆のやつばらには、我々が恥をかかされておりまする。

たとえ、比叡山、高野山がどういおうと、奴らを、山の中に

おいこみましょうぞ。この街道筋や、湊泊まりに、居る場所

がないようにいたしましょう、その支配体制頼朝殿のお力

でなしとげましょうぞ」

摂津、川西多田から鉱山貴族となり、金属資源の使い方を知

り尽くした軍事貴族源氏は、当時最大の黄金郷、奥州平泉

を攻め滅ばさねばならなくなった。

それが昔年の、源氏氏長者うじちょうじゃ、頼朝の使

命だったのである

別の仮小屋にて、北条家の面々が集まっている。

「婿殿は、、、我々板東政権にとって、いらぬ時がくるかも

しれぬのう、政子殿、その事、政子殿考えておられよ。

幸い、ワシは2人の子供に恵まれておるが、我らが源氏の方々を

頭にいただいて、いくが当然だが、その氏の長者がやく

にたたぬ時もありえよう」

北条時政が周りを見渡し言った。

政子は、顔を青ざめながら、ゆっくりと首肯した。

その頃、頼朝大江広元だけと話をしている。

「広元、私は、お主の使われせた、手先の者どもの事

は相知らぬぞ。おまえに任せるが、失敗した折りは、す

べて、お主が責任をとれ。お主がどう動こうと私は知

らぬこと。また、鎌倉の郎党の者もこの仕事に使うのはやめるのだ」

矢継ぎ早に、頼朝は命する。

「まさに、ここ、御矢山で、西行盗賊に会うのは、ご神

前で誓った私が恥をかく。また、この事は、文覚にしれるではないぞ」。

しばらくして大江広元が、北条政子に呼ばれていた。

「ここは、ふたりだけの相談でございます大江広元殿、

いかが考えられる、いや、これからの攻め手の事でございます

大江広元は、頭を振り絞る。ここは、政子殿、いや北条家に

自分の知略を見せておかねばなるまい。

「あるいは手として、義経殿の命と、奥州黄金の支配権

とを天秤にかける方法もございましょうが」

「それは、坂東の方々、世の方々が納得すまい」

武士武士。ころはそれ、後白河法皇の勅宣という事

もございましょう。まして、藤原秀衡様が亡き後ならば

、義経殿の支配に、奥州の武士の方々がつき従うとお思

いですか。それはありますまい」

「それはなぜですか」

「奥州は、源氏の流した血で汚れておりますぞ。その象

である源氏の義経殿を、中心にすえるは、奥州武士の面々が

いかにも納得いたしますまい。

まして、義経殿の戦い方は、山丹さんたんの手法でございます

我が国武士手法ではございません。奥州武士が納得いたしません。

ここは、京都を利用いたしましょう」

「そは如何なる方法にてか。大江殿」

「我が探索によれば、決して、奥州平泉の藤原家兄弟仲は良く

はございません。鎌倉殿に、日本支配権を奪うまでは、

利用できるものはすべてお使いになられた方がよろしゅうございましょう。

京都、奥州、さらには、あの西行殿の手下どもも」

と告げて、大江広元は、政子の顔をじっくり見た。

「まして、義経殿は、平家を滅ぼした戦の上手でございま

すぞ。義経殿の和子がまだ生きておわす事を知るは、政

子殿と、この大江広元のみでございます

政子はひやりとして、少しばかり話題を変えた。

「この日本に昔からおられる方々を、支配やすくいた

しましょう。住む場所をきめすのです」

「良き考えです。また、板東には、京都から新しい仏教

移住させ、武者殿のこころのささえになる教えを使いまし

ょうぞ。我々が許す、信じやすい形の仏教を広め、鎌倉

佛都にするのです」

頼朝殿が征夷大将軍の位におつきになり、この国をおさめ

る事になっても、この国の民をお忘れなきようにお願い

いたします。

この国は武士だけによって動いているかわけではござ

いません。京都の貴族、我我、武士。文覚殿のような

法師殿が支配するわけでもない」

「さようです。国を富ましましょう。そして、相国平清

盛殿が押し広げた中国宋との貿易、また平泉がもつ山

丹の貿易も、てにいれましょうぞ。

さすれば、あのような、民草は恐れる必要はございます

まい。土地の支配権を、貴族や仏教からとりあげ、

土地は、我々、板東の者ためにいかしましょう。

それこそが、我ら坂東の武者が生き残る道でございます

大江広元は、源家から北条家に乗り換えていた。


御矢山神社にある荷駄隊の馬留め場まで戻った西行は、

十蔵の顔を発見した。

早々と、結縁衆や武士の郎党は、この神社境内から姿を消しつつ

ある。田舎にある神社の静寂が、すでに戻りつつある。

西行は、十蔵に頭をさげながら、つぶやいた。

「ふふ、また、おかげで生き残ってしもうたか」

「お役目ご苦労でした」

「さてさて、十蔵どの、今度はな、静どのを助ける番か」

と、西行は戦人いくさびである事を告げる。

東大寺闇法師、十蔵はにやりとうなづいた。

続く2010改訂

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2016-04-11 近江八幡・八幡堀の桜の風景です。

2016-04-07 源義経黄金伝説■第33回

源義経黄金伝説■第33回

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西行殿、こちらへ、」

西行は、頼朝家人にいうがまま、競技場に向かっていた。

東大寺闇法師、十蔵は、この競技場にたどり着く前に姿を消していた。

競技場の飾り手照られた門をくぐり、その道は、観客関にあたる土壇をつ

ききっている、西行は、競技場の真ん中に立たされていた。

観客の目が西行に注がれ、500名はいると思われる観客の目の圧力が押し寄

せてきた。急な演目の変更に、観客はどよめいていたが、

やがて、それは一瞬の静寂を呼んだ。

西行は、くらくらと、緊張し、少しよろめいた。

