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ふぇみにすとの論考 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-12-01

[]「女性とマイノリティと労働者を支援するブラック企業?」をめぐる議論

id:macskaさんの*minx*ブログにて2回にわたり、「女性とマイノリティと労働者を支援するブラック企業?」というタイトルで、フェミニズムMLで、ある女性団体/法律事務所の出した募集広告をきっかけとして起きた議論へのmacskaさんのポストが紹介されている。

女性とマイノリティと労働者を支援するブラック企業?

女性とマイノリティと労働者を支援するブラック企業?(2)

この一連の議論に際しての私のMLポスト(2度行ったうちの最初のもの)も以下にアップしておく。

このポストをした後、何人かの人たちによるポストがいくつかあったが、結局問題となった法律事務所/運動体の雇用責任者からのレスはないままだ。そして、上野千鶴子さんがコヤマさんの問題提起および議論をおさえつけるようなポストを行ったのだが、以下の私のポストはその上野さんのポストへの反論として書いたものだ。


こんにちは、山口智美と申します。一連の****法律事務所をめぐるやりとり、拝読させていただいておりました。

私も****法律事務所の募集広告がこのMLにあまりに頻繁に出されることを疑問に思っていた一人です。そして、あまりに頻繁であるがために、当然ながら、コヤマさんが思われたような労働条件に関する疑問をもっていました。そもそも、募集広告にまったく労働条件が書かれておらず、MLでの募集にも新たな文面が追加され、****のウェブサイトには「精神的に強く、自営業的に仕事ができる方歓迎します。」などと書かれており、通常の募集広告には見られない文言が目立ちます。「自営業的」とはいったい何のことか不思議に思って当然だと思います。

このMLにおいて出された(それも一度ではなく頻繁な)募集広告に対する質問を、ML上においてすることが問題であるとは私には思えません。

なお、一連の議論で問題になっていたのは、単なる一経営者の「経営姿勢の問題」や「人格批判」などではない、労働者の労働条件にかかわる問題ではないですか。

一般企業において、経営者がもつ労働者の労働条件への姿勢や実践は問われ、批判されるのに、女性運動団体になると問われないでよいというはずはありません。法律事務所や運動体、NPOでもまったく同じく労働者の権利は守られるべきものですし、その団体が対外的にどんなに素晴らしい活動をしていようが関係なく、もし労働者の権利が侵害されているのなら、批判されてしかるべきでしょう。

そして、女性運動体やNPOにおける労働条件やパワハラが問題化され、争議などにも発展しているケースがほかにもでてきている中で、労働条件への質問がでてくるのは当然のことであるとも思います。

なお、ML読者として、自分自身がこの仕事に応募しないとしても、この仕事の広告を知人、友人などに流すということはありえます。募集広告自体にも、「ご友人・知人で適任の方がおいででしたら、ご紹介ください」と書かれています。そして、この不景気の中、仕事を探している、心あたりの知人、友人をお持ちの方々もこのMLにはけっこういらっしゃるのではないでしょうか。

ちなみに、私自身、過去においてこのMLに流れてきた****法律事務所/********の募集広告を知り合いに紹介した結果、労働条件等に問題があったということで、すぐその人が辞めるに至ったことがあります。紹介した側としても、残念でしたし、自分自身の責任を多少なりとも感じざるを得ませんでした。そういった経験もあった中、最近のますます頻繁な募集には懸念を感じておりました。

コヤマさんのご質問は、労働条件についてごく普通のご質問であり、当然経営者なら守るべき種類のものです。それにお答えいただけるならば、MLに参加している人たちも、この宣伝を友人などに紹介することに関して、判断する一助とはなるのではないでしょうか。

**さん、上野さんは、いかにもコヤマさんや**さんのご投稿が「個人攻撃」にすぎないかのような書き方をされていますが、私はそうは思いません。むしろ、女性の労働に関する重大な問題を提起されており、女性運動/フェミニズム内での労働問題という、私たち多くの足下の問題をつきつけておられるように思います。また、まさに女性をめぐる労働問題でもあり、「ジェンダーをめぐるさまざまな情報」以外の何ものでもなく、フェミニズムにとっても核心の問題のひとつであるはずです。これらのご投稿を「個人攻撃」にすぎないかのように扱ってしまうことは、すなわち様々な差別待遇などへの疑問や告発を、単なる個人的な苦情や恨みつらみであるかのように、たいしたことではないかのように扱うことで、そのような声を沈黙させてしまい、根本的、構造的な問題を問わずに終わるという、あまりによくあるパターンに落ち込んではいないでしょうか。

いづれにせよ、私はコヤマさんのご質問は、MLにポストされた募集に対して労働条件をMLにおいて聞くというごく当然のことをしただけだと思います。それに対して当該者の方にお答えいただければすむだけのことではないでしょうか。それがなぜ「収束」されるように「おねがい」されなければならないのか、私にはわかりません。

山口智美