ドラゴンクエスト9

 クリアしました。以下ネタバレ有り。

 うーん、非常に「ドラクエらしい」ドラクエでしたね! ネットで、今作(と8。つまりレベルファイブドラクエ)を「ドラクエじゃない」と怒ってる人をよく見かけますが、多分、そうした人たちは25歳前後ないしもう少し若い方々で、リアルタイムのドラクエってのが4〜6あたりなんでしょうね。

 1からリアルタイムで楽しんでいる立場で言わせて貰いますと、1〜3がドラクエで、天空シリーズは「ドラクエ的なモノ」です。勿論、面白かったし、好きですよ。特に5は大好きです。でも4〜6はFFや他のRPGの影響を大なり小なり受けた、受け身のドラクエで、1〜3までの「らしさ」はやっぱりないんですよねー。より純粋にRPG。より純粋にヒーローもの。どれがドラクエでしょう。4〜6は「それならFFでいいよ」と言うドラクエで、私の中で、ドラクエ>FFだったのが逆転していた時期に出ていたドラクエです。

 その後、肥大化してRPGとしての立ち位置が完全にぼけてしまったFFの一方、ドラクエは「売れるけど歴史には残らない」状態。7に至ってはドラクエモンスターズの焼き直しのようなゲームで、悲しくなってしまいました(いや、面白かったですけどね)。もうドラクエはこの人達には作れない。そう思いました。

 そこへ出た8。レベルファイブの生み出したドラクエは、4〜7より遙かに「ドラクエ」でした。久々にドラクエに出会えた喜び。没頭して一気にクリアしました。

 ただ、8の中でも幾つか残念な点はあり、それは「最新ハードで出す意味がないゲーム」という点で。映像が綺麗なのはドラクエ的要素ではない。情報量は多くあって欲しいけど、綺麗な映像/音楽/声なんていうモノはドラクエの要素ではない。その分野ではもう勝てないことは分かり切っているし、中途半端。いっそ携帯機で出せばいいのに、と。唯一8で「凄い」と思えたのは、世界の広さを実感できるフィールドの広がりだけで。でもそれはDSのDQMジョーカーでも体感できたんですよね(マップ自体は狭かったですが。雰囲気の部分)。見せ方を工夫すればDSでも表現できる。そう思いました。

 そして9はDS。当初は、通信要素や、クエストシステムばっかり強調され、「ゲームとして成立していないのでは?」という危惧を持ち、手を出しませんでした。発売遅れに遅れていたのも不安でしたし。

 でも、買ってみたら、なんのことはない。完璧にドラクエで。残念ながらフィールドは8のような見せ方ではなくなりましたが、そこがキモではないので問題なし。通信要素は必須のモノではなく、昔、学校で友達同士、ゲームの攻略情報を交換したり、助け合ってた感覚をそのまま通信プレイにした感じ。クエストはあくまで世界に深みを出したり、やり込みの部分で、本筋の邪魔にはならないし、やれば有利になるし。非常に良いバランスで成立しています。

 宣伝がなあ。下手というか。分かりづらい。ないし、意図的に「分かりづらく」していたのかも知れませんが。「通信しないと1人で冒険することになるの?」「お使い繰り返すだけのゲームなの?」という「悪く取れる」部分。そこが潜在的な購買者に説明し切れてなかったように思いますね。想像させる、と言う話題の作り方は、個人的には賛同したいところなのですが、今のユーザーにそれを期待しても酷というか。ましてドラクエは特定世代(人種)にだけ売っていればいいFFのようなゲームではなく。それこそ、小学生から定年した人まで遊ぶゲーム。遊んで欲しいゲーム。テレビCMなどでその辺をもうちょっとアピールしていれば、もっと綺麗に売れたのではないかと。8もそうでしたが、スマップ二ゲームの面白さを表現する力なんて無い。本邦最高最強の「客寄せパンダ」には違いないですが、コンテンツそのものに不動のパワーがある作品を、そうしたある意味脱線というか、広告代理店の自己満足的な世界に落とし込んでしまったのは、一ゲーム好きとして、とても残念です。ドラクエが、コンテンツ力で勝負しなければ、誰がするんだ。ドラクエには、ゲーム業界のバンディエラとしての義務を果たして欲しい。まして、これだけ良いモノを作ったなら。それは本当に残念でした。