やがて、中央土壇にいる人物がゆっくりと立ち上がり西行にかたりかけた。

頼朝である

最初に、西行扇子で指し示す。

「高き所より、失礼いたします。今は私がこの祭事主催者なのでのう。聞いて

下さい。御家人衆の方々。ここにおられるは、西行法師どの、元の名は、

佐藤 義清 殿。鎮守府将軍、藤原秀郷 殿、御子孫

ぞ。私の願いにて、ここ御祭りに来ていただいた」

驚きの声があがる。

平将門を討った藤原秀郷 は、この坂東地方でが、武士の鏡である

「そしてまた、西行殿は、奥州藤原氏との御親戚だ」。

再び感動の声があがる。

「さらには、今、奥州藤原氏より、奈良大仏塗金用の砂金を運んでおられる」

三度、声が、ご家人からあがり、競技場に響きわたって。

頼朝は、この御家人の歓声を受けてほんのり顔を赤らめていった。

西行どの、ご安心めされよ。我々、鎌倉勢は、その砂金を奪おうとはいた

しませんぞ。このご家人衆の前で、西行殿と砂金の事をかたるは、道中の安

全をはかるため。この頼朝が、西行殿の安全をはかると言った以上、約定

守らなければなりますまい」

頼朝は、さらに告げた。

「さらに、西行殿の弟、佐藤 仲清どのの所領、紀伊国田仲荘のご安堵をは

かりましょうぞ。佐藤 仲清どのは高野山との争いをおこしておられる。以前は、平清盛殿から、安堵いただいたそうだが、今は、平家ではなく、我が源氏にま

かせらるが常道。おわかりか。そうだ、西行殿は北面の武士であられた

ときは相国、平清盛殿と、また、文覚殿とご同輩と聞き及ぶ」

歓声は続いた。

佐藤 仲清の所領、紀伊国田仲荘、その土地の所有安堵に関して、鎌倉の源頼朝が握っている事を、知らしめている。この御家人衆の前で、西行の氏素性を、検めるは、頼朝に、目的があったのだ。

西行どの、先の月、鎌倉にて、古式よりの弓馬の道を教えていただきま

した。それゆえ、我が源氏平家への、戦勝を祝うこの祭りにて、その秀

郷流の兵馬の道を見せていただけぬか。この板東の武家にな、元々、佐

藤家ご出自は、板東下野と聞き及びます

きっと、西行は、土壇段桟敷上の頼朝を見上げる。

頼朝殿、黄金輸送鎌倉殿が責任をもっていただけるというわけか」

西行はしばらく黙った。

「あの砂金は、大仏を完成させて、天下静謐を願うために使うもの。きっと武士の約束を果たしていただけるか」

頼朝は、いらなぶ板東御家人もの前で、西行をにぎりつぶすつもりだ。

平将門を倒した、京都の武家藤原秀郷の9代目子孫、その子孫、西行を、鎌倉

殿である、私、頼朝の前にひざまつかせるのだ。

また、奥州藤原氏の黄金の荷駄隊を見せる事により、これから握りつぶ

すべき、奥州藤原黄金王国が、黄金郷である事を示しそうとしていた。

武威行為である

頼朝は、平家を滅ぼしたその勢いをもって、奥州独立国制服しょうと

する。

その象徴儀式として、西行と、奥州荷駄隊、この板東の後家人祭り

で見せたのだ。

奥州は、何度も、源氏征服への挑戦を退けている。

かたわらにいる大江広元も、その証明。

彼の祖祖父大江匡房も、奥州へ攻め入る戦略案を考えている大学者である。前九年の役(1051年から1062年)、後三年の役(1083年から1087年)であった、

頼朝の4代前、源氏のス-パースターである八幡太郎義家がその有名人

あった。

が、今現在、最大の難敵は、、、義経である

奥州黄金と義経が結びついた時、それを恐れる。

うちそろい、鎌倉に攻め入る悪夢をみるのだ、

そのためには、西行をはじめ、奥州の守りのひとつ、ひとつ、を切り崩

しておく必要があった。

まづは、西行、そして砂金である

「わかり申した。約定をきちりと守らしていただく」

内心は冷や汗が流れているが頼朝はそれを見せるわけにはいかぬ。

むろん、傍らの大江広元もまた。

西行殿、ささ、こちらへ、」

西行の前に馬と武具が準備されえていた。

「どれでもお好きな馬と弓をお選び下さい」

西行は、かって北面の武士の頃を思い出し打ている。

そして出家して後、30年にわたる高野山の荒行も。高野の山々千尋の

谷、いまだにひやりとする。重源殿にお助けいただいた。

さらに、文覚にも、荒行中にあっている、重源殿は、奈良

東大寺で、西行、いや黄金の帰りをまっている。今、文覚は、この桟敷の

頼朝の隣にすわっている。

佐藤家の名前を汚すわけには、いくまい」

この頃の家名は、絶対的価値である

そして、頼朝が、西行藤原秀郷の九代目を呼ばわった事は、ある種の

確認であり、西行の隠れた望みであった。藤原秀郷の正当なる後継者

あると、ご家人どもが認めてのである

この家名以外にも、西行が貫徹しなければならない約束がある。それ

は、慈円(じえんー藤原兼実の弟)や、藤原定家と行っている

「しきしま道」の完成である。これが完成すれば、言葉によっても、

日本は、京都王朝は、守られるであろう。

歌集の完成をみなければならぬ、それまでは、西行は生き述べなけれ

ばならないのだ。

そして、それは、京都の今はなきあの麗しい方への、生涯をかけた西

行の約束の貫徹である

走馬燈のように、西行の頭の中に、京都の思い出が蘇る、、

しかし、今は、前には、的が準備されている。

1町は続く流鏑馬道がのびていて、観客の武家人間がかたずを飲み、西行の秀郷流の腕前を見ようとする。

続く2010改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

Manga Agency山田企画事務所

漫画通信教育マンガ家になる塾」

you tubeマンガ家になる塾」

2016-03-30

ラッキー001

ラッキー植松先生「日々是銭湯銭湯いろはカルタ個展

4月8日(金)から12日(火)まで、

須田画廊(大阪市東住吉区田辺1-4-5・地下鉄谷町線「田辺駅」徒歩0分!)

