Break line

「見切り時」に悩んでいる。
仕事で使っているパソコンのブラウン管モニターの調子が悪い。電源を入れた直後は表示幅が1/3くらいしかないが、5分もすると大概は直る。使用中にもたまに縮むが、電源を切り入りしたり、斜め15°からチョップを入れたりするととりあえずは直る。
「穴の空いた靴下」「インクの切れたボールペン」「切れた電球」など症状がデジタルで使用不可能になったものは見切れるが、「ゴムの伸びたパンツ」「インクの薄くなった蛍光ペン」「調子の悪くなった電化製品」など症状がアナログで、なまじっか使えると見切りにくいものだ。アナログに劣化したものをだましだまし使っていると自分がそれに慣れてしまうし、また、突然使えなくなる危険性も秘めている。
見切る基準は、その人のライフスタイルを反映する。例えば靴下の場合、私は穴が空いた時が捨て時だと見切るが、ゴムが伸びてきたらダメとか、穴が空いてもOKとか言う人も居る。見切り時は人となりを判断する際の良い指標である。
劣化したものを緊急避難としてだましだまし使っているうちに、それに馴染んでしまうとライフスタイルが崩れてしまう。
また、「勿体ないから」と使っていても、見切り時を誤ると、手戻りその他のコストでトータルコストがかさんでしまうことが多い。
見切る時期を誤ったり、判断を先延ばしにしていてはろくなことがない。
考えてみれば人間関係や女性関係も見切り時が大切だ。大問題が無い状態で、小さい兆候から将来の不具合を予測し、見切ることが出来る人も居るのだろう。私は、使える物は使う地球や環境に優しい性格なので、女性をふった覚えがない。なのに、この崇高な精神を解さずして「女にだらしない」と評する蒙昧な輩のなんと多かったことか(反論は受理しません)。
常に状況を把握し、適切な時期に適切な見切り判断の出来る人間になりたい。
とりあえずモニターをどうしよう?
まだ使えるんだよな...。

ナツノクモ#1(篠房六郎)

近未来におけるネットゲーム内の仮想空間を舞台とし、現実世界も絡めた作品。この作者の単行本は全て持っている。内容の出来や好悪はともかく、今の漫画の先端を行っている作品の一つだろう。ネトゲをしたことがないから細かい部分のニュアンスは良く分からないが、「現在のネットゲームを進化させた世界をシミュレート」すると言う点は評価出来る。SFのサイバーパンクものの延長にあるのだが、サイバーパンクものが純然たる想像、シミュレートの産物であるのに対し、前作『空談師』も含め『ナツノクモ』は現在進行形のネット社会での出来事をフィードバックしており、近未来を舞台としているだけに一段とリアリティーがある。
IT革命と言う台詞は既に陳腐化したが、現実的に革命は推し進められている。人間のコミニュケーション手段やメディアが変わっても人間の本質は変わらない。しかし、顕現した人間関係やプロトコル、倫理感は、コミニュケーション手段やメディアによって変化する。その変化に対応出来ない人間は、「昔は...」と過去の好事ばかりに目を向け、「世代の問題」としてそれを語る。自分がそうならないためにも、おたくの最先端について行きたいものだ。

ナツノクモ 1 (IKKI COMICS)

ナツノクモ 1 (IKKI COMICS)