Vaって書くとヴィオラだね

VAこと、アマガミ-Various Artists-5の感想。


VAの5巻が出るという事に私はある種の期待をしていた。
前回の感想で少し述べたが、少々のマンネリ感を感じていたからだ。
何か変化があるだろうか?ヒロインの違った魅力を引き出すだろうか?
非常に気になった。


また、アニメが終わる時期、ゲームが発売されて1年半以上経つこと、
これ以上の「アマガミ」の展開拡張が考えられないこと、等々の理由により、
もしかしたらこの5巻が最終巻になるのではないか?という想いがあった。
そのため、「最終巻にふさわしいものになっているか?」という期待もあった。


この2つの「期待」という視点から今回のVAの感想を述べる。



前者。違った魅力を引き出せていたか、について。
正直言うと、ほとんど今までと似たような作品になっていた気がする。
やっぱりヒロインといちゃいちゃして…という描写がほとんどだった。
別に嫌いではないが、少し食傷気味な感があると思う。
だが、その中でも違った一面を出したかな?というのもいくつかあった。
例えば、梨穂子のもつ幼馴染の葛藤が描かれていたり、
絢辻さんの「幸せに対する不安」が描かれていたり、など。


そういえば、サブキャラも多少は出ていたかな?という感じはした。
黒沢さん、縁さん、香苗ちゃん、田中さん……。
香苗ちゃんや田中さんは以前よりよく出ていたが
黒沢さんや縁さんがちょっとだけでも出ているところは好きだった。
黒沢さんの純一に対する想いとか、縁さんの妹である詞の見方とか、
そういったところが垣間見えたからだ。
以上のことを考えると、
すべてとは言えないが、一部において違った一面を見せる事はできていたと思う。



後者。「最終巻(?)」にふさわしいものになっているのか。
何が最終巻にふさわしいのか。
例えば学園物なら“卒業”や、何かに対する“別れ”など、
「終わり」を感じさせるものがまず考えられる。
もしくは“ゲームのタイトルがテーマの話”
この場合、『アマガミ』がテーマの話である。
タイトルに関することを描くのは、最大のネタであり、最後だからこそできること。
そして、テーマを各々どのような解釈をするのか?ということは注目すべきだろう。


今回のVAはどうだっただろうか?
そこまで“卒業”がピックアップされることはなかった。“別れ”はない。
しかし、『アマガミ』に関する作品は
わざわざ「テーマ 甘噛み」を作るほど、数があった。


「甘噛み」と言うものに対して
愛情表現や治療、おまじない……
“女の子”を表現したりというのもあった。
中には甘噛みじゃなくて「本気で噛んでる!」というのも…。
何が「甘噛み」か。それはここで長く語る気はないが、
間違いなく「甘噛み」は“愛情表現”である。
「好きだ」ということの表現、「自分を見てほしい」という自己表現、
悪いことをした者に対する愛ある「叱責」……
いろいろな「甘噛み」があるが、想いは一つ。
「愛」
VA5には、タイトルに掲げられている様々な「愛の形」が収録されていた。


この様々な「愛の形」は最終巻(?)にふさわしかったのではないだろうか?



このVA5に参加されている、しのぎ鋭介先生のブログによると
Various Artists-5が最終巻とのことらしい。
また、タイトルである「アマガミ」について描いたりしており、
最終巻にふさわしい内容になっていた。
また、今までの流れでありつつも、ヒロインの違った一面を出しており、
楽しく読むことができた。


私が抱いていた「期待」に応える作品に思え、面白い作品であったと思います。
これが最終巻だと言われても納得できる、そんな作品でした。
(最終巻だから…という付加価値を加えているのかもしれませんが)


Various Artists-4 感想
Various Artists-6 感想
Various Artists-0 感想


余談。
ちょっと別にしてお話。
本当は個別に作品の感想を述べることはしないのですが、
最終巻(?)ということで2つほど個別感想。


「キョウダイのカタチ(黒井みめい先生・作)」
美也がメインのお話。
ところどころ、川田先生や祇条さん、星乃さん、
さらにはキミキスの主人公兄妹が登場し、キミキスとのクロスオーバーがあった。
輝日南の背景が使われていたりもしていた。
それはそれで面白さがあるが、
アマガミ」の魅力の一つがよく出ていた作品で大変面白かった。
それは兄妹愛。
いくら喧嘩したり、言い合いをしていても、
アマガミ主人公兄妹は互いに心配し合うほど仲が良い。
そんな美也の主人公に対する想いを、キミキス主人公兄妹をつかって描いていた。
「仲の良い兄妹」それを彼らに伝えることで。
アマガミからキミキスへ、兄妹愛を受け継がせるようなそんなクロスオーバー、
そして、美也と主人公の仲の良さ、
それらを詰め込んだお話で、心が温まるようなそんな想いがした。
VA5で、いや、VA全体を通して、一番好きなお話になりました。
このお話を読めただけで私は満足です。
また、美也の少しお姉さんっぽい、ゲームとは違った一面が描かれたところは好きでした。
そして、下校の時に一年生トリオ(美也・紗江ちゃん・七咲)ではなく、
美也・紗江ちゃん+他のクラスメイトという描き方が自然に思え、いい発見でした。


アマガミサマ(オトウフ先生・作)」
語るのが難しい程、独自の世界を築かれており、毎度楽しみにしていました。
スキBADやソエンをネタにしたり、アマガミCSをネタにしたり、
アマガミを堪能しなければ味わえない面白さと、
ファンタジーチックな描写が個人的にたまらなく好きな作品。
今回もTLSSネタに、スキBADネタ・ソエンネタ、
そして、スキBAD(?)→ナカヨシとなる“不思議な描写”が
言葉では表現できなような感慨深さがあり、楽しませていただきました。