 TEL:06-6621-8558

 時間:午前11時から午後6時(最終日4時)まで、※10日(日)のみ午後4時ごろから在廊予定。

これはラッキー植松先生ライフワークである銭湯」をテーマにした作品展です。

銭湯イラスト銭湯でのアレコレを漫画と歌で綴る「銭湯いろはカルタ」などを展示。

ラッキー植松先生は会期中、ほとんどギャラリーにおります。

希望があれば、もちろん似顔絵も描きます。

よろしければ、お立ち寄りください。


ラッキー001

ラッキー植松先生「日々是銭湯銭湯いろはカルタ個展

4月8日(金)から12日(火)まで、

須田画廊(大阪市東住吉区田辺1-4-5・地下鉄谷町線「田辺駅」徒歩0分!)

 TEL:06-6621-8558

 時間:午前11時から午後6時(最終日4時)まで、※10日(日)のみ午後4時ごろから在廊予定。

これはラッキー植松先生ライフワークである銭湯」をテーマにした作品展です。

銭湯イラスト銭湯でのアレコレを漫画と歌で綴る「銭湯いろはカルタ」などを展示。

ラッキー植松先生は会期中、ほとんどギャラリーにおります。

希望があれば、もちろん似顔絵も描きます。

よろしければ、お立ち寄りください。

2016-03-19 3月28日(月)〜4月2日(土) ◆ 『 「花」 ナイーヴの仲間たち展 』

3月28日(月)〜4月2日(土)

◆ 『 「花」 ナイーヴの仲間たち展 』

『花』 をテーマに、桑原宏二・鈴木純子・なんこう朱美・西山昇・はたよしこ・ひぐちともこ、6人のイラストレーターがそれぞれの想いを寄せた花の世界を展開します。

GALLERY 檜

住所 東京都千代田区神田神保町1-17

TEL 03 (3291) 9364

FAX 03 (3291) 9364

f:id:yamadas:20160319115439j:image

2016-02-19 一般向けキャラクター大型イベント「みんなのキャラクター」


株式会社キャラクターデータバンク より

キャラクターファンへの夢の場を作ろう!!」

この気持ちキャラクター業界一丸となって体現するイベントです

――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本初!一般向けキャラクター大型イベント「みんなのキャラクター

2016.5.7(土)〜8(日) パシフィコ横浜ホールA,B 開催

「企業出展」「個人クリエーター出展募集のご案内

※20-40代大人女性ファミリー中心の来場構成出展社による物販可能

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 みんなのキャラクター実行委員会実行委員長:東京都千代田区、株式会社

キャラクターデータバンク 代表取締役社長 陸川和男)は、GW期間中の

2016年5月7日(土)〜8日(日)の2日間、横浜市中区のパシフィコ横浜

日本初となる国内外メジャーキャラクターを集めた見本市「みんなのキャラ

クター」の開催を発表致しました。

「みんなのキャラクター」は一般社団法人キャラクターブランドライセンス

協会後援の下、国内外メジャーキャラクターが一堂に会し、グッズ販売、グリ

ティングコーナー、カフェコーナーなどを展開。また一般企業・商品のマスコ

ットキャラクター、個人クリエイター出展も予定しており、キャラクターライ

センス業界一丸となったすべてのキャラクターファンに楽しんでいただける初

イベントです。

ポイント

キャラクターファンへの感謝の意を込めたイベント=「みんなのキャラクター

(1)国内外メジャーキャラクターが集結する大型キャラクターフェスティバル

◆主要参加キャラクター

ピーナッツスヌーピー)、ハローキティショップミッフィームーミン

リラックマトムとジェリーリサとガスパール、LiccA、くまのがっこう等々、

30キャラクター以上の有名キャラクターが勢揃い

(2)出品キャラクターのグッズ物販(オリジナル商品含む)を中心に、着ぐるみ撮影

会等エンターテイメントによりキャラクターが大好きな人々を楽しませる施策

盛りだくさん

(3)大人(20-40代女性がメインターゲット(それに加えて子供・夫他ファミリーも来場)

  ※2日間で2万人以上の来場を見込みます

(4)キャラクターを保有・管理するライセンサー様(エージェント含む)/企業(製品

キャラクターを保有する一般企業様は、低コストでの出展が可能です

(1小間:20万円/基礎小間 ※税別)。

 ◆一般ユーザー層へのダイレクトプロモーションが可能となります

  【出展による展開例】

  ●自社ブース内物販 ※金銭管理出展自身となります

  ●自社キャラクターユーザーイメージ調査

  ●契約ライセンシーへの販促サポート機会など

(5)ご自身クリエイティブPRできる個人クリエーター様も低コスト出展が可能です

(CBLA会員:5万円、CBLA非会員:7万円 ※税別)

(6)大人(20-40代女性ファミリー層にアプローチを図りたい一般企業様には

  来場者及び事前集客活動にて御社(及び製品)をPRする「ご協賛企画」も

ご用意しております

※ご要望・ご予算に応じたカスタマイズ企画主催者検討も可能です

イベント公式ホームページ http://www.minchara.jp/

出展及び協賛に関する企画書は、以下からダウンロードください

http://www.charabiz.com/cdb/mc/minchara/minchara2016.pdf

◆本イベントに関する問合せ先

みんなのキャラクター運営事務局 jimukyoku@minchara.jp

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

企画概要

イベント名:みんなのキャラクター

開催日時 :2016年5月7日(土)、8日(日)

