今年もキャロ追跡調査。

 やっぱりこの手のエントリは「反応の有無」というのがモチベーションに大きく繋がるわけで。今回の統計とかは、まあ、一口馬主DBさんがかなり参考になったので見た目ほど大変じゃないのですが、前回のとかは手動集計の部分が多かったのでかなり手間でした。それで反応無いと「じゃあもう自分だけ知っていればいいや」となるのが人情。先日の分はアクセス履歴などを見ても、最近始めたTwitter経由で結構見ていただき、自分的には久々に満足しました。そんなわけでサボリがちでしたが、暫く統計系エントリ頑張りたいと思います。

 今回は以前のこのエントリ続報。そろそろキャロットの厩舎価格も分かります。今年は本当に豪華なラインナップ。ワクワクする心を抑えつつ、近年の傾向をおさらいしてみましょう。

 キャロット3〜9歳世代の、賞金ベスト5と、回収率200%以上(3歳世代のみ100%)の馬の一覧です(8/10現在)。

■3歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
リアルインパクト 4000 17789 445% NF
ピュアブリーゼ 2400 8042 335% NF
フレールジャック 5000 5150 102% 西 NF
アヴェンチュラ 5000 4790 95% 西 NF
ペルレンケッテ 2800 2366 84% 西 NF
レックスパレード牡 1600 1697 106% 西 追分
10 マヒナ 1600 1695 105% NF
15 ウルル 1200 1440 120% 西 NF

■4歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
トゥザグローリー 12000 28969 241% 西 NF
ゴルトブリッツ 6000 10710 179% 西 NF
バトードール牡 4800 6391 160% 西 NF
フラガラッハ 1800 6335 352% 西 白老
インペリアルマーチ牡 5000 6163 123% 西 NF
ラフォルジュルネ 2000 5677 284% 西 白老

※募集時は東

■5歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
フィフスペトル 4000 16663 417% 白老
ランフォルセ 4000 15787 395% NF
トライアンフマーチ 6000 14940 249% 西 NF
リーチコンセンサス 1600 10021 626% 西 NF
ブレイクランアウト 3600 9945 276% 海外
サウンドアクシス 2800 8717 311% 西 NF
マイティスルー 1800 7456 414% NF
メトロノース 2000 7137 357% 西 NF
11 バイラオーラ 1400 5597 400% 白老
12 ピースエンブレム 1400 5138 366% NF
13 ビンテージチャート牡 2400 5113 213% NF
18 クリンゲルベルガー 1000 2197 220% 西 NF

■6歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
トールポピー 2800 21799 778% 西 NF
スピリタスセン 2000 13977 699% 西 NF
マルティンスターク 1400 6907 493% 西 NF
マゼラン牡 6000 6685 111% 西 NF
グロッケンライン牡 2800 4993 178% 西 三石
リーガルスキーム牡 2000 4762 238% 西 沙流
フィックルベリー 1600 4102 256% 海外
10 バイヨン牡 1800 3660 203% NF

■7歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
プラテアード牡 4000 6786 170% NF
ニードルポイント牡 1600 5438 339% 社台
フライデイフライト牡 3200 5179 161% 西 海外
アルヴィス 2800 5149 183% 西 海外
ベルフィーチャー 1400 4703 335% 西 追分
カラベルティー 1400 3424 244% NF

■8歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
ブルーメンブラット 1800 34954 1941% 西 NF
アロンダイト 1800 22194 792% 西 NF
ランザローテ 3200 11365 355% 西 NF
カルナバリート牡 2400 10811 451% 西 NF
フォーリクラッセ 3600 6241 173% 西 NF
インテレット 2800 5738 204% NF
モンプティクール 1200 4123 343% NF
レグルスキッド 1000 3556 355% 西 白老

■9歳世代

賞金順 馬名 募集額 獲得賞金 回収率 東西 生産
ディアデラノビア 3400 32802 964% 西 NF
シーザリオ 1400 22830 1630% 西 NF
フィフティーワナーセン 6000 14415 240% 西 海外
ペニーホイッスル 2000 10560 527% 白老
ダンディズム牡 2000 6970 348% NF
スルーレート 1800 6255 347% NF
ブランシュネージュ 1200 5466 455% NF
10 クリソプレーズ 1800 4976 276% 西 NF
11 ライトニングボールセン 1400 4844 346% 西 NF
12 コメディアデラルテ 1600 4460 278% 西 三石

