再ファンドを見つめる2011その2。

>前回エントリ■再ファンドを見つめる2011・再ファンドの大物編

 前回の予告通り、「クラブ別の再ファンド成績」を見てみます。まずは一覧表で。2001年(4〜11歳世代)以降のデータです。
※並び順は近10年のクラブ所属頭数多い順。比率は全募集馬に対してではなく全血統登録馬に対して行うので、中央登録前に引退した未出走馬などは数に入っていません。基本TARGET見ての手動計算なので数字に間違いあったらゴメンナサイ。

クラブ名 再ファンド頭数 全体比率 中央勝ち頭数
サンデーR 34 4.8% 12(35.3%)
社台RH 24 3.5% 13(54.2%)
ラフィアン 0.8% 1(20.0%)
キャロット 19 4.4% 7(36.8%)
シルク 27 5.4% 4(14.8%)
優駿HC 1.5% 0(0.0%)
ヒダカBU 36 8.7% 7(19.4%)
ターフS 16 4.7% 4(25.0%)
セゾンRH 4.5% 2(28.6%)
ロードHC 19 11.9% 2(10.5%)
ローレルR 10 6.4% 2(20.0%)
大樹F 0.0% 0(0.0%)
ウイン 13 9.8% 2(15.4%)
グリーンF 3.1% 1(25.0%)
ブルーM 13 12.4% 0(0.0%)
東京HR 3.4% 1(33.3%)
広なんとか 12 12.4% 4(25.0%)

 総じて言えるのは、募集馬のうち勝ち上がれるのは半数にも満たない現状(4歳世代はトップレベルの社台で58.7%、東京は40%、キャロットは39.5%)で、再ファンドされる馬は5〜10%という事実。未勝利馬の5〜10頭に1頭しか再ファンドにはならないわけですね。それだけ「相応しい馬」を各クラブが選んで、その結果中央で通用したと言えるかどうか、というのが一番右の数字です。分母が少ないので、数字の紛れは起きやすいですが、おおよそ「再ファンド馬の中央勝ち上がり率が高いクラブ」=「信頼できるクラブ」と言えますかね。それにしても厳しい道だと言うことは分かってもらえると思います。前回挙げた「エリート」はほんの一握り。サマーウインドミリオンディスクを夢見て再ファンドに応じるのは、カタログの中から走る馬を見つけるよりずっと狭い道なのです。

 今年からは再ファンドという形式ではなく、一旦ファンドを解散せずにそのまま地方に出るようです(キャロの場合など)。そうなると、今までは「一回お金貰っておいて様子見」という形でしたが、今後は自分の意思でそこの(再ファンド時の出資有無を)決定することが出来なくなるのかも知れません。その辺は規約を読んでもどうも良く分からないので、今年の運用スタイルを見て実際のところを確認したいと思いますが、今まで以上にクラブの責任が重くなるのは確かでしょうね。出資者投票というのも手でしょうが、実益と愛着という相反する要素を多数決で決めるのはなかなか難しい。まあ、やっぱクラブに決めて貰って、それを信頼する/しないというのを決めるのが良いでしょうね。勿論、中央戻る際に放棄が出来る、というのが一番だと思いますけど。

 そのような厳しい道だけに、これから1月2月で「生き残り」を賭けて未勝利に挑む出資馬たちの健闘を祈るばかりですね。

 以下、各クラブのデータを見た印象を簡単に。本年未勝利数は8/8時点で勝ちあがっていない馬の数です。

・サンデーR(本年未勝利35/76・内現役24)
 再ファンド頭数も多いですが、当たりの数も多い。サンデー早め/社台遅めのイメージをある意味覆すデータの一つとも言えます。いや、大枠では印象通りで良いんですけど、案外遅れてきた大物がいるねってことで。更に復帰後2勝以上した馬が7頭というのはかなり立派。そういえばスーパー未勝利でフレデフォートに負けて地方へ回ったミッドナイトクロスも先日2勝目を挙げました。待ってて良かったって感じですよね。

・社台RH(本年未勝利26/73・内現役19)
 サンデーRより再ファンド少ない、ってのは個人的には驚きでした。しかしそれ以上に驚くのが、中央復帰後勝ち上がり率の高さ。ずば抜けてますよね。アーバニティミリオンディスクの両巨頭を含め、2勝した馬も6頭。たいしたものです。牝馬の勝ち上がりも多く、再ファンド界の超エリートクラブと言えますね。サンデーRも立派ですが、比べるとやっぱり社台。再ファンドになる馬の中には「地方に出て時間稼ぐウチに足元が何とかなれば…」という馬もいるわけで、その中で5割超ってのは破格です。

ラフィアン(本年未勝利37/75・内現役16)
 見極めが早い、でお馴染みのラフィアン(現在までの引退数もダントツ)だけに、再ファンドとはほとんど無縁と言っても良いです。600頭以上居て5頭ですからね…。しかも出戻り後に勝った唯一の馬マイネルリズムの勝利場所は地方交流戦。ま、はっきり「再ファンドはないクラブ」と言っていいでしょうね。マイネルに遅れてきた大物無し。分かってたことですが、凄いものです。

・キャロット(本年未勝利51/84・内現役38)
 会員として、再ファンドは多いイメージでしたが、募集馬の4.4%。少ないですね。それに対し、復帰後の勝ち上がり数はなかなか優秀。重賞勝ち馬のゴルトブリッツと、1000万勝ちのあるサーチエネミーがいますが、2つ勝ったのはこの2頭。やはり地方転出馬が、500万条件はともかく1000万で戦う厳しさというのを思い知らされます。「この馬は500万勝てば御の字なのか」という価格(気持ち)が一つの線引きにはなりますかねえ。本日段階で最も多くの未勝利馬を抱えるクラブ。まあ、本家との差はここと言っても良いですよね。エリートクラスの活躍が最近目立ちますけど、本質は変わっていないと言えます。私も未勝利2頭。頑張れよ……。