会場   :パシフィコ横浜ホールA.B

主催   :みんなのキャラクター実行委員会

後援   :(一社)キャラクターブランドライセンス協会(CBLA)

来場予定 :2万人以上 ※20-40代大人女性を中心にそのファミリー対象

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

発 行:株式会社キャラクターデータバンク http://www.charabiz.com/

Copyright (C) 2016 CHARACTER DATABANK, All rights reserved

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2016-02-18 源義経黄金伝説■第1回


源義経黄金伝説■第1回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所


京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区に白峯神宮はある。

祭神崇徳上皇(すとくじょうこう)。日本の大魔王といわれている。

幼き帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でている。

「さあ。御君(おんきみ)、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。

これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたたらぬ

よ うに、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。

代々、我が家藤原本家に伝わりし、西行法師(さいぎょうほうし)殿との

約束をお伝え下さいませ」

幼き帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。

崇徳上皇殿下、お許しくだされ。我が王朝武士から世辞を取り戻すに700年

かかってしまいました。今にいたり、源頼朝、大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士もの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。

そして、陰都(かげみやこ)でございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、

代わ りに江戸を陰都といたします平将門を祭る神田明神を持って、陰都の

守神といた します

が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城をもっ て新しき王朝の皇居といたす事をおゆるしくだされ」

御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。

「今、奥州東北の各藩が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を

起こそうとしております。我が王朝若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿

どもをたいらげます

幼き帝は、再び深々と、頭を垂れた。

崇徳上皇は、保元の乱(ほうげんのらん)の首謀者の一人である、後白河に

敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山(しらみねさん)に葬られた。

讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門(うらきもん)であり、平泉は、京都から見て鬼門

にあたる丑寅の方角である

から崇徳上皇独白が落ちてきて響き渡る。

西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。

がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。

所詮は、東の幕府、所詮は、荒夷どもが街じゃ。

朕が情念は、いつしか吹くだすやもしれぬぞ。

見ておれ」

この日、元号明治改元された。

(続)2016版改稿

ジャンル

小説

2016-02-03 ロボサムライ駆ける■第58回

ロボサムライ駆ける■第58回

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■第七章 血闘場(5-2)

「リキュール、何をしておるのじゃ」

 怒りの声が女に飛んでいる。

 リヒテンシュタイン博士は、自分の実験室で資料をまさぐっている我が娘を発見していた。

リヒテンシュタイン研究所は、博士がロボットでありながら、新しいタイプのロボットを研究していることで、世界でも有名であった。

「ま、まさか、お前、私の発見をロセンデールに…」

 少し考えていたリヒテンシュタイン博士だが言う。

「わかったぞ、今までロセンデールに情報を流しておったのは、お前だったのか。我が娘だとは気付かなかった」

「今頃、気が付いたのですか、お父様。まあ頭の古いタイプのロボットのお父様としては仕方がないですわね」

「何を言う…」

 階下での二人の大声の、ののしりあいを聞き付けて、登場するのはリキュールと双子ロボットであるマリアであった。

「いったい何があったの」

 研究室で睨み合っている二人のロボットに気付く。

「お父様。まあ、リキュールお姉様もどういうことなの」

マリア、このお前の姉は裏切り者なんじゃ。ロセンデールに秘密を漏らしておったのじゃ」 博士は怒りにまかせて、リキュールを非難する。

「どうして、お姉様

 マリアはリキュールに目を向けた。

「どうしてですかって、マリア、お前はあの主水とかいう東洋のロボットにううつを抜かしてしまって目が見えなくなってしまったのですか。今の世界をご覧なさい。早く世界統一しなきゃあ、大変なことになってしまうのですよ」

 妹のマリアの方を向いてリキュールは毒ついた。

「それとロセンデールに秘密をしゃべることは関係があるのですか」

「この娘はロセンデールにたぶらかされおって。よし、今からロセンデールの家に行こう、お前は留守番だ、マリア

「でも、私もいったほうが…」

「いい」

 それが、マリアが生きている二人を見た最後だった。二人は邸から出て行く。悲劇はこの後おこった。

 二人の遺体がロセンデール家から送り返されてきた。

 『当家に侵入しょうとして殺された』との添え書きつきで。

 ロセンデールが、リキュールとリヒテンシュタイン博士を殺したのか。それははっきりとはわからない。

 マリア博士とリキュールの遺体を前に復讐を誓う。

お姉様。いい、あなたの記憶を私の電子頭脳の一部に移植するわ。だから、私は今日からマリア=リキュール=リヒテンシュタインとなるわ。ロセンデール卿、覚えてらっしゃい。きっと父の恨み晴らして見せるわ」

マリアどうした。なぜそんなに嘆き悲しんでいるんだ」

 主水がリヒテンシュタイン博士の屋敷を訪れていた。

「主水…、もっと早くきてくれれば……」

 主水の胸元で泣き崩れるマリアでった。

「お父様とお姉様が…、ロセンデールに滅ぼされたの」

「が、リキュール殿はロセンデール卿の…」

「そう、姉はロセンデールの愛人ロボットだった。でもこの状態よ」

「ルドルフ殿下に訴えれば…」

「だめよ。証拠がない。それに、ロセンデールはルドルフ殿下お気に入りもの

「おのれ、ロセンデールめ、この恨みはらさいでか」

復讐は、ロセンデールが他の国にいるときでないと…」

 が、主水とマリアは、とうとうロセンデールの屋敷まできてしまっていた。ロセンデールの館は中世の城を模して作られている。回りに堀が巡らされている。

「ロセンデール、姿を見せろ」

 主水は長い間叫んでいた。やがて、ロセンデールが城壁の上から姿を見せた。

「おや、これはこれは私の愛しいザムザを滅ぼした黄色いロボットではありませんか。それに黄色いロボットにくっついた裏切り者では…」

 ロセンデールの嘲りの言葉に、急にマリアが珍しく、癇癪を爆発させていた。

「ロセンデール、降りてらっしゃい。父と姉の敵…」

「おやおや、麗人マリア、どうかしたのですか。そんな怒りは体によくありませんよ。私があなたの博士と姉を殺したですと…。間違ってもらっては困ります。二人は、私のこの屋敷に不法侵入しようとしたのです。それ故、自動装置が働き、二人を焼き殺してしまったのです。事故ですよ。事故」