 まあ、それでも350万本出荷されているらしいですし、ネット上の「ごく少数の」ヒステリックなネガティブキャンペーンは何らマイナスになっていない。今のユーザー、という話を先ほどしましたが、業界側は過剰にネットの力を恐れて(過信して)いますけど、ネットでモノを書く、ネットで情報を集める層ってのはやっぱり限られていて。FFをやらないでドラクエをやる層ってのは、基本的に見てないですからね。そうした人たちには「ドラクエが出る」と言うことを伝えるだけで良いのです。その意味で、スマップの駄CMは「正解」なんでしょうね。好き嫌いで言えば嫌いですけど。正解なんでしょう。

 さてさて。脱線が過ぎました。そんなわけで、9はとてもドラクエらしいドラクエで、ドラクエを全部やってる人ほど、そこは受け入れやすいのではないかと思います。自分が、3まで寄りか、天空寄りか。それでジャッジして良いんじゃないですかね。天空よりの人はかなり賛否分かれると思いますので、自分に似た完成の友人に良くヒアリングしてから買いましょう。

 で。肝心のゲームは、程良いバランスで、致命的に詰まるような要因もなく、惰性になるほど中弛みするところもなく。ボリュームとしては「やや物足りない」程度に見事に抑え込まれています。それがいいんですね。やれ対策、やれプレー時間というのは、ゲーマー人種の中の一部の層だけで、そういう人たちはクエストをやればいい。映画やテレビと同じグループにゲームという趣味を置いている人たちにとっては、我々が「短いな」と感じるボリュームが、多分丁度良いのです。

 テーマの分かりやすさや、1つ1つのイベントの起承転結の明確さは流石にドラクエ。ユーザーの読解力に依存しない、それでいて深読みできそうなにおいのする、良いシナリオです。次にこれをやれ、と言われすぎても窮屈だし、言わなさすぎても不親切。その辺のバランス感覚が全部「ゲーマー平均」ではなく「ドラクエユーザー平均」に設定されています。見事です。

 演出面のしょっぽさも実に計画的にコントロールされていて、良い。派手なエフェクトやムービーなんて、ドラクエに不要。一応、9にはあるはあるけど、限りなく「軽い」ので、ストレスは皆無です。

 皆が嫌い、嫌い言うギャル妖精ですが、個人的には全然。いや、だって、アレが許せないって言う人、トルネコの存在なんか許しちゃダメだろうw 結局は好き嫌いの部分です。そうした「遊び」は前からある。どういった経緯でこういうキャラが、みたいな話は、評価材料にするのは勝手だけど、それで自分の感覚による純粋な「評価」から脱線してくることは気を付けなくてはいけない。別に、ゲームの世界観を決定的に壊してるワケじゃないし、良いんじゃないですかね。アギロの頭のサイズの方が気になるしなあ。

 とりあえず、クリアして10時間ほどやりましたが、クリア後に出来ることがもの凄く多いですね。追加配信クエストもあるし、宝の地図ダンジョンもあるし、練金やアイテム、モンスターのコンプリートを目指すやり込み要素もある。称号やすれ違いもある。長く遊べそうです。特に追加配信クエストは、先々「もう一本のドラクエ9」って言うくらい、広がりを持ってきそうです。今から買うと、クリアする頃には15本くらい新規クエスト溜まってるでしょう。良いタイミングじゃないでしょうか。

 得点は9点。0.5は情報宣伝部分を含めた発売前のグダグダ感へのマイナス。残り0.5は「ドラクエ」というモノへの私の評価。ドラクエの満点は9.5です。2と3。私の10点は「ドラクエやFFを越えてきた物」への評価であって、やっぱり、減点は基準点以上は付けられない。8は8点でした。この+1点は、個人的には最大級の賛辞に近いです。本当に良いゲームでした! でも、10作るなら計画的にお願いしますw

 次……しばらくのんびりドラクエやってますけど、DSかPSPで面白そうなゲーム探そうと思います。9月10月は出張多そうなので。

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