 基本的に、今回のデータは一口馬主DBさんを見れば分かる内容です。何がしたかったと言うと、それを世代ごとに視覚化することで、「ノーザン」「牝馬」「関西馬」という「キャロ3大出資要素」がどの程度結果を伴うものか、年度ごとにどのような傾向が出ているかを縦軸で把握する補助になれば、と。

 前々回のエントリでは「1世代ごとに1億オーバーの馬が出ている」「1世代ごとにノーザンファームに偏る」「1世代ごとに西高東低が極端になる」と言いましたが、賞金に関しては単に7歳世代が残念だっただけですね(私の入会した世代です。出資馬は2頭とも未勝利引退〜)。逆にその後毎年1億オーバーを複数出しているのは立派です。NFに関しては、コンスタントに非NFの活躍馬も出ていますが、やっぱ基本は当たりを狙うならNFで良いですね。西高東低のデータはここへ来てまたはっきりしてきた感じ。3・5歳世代の関東馬活躍は目立ちます。この辺の偏りは理屈付けるのは難しいのですが、クラブとしての預託のリズムってのはあるかも。順番で行くと、現2歳は関西、これから募集の1歳は関東OKって感じでしょうか。

 前回エントリの「高額馬の復権」も引き続きはっきり。遂に1億オーバー募集のトゥザグローリーが活躍しましたし、一口10万以上がランキングにずらっと並んでいます。

 これだけを見てしまうと、「高額馬買わないといけないのかな」と思ってしまうかも知れませんが、正確には「高額馬がまっとうに走るようになった」ということではないかと。キャロの募集馬の質が向上したと感じる最たるポイントはこの辺でしょうね。高額募集の良血は、どこにとってもクラブの看板というか、ある意味「客寄せパンダ」的なところがあり、必要なのは「実」ではなく「花」であり、走る・走らないは別問題な部分もありますが、それで結果を出すことで当然ながらもう一段深いPRになります。キャロットというクラブが、ビッグ3に肉薄するパスポートを手に入れたのがここ2・3年と言えるでしょうか。特に超高馬トゥザグローリーの成功は絶対的な宣伝効果をもたらしたと考えます。G1で勝ち負けする馬が出ても、それが安馬だと我々庶民に夢を与えることが出来ても、値付けの部分や募集の質を含めたクラブの正当性をアピールするには至りません。勿論、実際に仲間入りするにはここからが勝負ですね。

 勿論高額馬=走るじゃないわけで、3歳世代は一口10万オーバー8頭中勝ち上がりは6頭で、G1勝ち・2着を含め重賞級ゴロゴロととかなり優秀ですが、4歳は勝ち上がり6/9でペイライン越えは4頭、5歳は勝ち上がり10/12もペイライン越え3頭。6歳以上でも23頭の高額馬の内ペイした馬は7頭居ますので、そこまで「走るようになった、安心!」とは言い切れない面も(3歳の流れが2歳も続く、と見れば今年も信頼できると考えることは可能です)。当然ながら高いだけにこけたときのダメージは大きく、1つ2つ勝つだけでは到底成功とは言えない価格帯においてはより選抜眼が要求されると言っていいでしょう。

 5歳世代が特に顕著ですが、6万未満の馬でも当たりと呼べる馬は依然いっぱい出ています。今年のピュアブリーゼを例外にすると、「安めの大当たり」が出ていないのは事実ですが、高額馬を絨毯爆撃できるような資金力の人じゃなければ、頑張って高い馬をつまむよりは平均価格の中からしっくり来る馬を2・3頭選んだ方が楽しめる気がします。その上でG1獲りや種牡馬候補を狙う人は高額馬を避けて通れない、って感じで。まあ15万20万の馬が毎年居るようになった今は一口10万は高額扱いしない方が良いんでしょうね(これはあくまで私の金銭感覚に基づく線引きですので)。以前は4〜6万ゾーンに当たりがいっぱい居ましたが、今は6〜10万ゾーンに増えた。今年は派手めな血統多いので、もうちょっと上にシフトしそうな予感はあります。8万以下で魅力的な馬何頭いるだろうなあ?