「ロセンデール、覚えていなさい。この敵、必ず打って見せます」

「おやおや、マリア。恐ろしい表情ですね。あなたの姉リキュールはいくら怒ったって、このようなお顔は見せませんでしたよ」

「止めなさい。私の姉を嘲るのは」

「主水よろしいですか。愛しい者を失ったものの痛みがわかったでしょう」

 ロセンデールの青い目に冷たい光が宿っていた。騒ぎを聞き付けてルドルフの親衛隊が駆けつけ、とりあえず収まったのであるが。ロセンデールは次々と刺客を二人の身を襲わせた。それ故、二人は神聖ゲルマン帝国より逃れたのである

(続く)

■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(5)

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2016-01-09 ロボサムライ駆ける■第46回

ロボサムライ駆ける■第46回

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■第六章 古代都市(1)

   (1)

 三日後、機械城の後はくすぶっていたが、早急に対応がなされている。

「主水殿、我々に、その剣技を貸してはくださらぬか」

 水野都市連合議長は、西日本都市議事堂議長室で、主水に対して膝を屈した。

 二人は、機械城から、助け出されたことに礼をいい、続けて本音をしゃべっていた。

 ともかくもこの事態を収拾しなければ、ならない。

 主水にとっても、ロセンデールから落合レイモンをはじめ助け出さなければならない人がいるのだ。

 ここは、西日本都市連合とも手をむすんでおくのが、得策といえた。

「無論、主水殿、剣闘士としての身分は解消する。東京自由なロボットととして活躍していただきたい」

 水野が汗を拭き拭き、付け加えた。

斎藤殿、ありがとうござる、まずはどのような企てかお聞かせ下さい。話によりましたは、非力なこのロボットの私が力をお貸し致しましょう」

 少しばかりイヤミを言う主水である

落合レイモン殿。さらには貴殿の生みの親、足毛布博士も、閉じ込められておる場所を、つまり、ロセンデールの隠れ場所を、我々のロボ忍が発見しておる」

 斎藤が一気にしゃべり出した。

「何と。あなた方が落合レイモン様を拉致したとばかり思っていたのですが」

「いやいや、さようなこと、同じ日本人同志ではござらぬか」

「して、レイモン様は」

「ロセンデールの古代都市復活プロジェクトチームに使われておられる」

「はて、古代都市とは…」

 知らぬ言葉に主水は戸惑う。

「霊戦争のおり、日本の西日本エリアが大打撃を受けたのはご存じであろう」

「神の衛星ボルテックスから全日本軍がレーザー攻撃を受け、近畿地方ことごとく消滅。同時に、古来からある神社仏閣がことごとく消滅したと聞き及びます

「それじゃ、それが近畿新平野の地下に埋もれておるのじゃ」

消滅したのではなく」

「そうじゃ、ある一点に向かい、すべての霊力が集中した場所があるのだ」

「その場所は…」

「昔の記録にある…奈良、飛鳥のあたり。近畿新平野の地下に巨大な空洞があることが発見されている。その場所古代都市があり、心柱、おはしらさまがある」

「先刻、貴公が黄金の大仏と戦った化野は、その都市へ通ずる入り口の一つなのだ

 水野が付け加えた。

斎藤殿がいわれるその古代都市の中に、落合レイモン様も足毛布博士も…」

 主水は戦うべき場所を二人から指示されているのだ。

「そうじゃ、そこにおられる。主水殿、西日本は及ばず、東日本エリアからも、かなりの霊能師が消えておることは、知っておられよう」

「つまりは、この古代都市を復活させるためのプロジェクトが進んでおるわけだ」

 斎藤がいった。

「しかし、なぜ、ロセンデールに『ライオン』の回航を許したのですか」

 主水は話を変えた。

「むむっ…」

「それは…」

 二人は言い淀んだ。

「外交的圧力という奴じゃ」

 斎藤は汗を拭き拭き答える。

「それでは、あの剣闘士大会も」

「むろん、ロセンデールが日本の戦闘力を調べるために行った。貴公も気がついていようが、あの『ライオン』船上に西日本エリアの主な都市の首長が招待され集まっておったろう」