・シルク(本年未勝利38/49・内現役23)
 シルクというのはなかなかつかみ所の無いクラブではありますが、再ファンド向きじゃないんじゃないかというイメージはありました。実際、キャロより地方に出た馬の数は多く、その中で中央でやれたと言えるのは準OPの連対もあるシルクヒーロー1頭。シルクに限った話ではないですが、牝馬は8頭出て中央未勝利。やっぱり厳しいですな。とりあえず未勝利馬多すぎ。

優駿HC(本年未勝利21/25・内現役8)
 ラフィアンと並ぶ「再ファンドしないクラブ」の筆頭。確かにシチーのマル地って記憶にないなあ、と思ったら中央未勝利でした。納得。再ファンド馬の過半数がマル外。結構面白い馬募集するクラブなんですよねえ…。本年勝ち上がり4頭、引退13頭。シビアねえ…。

・ヒダカBU(本年未勝利33/44・内現役23)
 なんと言っても再ファンド界の帝王、サマーウインドが目立つクラブですが、ゴッドヘイロー、カゼノコウテイなど上級条件でやれている馬も居ますし、なかなかのものです。ただ復帰後掲示板もない馬も目立つので、勇気(見極め)はいりますね〜。未勝利率はシルク・優駿に匹敵しますが、引退していない馬多数。ここから勝負ですね!

・ターフS(本年未勝利16/25・内現役10)
 この分母で出戻り勝ち上がり率1/4はなかなか立派ですね。準OPで活躍するキャプテンルビーも居ますし、思っていたほど悪くない印象でした。キャプテンルビーはダイイチルビーの子供か。こういう馬が戻って頑張るのはなんだか嬉しいですね。

・セゾンRH(本年未勝利12/22・内現役8)
 ジョイ時代も含め再ファンドになったのは10歳世代より前だけで、その後クラブが何度も変わっているので余り参考にならず。個性が見えるのはこれからでしょうかね。勝ち上がり率は御三家に匹敵する優秀さ。色々バタバタしていますが、悪いクラブではないんですよね、うん。

・ロードHC(本年未勝利8/17・内現役5)
 かなり高い再ファンド率(全クラブ3位)ながら、復帰して勝ったのは2頭で一方は地方交流での勝利と、非常に「再ファンド効率悪い」クラブという結果。どちらも10歳世代で以降は勝ち無しです。ただ、勝ち上がり率は下のクラブと比べるとかなり高いので、余り気にしなくても良いかもしれません。

・ローレルR(本年未勝利15/20・内現役10)
 勝ち上がりはいずれも(現在)1勝止まり。ただその2頭が比較的若い世代(5・6歳)から出ているのは、今未勝利馬を抱える人の励みになるかも? 未勝利率は高めのクラブです。

・大樹F(本年未勝利6/8・内現役3)
 私が見落としていなければ、ですけどタイキは再ファンドの制度を使っていません。そういう規約なんでしょうか? 正直、勝ち上がり率は低い部類のクラブだけに…と思いますが。しかし頭数は減りましたよね。あの勝負服好きなんですよ、私。ちょっと寂しい。

・ウイン(本年未勝利11/19・内現役9)
 中央復帰から2連勝(通算3勝)したウインファンタジアが稼ぎ頭(4597万)。あとは1つ勝ったベルセルク(現役)、未勝利も入着賞金を1800万近く稼いだルシルあたりまでが「まあ良かった」ライン。稼ぎ頭が牝馬ってのはレアですね。勝ち上がり率は悪くありませんし、今年はバリアシオンという大物も出しました。クラブの方向大きく変わるようですが、元会員として今後の繁栄を願います。嫌いで辞めたクラブじゃないんで。

・グリーンF(本年未勝利14/19・内現役7)
 地方出戻りで勝ちあがったのはデュヌラルテ1頭。1勝ですが1000万での掲示板8回で4500万以上稼ぎました。地方は4戦2勝ともたつきましたし、中央復帰後も勝ち上がりは11戦目。これはクラブどうこうじゃなく、多分「堀先生らしいね」ってところでしょう。この厩舎は、こうした「我慢の末の実り」に耐えられる人向きだと思います。この頭数で毎年当たりと言える馬はしっかり出しているクラブですから、良いですよね。

・ブルーM(本年未勝利9/11・内現役7)
 広…と並んで再ファンド率首位も、復帰後勝ち馬無し。色々あれですねえ……。

・東京HR(本年未勝利14/23・内現役8)
 クラブのカラーが変わって間もないですし、分母も少ない。まあ、余り再ファンドに出るクラブじゃないとは言えるかも知れません。今後どうなりますか。とりあえずリニューアル後に当たり・大当たりをどんどん出して派手な印象のクラブですが、勝ち上がり率はお世辞にも優秀とは言えません。ここが伴わないと、今後は厳しいでしょう。一流馬を出しているクラブと一流クラブは違うというわけです。東京はまだ一流クラブではないですね。これからに期待。

・広…(本年未勝利7/11・内現役6)
 再ファンド率はトップ。これだけだと「流石名高い引っ○り芸!」というところですが、勝ち上がり率はなかなか優秀。そのうち半分は2つ以上勝ってますし、残りの2頭も勝ち上がり後に掲示板有り。見極めは大事ですが再ファンドで尻込みは不要かもですね。まあ、「以前は」って話ですが。


 次は「再ファンド向きの厩舎」でも調べてみましょうかね? クラブ馬に限らず。何か見てみたいデータがあったら提案してくださいな。

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