 「ノーザンファーム牝馬関西馬」という「キャロットブランド」の活躍馬もこうしてみると当たりは出ていますが、アベレージが高いとは言い難いですね。トールポピーアヴェンチュラ姉妹、ブルーメンブラットのような超大物が次はいつ出てくるのか。ワンサイドゲームだと良いんですけどねえw 関東牡馬で非NFのフィフスペトルを筆頭に、該当しない当たり馬も明らかに増えています。

 補足でこんなデータ。世代性別の東西勝利数、NF/非NF勝ち数です。最後のNEという数字は「ノーザンインデックス(造語)」。「総勝ち鞍中のNF馬比率/募集馬のNF比率」。つまりこれが高い年はNF馬が募集比率以上に勝っている=非NF馬より優秀だったということですな。

世代 東西比率 東牡 東牝 西牡 西牝 NF(東西) 非NF NE
3歳 40/42 10 16 11/20 1.14
4歳 35/41 14 33 10 16/31 14 1.27
5歳 38/39 26 17 24 14 27/33 21 1.21
6歳 41/32 18 22 15 17/24 22 1.16
7歳 31/34 11 15 11 10/8 24 0.77
8歳 20/28 13 24 15 15/35 1.30
9歳 21/21 13 13 25 15 20/22 24 1.22

 とりあえず個人的にも非常に気になっていたのがNEの部分。勝ち星だけ見ると「やっぱりキャロはノーザンだよね!」と思いますよね。でも実際、募集比率からすると7歳世代以外は流石に逆転現象は起こしていないものの(7歳世代の不振はノーザン勢のせいってことがはっきりしました)、イメージほど凄くない気がしませんか? 冒頭の活躍馬リストでは41/57と7割強がNF馬にもかかわらず。ということはつまり、未勝利や下級条件馬がNF比率が高いってことですよね。勿論より重要なのは個々の資質ですが、大まかな傾向として「ホームランか三振のNF」「ヒット狙いの非NF」というイメージは、どこかに置いていて損はないかも知れません。

 牝馬優勢クラブという傾向はとっくに無くなってることが分かりますね。特に近年の牝馬不振は顕著。上の賞金順よりもそれが目立つということは、未勝利・500万レベルでよりその傾向が強いんでしょうね。募集頭数が増えた7歳世代以降はそれがはっきりしていますので、3〜7歳をリストにしてみましょう。牡馬/牝馬の勝率と、上級条件(1000万以上)勝ち数(3歳のみ500万〜勝ち数)、牡牝それぞれの未勝利引退数。

世代 牡勝率 牝勝率 牡上級 牝上級 牡未勝 牝未勝
7歳 13.5% 5.9% 5勝 1勝 22 23
6歳 9.8% 7.6% 7勝 4勝 17 25
5歳 14.0% 8.3% 18勝 8勝 16 23
4歳 16.3% 7.6% 13勝 2勝 23 22
3歳 14.5% 8.2% 8勝 2勝 26 25

、7歳牝馬は準OP勝ち無し。6歳世代はトールポピーのG1・2勝などで数字的には肉薄していますが、他に1000万以上勝ち牝馬マルティンスタークのみ(1000万2勝で準OP勝ちは無し)。5歳は上級条件8勝と健闘しているようですが、準OPはラドラーダの1勝のみ。4歳は目下勝率、上級条件勝ち共に圧倒的に牡馬。牝馬の1000万以上勝ちはラフォルジュルネ1頭。3歳もピュアブリーゼのオークスはありますが、あとはペルレンケッテの500万と漁火Sのアヴェンチュラだけ。大器アヴェンチュラの活躍で数字は伸ばしてきそうですが、全体的な傾向(ごく一部の当たり馬に頼った数字)というのは継続していると言えますかね。さて、これを見ても「キャロットは牝馬だよな!」と言えるかどうか。牝馬が総ゴケしているわけではないですが、少なくとも牡馬を(も)買わないとどうしようもない、ってのは明らかじゃないでしょうか。

 関西編重も隔年になってる、ってのはここでも見える傾向。やっぱり今年は関東馬避けずに行こうかな。50勝の時調べたデータでも、私圧倒的に東高西低な一口馬主ですし。

 そんなわけで、来るべき1歳世代出資の参考になれば幸いです。


 次は、東京TCの追跡調査か、当ブログの大好評企画(?)「一口調教師ランキング」の新年度版、または再ファンド系エントリの続編あたりを考えていますよ。

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