「そうですな、彼らはいかがされました」

「ことごとくロセンデールに連れていかれた」

「連れていかれたですと」

「ロセンデールめが、誘拐しおったのじゃ。我々、西日本都市連合が逆らわぬように、安全処置としてな」

「我々が表立って、古代都市の復活を妨げようものなら、血祭りにあげるというのじゃ」

「何と、卑劣漢め」

 主水の顔も怒りで真っ赤になる。

「そこで我々は、貴公に頼らざるを得ない」

「この話は、徳川の主上にも」

「むろん。が、主水殿、悪い知らせじゃ」

 悪い予感が主水の胸に走った。

「何か、東京エリアの徳川公国に起こりましたか」

「徳川公もロセンデールのところじゃ」

「徳川公もですと。まさか…」

 しばし、主水は無言となる。

 徳川公がつかまっておられるのなら、主水としては、ぜひとも戦わざるをえない。

「致し方がありますまい。戦いましょう」

 主水は決意した。

しかと頼んだ。日本の命運はつとに貴殿の両肩にかかっておる」

「戦力としては、西日本の反乱ロボットを使いましょう。彼らが反乱を起こしたことにすればよい」

「なるほど、我々政府は何の責任もないことになる」

 水野が考え込む。

「が、約束していただきたいことがあります

「何じゃ」

「もし、この計画が成功した暁にはロボット奴隷制度を廃止していただきたい」

「そ、それは難しい問題じゃ」

 斎藤が呻く。

「我々の責任はいかんともしがたい。政治体制の崩壊にも繋がりかねん」

 水野が続けた。

「と、いわれると、この日本がロセンデールに支配されること、さらには古代都市が復活することをお望みなのか」

 主水は二人を責め立てる。

「いや、そうではない。が、しかし…」

「しかし、どうだといわれる」

 水野はすこし考えていた。

「わかった。その問題議会にかけることを誓おう」

「よろしい。その誓いを正式文書にしていただけるか」

 主水は念を押しておく。

「わかった」

「それが整い次第、私は出掛けましょう」

 ロボザムライ主水が部屋を立ち去った後、二人は話しあっていた。

「あやつが、この問題を解決すれば、どのようにでもなりましょう」

 斎藤は言った。

「そうじゃ。あやつを抹殺すればよい」

 水野がほくそ笑む。

「議長もお人が悪うございますなあ」

貴公、我々は政治家でじゃぞ」

「ああ、そうでござりますな」

 二人の乾いた笑い声が続いた議長室に長く響いていた。

 が、ロボザムライの耳は、この話を聞き取っていた。

「ふふう、水野たち、後でほえずらかかせてやるわ」

 主水は独りごちた。まずは知恵と、山本一貫に連絡しようと考える主水だった。

(続く)

■ロボサムライ駆ける■

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2016-01-04 ロボサムライ駆ける■第44回

ロボサムライ駆ける■第44回

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第五章 機械城(7)

 主水は乱戦にて、一人切り放されていた。

「主水、この攻撃が受けられるか」

 機械城城壁が前に動いた。

「何と」

城壁の一部が地上少しばかり浮き上がり、動き始めた。地下には

キャタピラが数基、装着されている。

 「主水、機械城がただの前衛基地と思うたか。この機械城は、動く

地上要塞よ」

 「ロセンデール卿め、敵ながらさすが」

 「主水、そこを動くな」

 主水の左右前後から、接合から切り離された城壁の一部が迫って

きた。圧し潰すつもりだ。

 「主水、我が城、機械城の人柱となれ」

 機械城城壁の一つ一つの石垣が、ばらばらにあり、浮き上がる。

そして花のように舞う、空に舞う石垣の上に、何人かのロボ忍が乗

っている。

「これは面容な」

「『石垣の舞い・天城陣』をお目にかける、土木殿、拙者、花村一

去じゃ」ロボ忍の頭が言った。

「我らが護衛しておる機械城。ちよっとゃ、そっとのことでは、破

られぬぞ、主水」

「主水、我らが天城陣敗れるか」

 ロボ忍たちの城府が、上水の頭上に自在に回っている。

上に向かい、叫ぶ主水であった。

主水のそばに、四方の城壁が緩々と追って来る。

「花村殿、破って見せようぞ」

「まずは、城壁で圧しつぷしてくれるわ」

 両手で壁を支える主水。瞬間、主水は双剣を足元に立てた。

両足でその双剣を挟み込む。竹馬の要領で乗る。

目に止まらぬ早さで回転し始める。地埃が起こる。

 数秒後、主水の姿は消えていた。

「くっ、主水め。地に潜りよった」

「ええい、捜せ」

 城石から地上に降り立つ忍者たち。掘り返された地上には埃まみ

である

「ぐわっ」

バタバタと倒れるロボ忍たち。地中から急に飛び出した

主水の刀が、ロボ忍をすべて切り離していた。

「見たか、地づりの剣」

 地中から土埃とともに、双剣を持ち、主水が現れていた。

「皆様のお命頂戴致す」

 地に倒れるロボ忍たちは。瞬時に切り刻まれている。

主水は片手拝みする。

花村だけが浮遊する減石に残っていた。

「県怯なり、主水。我が手下の敵」

 減石が主水の方へ飛び降りて来る。瞬時、主水は跳躍していた。

 上空で態勢を変える。剣先を下にして、花村の天頂目かけて落下

する。

「ぎゃっ」

 花村の体を、頭の笑中から胴体まで、主水の剣が貴いていた。

倒れている花村の側に、主水が近寄る。

「花村殿、徳川公の行方を教えてくださらぬか」

「ふふう、甘いのう、主水。俺が教えると思うのか」

 傷ついた花村は、側にいる主水の足をがっちり掴み込んだ。

「どうじゃ、私の電子心臓はやがて爆発しよう。貴様も道連れじゃ」

 主水は、自らの剣を、花村の死体から引き抜こうとしたが、外れ

ぬ。小刀も失っていた。花村を両手で叩くが動かぬ。

 最後の手段だった。主水は自らの右手で、しがみつかれている両

足を叩き折った。

 「くわっ」自らの足をそのまま残し、体を回転し逃れる。

 直後、花村の休は爆発する。傷だらけの主水が転がった後には、

花村の残滓が空から散らばり降りて来る。しばらくの間、動くもの

はなかった。

 二つの影が、主水の残った体を抱いた。

 「山本どの、すまぬ。知恵もすまぬ」

(続く)

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2016-01-03 ロボサムライ駆ける■第42回

ロボサムライ駆ける■第42回

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 ■第五章 機械城(5) 

