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2007-11-12

[][]トヨタ「ハイエースワゴン10人乗り」レビュー

http://toyota.jp/hiace/

大人数+車椅子で出かけることになったので、最近よく見かける「妙に幅広なハイエース」を借りてみましたよ。

現行ハイエースには、ワイドボディの10人乗り「ワゴン」と15人乗り「コミューター」以外に乗用タイプの設定がない。パーソナルユースで普通サイズのキャブオーバーワゴンが欲しい人は、「カッコわりぃ」とか呟きながら日産の8人乗りキャラバンシルクロードを選ぶしかない訳だ。逆にキャラバンにはワイドボディのラインアップはないので日産党としてはちょっと寂しい。

それにしても現行ハイエースはカッコいいな。特にワイドボディの前ではアル○やエル○の押し出し感なんてゴミみたいなもの。キャラバンもこのくらい格好良くならないものか...(苦笑)。2日間で500km走って、悔しいけど欲しくなったハイエース。トヨタ様は偉大なり〜。

・ワイドな車幅と車内空間が超〜イカす!

とても幅広に見えるが全幅1880mmと常識的なサイズ(ムラーノGT-Rと同じくらい)に収まっていて、見切りの良いボディ形状も相まって運転は想像よりラクだ。だが、同時に車幅が1900mmを超えると躊躇するドライバーが増えるという話に納得する場面も多かった。駐車場では全長が5m近い事もあって切り返す回数が増えるし(俺がヘタクソというのは置いておいて)、隣が3ナンバー幅の車になるとヒンジドアの運転席や助手席からの乗り降りには非常に気を使う。日常生活において、例えば嫁の運転で近所のダイエーにショッピングは、やや厳しいと言える。

車内空間は冗談抜きで移動式の3畳間。計10人分の座席は2-2-3-3の4列という変則的な配置だ。というのも、スライドドアを開けた所に「人が乗った状態の車椅子を乗せらる広大な空間」があるのだった。そのまま走行することの安全性の是非は当然あるが、今そこにある悩ましい問題を即解決してくれるという意味で、これは感動的ですらあった。後ろの8席は完全なウォークスルーを実現している。子供は当然の様に大喜びである。幅が通常より少し狭いが、足元の空間、背もたれの高さ、ヘッドレスト全てにおいて「座るための真っ当な座席」を備える。

ただし、シートは固定式でフラットにもならないので、大きな荷物を積むことはできない。手荷物ならそれこそ床に座席に腐るほど積めるが、タンスや冷蔵庫は積めそうにない。あくまで乗用車であり、引越しに使える車ではない。

・エンジンは「無音ディーゼル」的なフィール

搭載するガソリンエンジンは、2.7リッターNA。巨大なボディを難なく加速させ、高速道路の追い越し車線をリードできてしまう怪力の持ち主だ。その一方でとても尻の下にエンジンがあるとは思えない静粛性も実現する辺り、さすがトヨタだと感服してしまう。ただ、遥か後ろから聞こえる排気音が「ぶりぶり」と下品な音なのは要改善。静かなエンジンと対照的にロードノイズは大きいが、このタイプの車としては致し方ないレベルだろうか。しかし、エンジンはトルクたっぷりなのに存在感が希薄で、運転をしているという気にさせないのは良いところでもあり、悪いところでもある。

足回りはちょっと走ると昔のクラウンのごとき柔らかさだが、意外にも高速でのレーンチェンジや旋回での安定性はかなり高い。ロール感が少ないのはワイドトレッドなのも要因だと思うが、決して丁寧でない運転で120km/hで中央道を巡航しても、後部座席では「眠くなる」という安定感だ。うねりでの飛び跳ね感が大きいのと、突き上げ時の「ボコン」というこもり音が不快なのを省けば、足回りはバランスの良い出来だと思う。ただし、130km/hを超えると途端に恐怖のヨレヨレ車になる。あー怖かった。ここまで的を絞ったチューニングが可能なのには呆れてしまう(^^;

・楽しくないが楽ができる運転席

運転席、助手席は並。インパネの質感も並。運転席のシートは正直もう少し良いものにして欲しいと思うが、意外と疲れないのは後述のように「ダルな運転」ができるからかもしれない。インパネシフトレバーの操作性は抜群だが、ナビの設置されたDINの位置が遠すぎる、エアコンの操作パネルの位置が下すぎる、などなど、現実として避けられない「運転しながら別の操作」の操作性は総じて考えられていない。あと、ステアリングシャフトが右足と左足の間にあるので、左足でブレーキペダルを踏めないのも減点。ハイエースで左足ブレーキを使いたいとは思わないけど、停車中に左足でブレーキをホールドしたい時ない?

ステアリングは突っ張ったような嫌な反力があり、思い通りの陀角を維持しようとすると肩が張る。しかし、少し慣れてくると毒されてダルな運転スタイルが身につくようで、帰り道では全くの疲れ知らずなのだった。ブレーキは「絶対にフルブレーキングはしたくない」(笑)。試しにちょっと強めに踏んでみたけど、この手の車に乗り慣れないせいか飛び出しそうで怖い。しかし、乗車人数が多くても軽く踏み込めば安定した十分な制動力が得られるので、ブレーキそのものの作りがヘボいという訳ではなさそうだ。10人乗せてフルブレーキングなんてアホな運転をさせないための味付けなのだろうか。

ATはシフトショックゼロ。さらにエンジン音があまり聞こえないしタコメーターもないので、いつシフトチェンジしたか判らないのである。有り得ないと解っているのに、最初は「これCVTー!?」と思ったほど。車重があるせいか3速に落としてもエンジンブレーキは余り効かないし、キックダウンしても排気音が大きくなったかなぁ?という程度で、後から知らないうちに加速している感じ。エンジンの存在感が希薄なのにも程がある。シフトレバーの操作性が良いのに操作してもご利益が少ないのにちょっとガッカリだが、何も気にしなくていいのは確かに楽チンで、後席の乗員がどちらを好むかと言えば答えは明白。この手の味付け、トヨタ様にはお手のモノなのね。

・2台目として欲しい車

参った。先代のハイエースがあまりにタルいうえに運転がしんどかったので今回も仕方なく...のはずがまるっきりベツモノだもの。運転していて何かを我慢する必要がないのだ。楽しく運転できる車ではないけど、何かしようとすると「お前、もっとダルな運転しろよ」と車が語りかけてくる。そして「はぁ、そうさしてもらいますぅ」と納得させられてしまう説得力、さらにシフトレバー不要論、結果として実現するストレスフリー。それでいてしれっと追い越し車線をリードできる恐ろしい車。これで売れなきゃ不思議だ。

車椅子云々以前に、あの広さは1回使うと確実に毒される。ミニバンなにそれ?みたいな。サイズもギリギリで日常領域に収まり、120km/hまでなら何ら問題ない走行性能を備え、乗り心地だって上々。確実に世界で唯一無二の選択肢で、ある意味これは最も日本車らしくトヨタ車らしい車かも知れない。今時ちょっと厳しい5km/Lの実用燃費も「まぁ我慢するか」と思えてしまうのだった。もし今2台目を買えるなら、ここは完全にハイエースワゴンで決まりだ。多分、今までで一番感動したトヨタ車です(笑