「皆様方、これは千載一隅のチャンスじゃ。ロセンデールのライオ

ン丸が沈んだ今となっては、水野斎藤弱気になっでいよう。こ

の勢いを持って、機械城を打ち賊ぼぞうぞ」

 山本装甲車の上に立って、反乱ロボットたち・に叫んでいた。

「まだ、危険ではござらぬのか」

「そうだ、我々の力、そう結集してはおらぬ」

心配なら、先刻、空母ライオンを沈めることに力があったロボザ

ムライがおわす。ご紹介いたそう。早乙女主水殿じゃ。早乙女殿は、

ロセンデールの奸計に遭い、地下坑道計画に参加しておられたが、

剣闘士大会のおり、皆の見ての通り、黄金の大仏ロボットを倒さ

れた。ご挨拶願おう」

「拙者、そのような晴れがましい席などに」

「何言っているんだよ、主水のおじさん。恥ずかしがるがらじゃ

ないよ」

知恵が、主水にハッパをかけた。

「実はあの大仏ロボット、単なるまやかし、でくの坊にて、皆様方

の力でも十分に倒せた七のでございます

 落合レイモンの助けのことは言えなかった。

「ご謙遜、ご謙遜」

奥ゆかしい方じゃ。やはり束日本の方は違うのう」声が飛ぶ。

「いえ、私は京都で製造された者です」

「して、主水殿は、どなたのご製作で」声が続く。

「足毛布博士でございま才】

「何、足毛布……」

 一瞬、群衆は静まリ返った。

現在の西目本ロボットが、このような苦汁を賞めている原因は、

すべて足毛布博士にある。誰かが、声を上げていた。

「足毛布博士血祭りに上げろ」

「そうだ。この西日本ロボット奴隷制の諸悪の根源、足毛布を倒せ」

 すべてのロボットが唱和しでいた。

「皆様方、落ち看いてくだされ。まずは機械城を打ち滅ぼさねばな

ますまい」

「そうじゃ、それにまだ機械城にはロボ忍がおる。さらにはシュト

ルフ率いる聖騎士隊も残っておる。そして、まだ、機械城の内部構

造も明らかになっておりません」

「皆で押し出そう」

「おっ」

一同は再び唱和した。

 機械城の前まで、反乱ロボットは達していた。

山本が皆の前で大勢を止めで喋った。

 「よいか、、皆、我らロボットが解散の時はきた。空母ライオン

を沈めた我々に、何を恐れることがあろう。皆々様の力を合わせて、

この機械城を攻め滅ぼそう」

 地下坑道は、すべてこの機械城の下から発していた。

いわば、地下坑道あるいはロボット動員制のシンボルがこの城だった。

さらには、ロセンデールという外界から圧力シンボルでもあった。

 機械城を見上げるロボット反乱軍の各々のロボットの胸のうちに

は、いろいろな苫い思いが内蔵されていた。怒りに似たものが彼ら

ロボヅトの心のうちにたぎっていた。

 「力押しじゃ、一気に攻め落とせ」

 主水ですら、最初にこの機械城では、苦い思い出かおるのだ。人

間として扱われていなかった。

東日本で旗本ロボットとして扱われていて、それが普通になっていた。

自由人から奴隷へ。世界が変わったのかとさえ、思った。

そのような世界に押し込められているロボットたちを思った。

また、地下坑道での重労働も思った。

まるで人間の古い歴史時代の出来事ではなかったのか。

 が、一番気掛かりなのは、ロボットたちの怒りがロセンデールで

はなく、直接には足毛布博士に向けられていることだった。彼らが足

毛布博士を捕まえたならば、恐らく血祭りにしてしまうだろう。

 主水にとって、足毛布博士はやはり生みの親だった。どんなにひ

どい親でも、親は親だ。

 城内の方からは、まるで物音ひとつしない。逆に不気味だった。

 「山本殿、これは」

「あやつらのことです。何か悪巧みをはかっているのではないで

しようか」

「連絡を緊密にな」

 城門をまず破ろうとする。

 一瞬、数体のロボットが吹き飛ぶ。最初に入ったロボットたちは、

黒焦げになっていた。両側の柱が放電管になっていたのだ。何百ボ

ルトもの電流が流れていた。

 「いかん、からくりを城のあちこちに設けていそうだ」

 「いかがなされました山本殿」

 「主水殿。どうにもあの門を突破できぬのでござる」

 城門の前には、今吹き飛ばされたロボットの残滓が散らばってい

る。

 「よろしい、山大殿。クラルテの格納庫、この側にございましたな」

 クラルテをいかがなさる。あ、さようか」

 「そうです。クラルテを暴走させて、この門を潜リましよう」

 「しで、方法は」

 「おまかせあれ」

 主水は、自分運命をかえた、クラルテの暴走を思い起こしてい

た。

 格納庫には三十機のクラルテがチューンナップされて格納されて

いた。クラルテの電子頭脳の配線を、知恵に命じて改造する。

「さあ、これで第一関門は突破できるじやろう」

 クラルテは、大爆走を始めた。皆は城門に達する。

しかし、門の放電管が発光する。

そのきらめきの中に次々にクラルテが投入する。

次々吹き飛ぶがその障害を除けてクラルテは入場している。

いくつかが直接に放電管と触れ合う。

爆発音がこだます。門の放電管は壊れていた。

(続く)

ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■

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■第五章 機械城(4)

 主水は愛剣ムラマサを片手に空母へとひた走る。

反乱ロボットの中である一群を見ている。

それは力士ロボットである

空母甲板のうえ、主水は大音声でいいきかす。

「力士ロボットの皆様、申し上げる。拙者、早乙女主水でござる。左舷側に集まっていたたけぬか」

 先刻の剣闘士試合で大樹山を屠った主水だから、力士ロボットはいうことを聴く

早乙女様、集まりましたぞ。後はいかように」

「しこを踏んで下されい」

「しこですと、聞き間違いでは…」

 力士たちは戸惑いを隠せない。

「さよう、しこです」

 念を押した。

「ご命令とあらば」

 首をかしげながら、力士ロボットが一斉に、しこを踏んだ。

 パランスが崩れている空母ライオンは、甲板上のロボット力士のしこの振動で、左舷側に重さが集中してくる。

 続いて、舷側まで走り、主水は海面に向かって叫んでいた。

「サイ魚法師、私だ。主水だ。お主たちが海中におるのはわかっておる。助けを所望じゃ」 ぐらぐらと振動する空母ライオンの横に、小型の潜水艦が浮上する。サイ魚法師の新しい潜水艦だった。

「やはりおったか、法師。同じロボット同志、ここは助けてくれぬか」

「おう、生きておったか、主水。申しで断る、と言いたいところだが、先日ロセンデールから追い出されたわしじゃ。それゆえ、意趣返しじゃ。主水、協力してやろう」

 サイ魚法師はつるりと顔をなで笑った。

「かたじけない、さすがはその名も高いサイ魚法師じゃ、有り難い」

「おい、主水、褒めるのもいいかげんにいたせ。早くしないとシュトルフの聖騎士団がやってこようぞ」

「わかった。右舷側からサイ魚の攻撃をお願いもうそう」

あいわかった。まっておれ。特製のサイ魚軍団攻撃を加えてやるわ」

 サイ魚法師の潜水艦の後には数万匹のサイ魚の群れがひしめいている。

ライオン」の右舷に水しぶきがあがる。

 サイ魚の大群が魚雷のように空母攻撃しはじめた。

このサイ魚は鉄を食う魚である。 バイオ空母ライオン」の船底は食い尽くされる。

バイオ空母だけに、鑑底は柔らかいのだ。

加えて力士ロボットの働きぶりであるライオンは沈み始めた。

「ロセンデール卿、ロセンデール卿はどこだ」主水は叫んでいた。艦橋のラダーを駆け上がっていた。

「ロセンデール卿降りてこい。勝負じゃ」

 そのとき、急速に降下してくるバイオコプターが一機ある。

「いかん、逃げろ」

 主水は、反乱ロボットに向かい叫ぶ。

 

何体かの力士ロボットが被弾し、数体倒れる。

バイオコプターからの一連射が甲板上を縫った。

「これが私の挨拶状がわりです。主水くん、機械城で待っておりますぞ。ふっふっ」

 バイオコプターの窓から、ロセンデールの顔が浮かびあがって、にやりと笑った。

(続く)

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2016-01-01 ロボサムライ駆ける■第40回

ロボサムライ駆ける■第40回

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■第五章 機械城(3)

 叫んだ主水はまわりの地下洞をみわたす。

地平は見えず、あたりは霞が漂っている

。ようく、見渡してみた。急に光が射したようであった。

 主水の周囲の壁には、石仏が数限りなく並んでいた。

いやその石仏は、霞たなびく地平のはてまで続いているようであった。

その数は数万、いや数百万もあるように思われた。

「ここは…一体」

 主水は思わず独りごちた。

『化野(あだしの)じゃよ。よくこられたのう、主水よ』

レイモンの声が響いていた。

 が、レイモンの姿は見えない。

「レイモン様、いずこにおわします

『何をキョロキョロしておる、主水』

レイモンの声が再び響く。


 主水は温度探査モードに、眼を切り替える。

が、温感を感じるものは何もないのだ。

 無機体のみが、主水のまわり数キロを取り囲んでいる。レイモンの声だけが主水に届いているのだ。

『主水、わしがお前をたすけたのがわかったか』

「レイモンさまが、私を…」

『なにじゃ、わかっておらなんだか。あれほどたやすく大仏を倒せたと思うか』ありありと失望の色が声に現れていた。とすれば、先刻の空母での声も、レイモンに違いないと主水は思った。

「どのようにして、おたすけくださったのですか」

『この化野の力よ、化野の霊気により、大仏を生身にしたのじゃ』

「レイモン様」

 レイモンをともかく助けねばならないと考える主水である

『主水、わしを探す前に、空母へ戻れ』

 レイモンは冷たく言い放つ。

「そう申されましても」

命令じゃ、空母の方が急ぐのじゃ』

 大仏ロボットを倒した主水は、ジャンプしてその地下洞穴からはい出る。

 空母ライオンの方を、望遠ズームモードで見てみる。

 

空母の艦橋から火の手が上がっていた。

 その時、走り寄ってくる影が二つあることに気付く。身構えるが

「主水のおじさん」

 知恵だった。

「先刻はどうも済まぬ。が、知恵、あの剣ムラマサはどうやって取り戻したのじゃ」

「それは、私から答えましょう」

 見知らぬ一人のロボットが続いて知恵のそばにきていた。白髪頭のにこやかな穏やかな顔たちをしている。

「こちらの御仁は…」

 主水は見知らぬロボットを見る。

自己紹介いたします。私は西日本の奴隷ロボット解放運動指導者山本一貫です。以後、お見知りおきを」

 深々と山本は頭を下げた。

山本殿がこの刀を」

はい、この知恵に命じ、やつらの武器倉庫から手に入れたものです」

「かたじけない、お礼を申し上げる。それで知恵は解放運動の……」

「そうでござる。それで早乙女様、我々お願いの儀がござる」

はい、いかような」

「既にご覧のとおり西日本においては、我々ロボットは奴隷制の下、人間のくびきの下におかれております。我々は東日本のような自由世界に生きとうございます。それゆえ、ロボット解放運動を進めております。このことわかっていただいて、我々にご協力を賜りたい」

「協力とは、一体どのような。小生とて、現在剣闘士身分自由でありません」

相談でござる。恐らく早乙女殿のお手前をみて、西日本都市連合はある提案をするでありましょう。それをお受けください」

提案ですと…、そうとはいえ」

 そのとき、空母上でひとしきり大きな音が響いた。

早乙女殿、空母上にお助け下されい。我々の仲間、力士ロボットがロセンデール側の聖騎士団相手に闘っておりますれば」

 一貫が頼んだ。

「聖騎士団を相手に…」

 

その時、主水の頭の中にある考えがひらめいていた。

「一貫どの、早速参りましょう」

(続く)

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