足し算よりも掛け算よりも

FKD48 5th LIVE 〜明確〜
4/24 座・高円寺2 19:00


見終わったときには喪失感も感じるほどのライブはFKDだけかもしれない。感慨は置いといて、今回はちゃんと感想書きたい。
各コーナーの名前と詳細はK-PROさんブログから引用しました。
あと写真入りのレポートがナタリーさんに上がっているので詳細はそちらで。

OP

恒例のダメだし大喜利は「メンバーから見た吹きだまっている理由」。
風松は篠宮さんから「チャンスになると松原さんが倒れる」(笑)。倒れるのそんな恒例じゃないからー(笑)! 去年の4月に倒れた時も漫才新人大賞棄権はしたけど、まーやっぱりザマに出られなかったってインパクトはでかいわなぁ。あと内容関係ないけど「松原さん」って呼ばれるあたりやっぱり年上なんだよなーと思ったり。
その次のトップリードに対する松原さんの「よく見ると二人とも小太り」に爆笑。あとマシンガンズに対する平子さんの「来ない」も良かったなー。
Hi-Hiどうするんだろうと思ったら他ならぬ永沢さんからの「もう吹き溜まりじゃないけど上田さんは絶対卒業させない!!」に会場歓喜の声と大拍手。ガンちゃんは?ってのは後から気づいたよ!


いつも通りスーツで集合して、「私たち、FKD48です!」。今回は松原さんが見たことないレジメンタルのネクタイしてた! 風藤さんはドットの方。二人とも上手寄りに並んで立ってた。いつも通りおとなしく(笑)。
タイマがオンバトチャンピオンになった話で、山本さんがトップリードも頑張ってたよ……みたいなことを言ったり。考えてみなくても唯一のネタ番組のチャンピオンが2年続けて所属してるFKDは、やっぱり都内トップクラスのメジャーな芸人さんばかり集まってるんだなぁと改めて。

FKD春のスペシャルプロジェクト〜第一回新メンバーオーディション〜

暗転中にテーブルが出てきて、捌ける人は捌けて、残る人は残る。暗がりでテーブルに着く審査員役の人を見ながら、あたりまえなんだけど、全部進行決まってるんだよなと思った。なんか、普通のライブだとネタばかり見ているせいか(そしてネタは台本ありきでもそうは感じさせないようになってるから)、あまり準備とかって見えない感じがするんだけど、FKDは本公演もトークライブも、ほんとにきっちり決めて役割分担してるんだなって随所で思う。
オーディションを受けにきたのがエルシャラカーニやまもとまさみ・キャプテン渡辺・スパローズという、何のドリームチームだ(たぶんクズのだ)という面子で、どうしてこれが全国に中継されてないんだろう……とちょっと本気で思った。
短めのネタをやる間、うしろで見てる審査員役の人たちがほんとに笑っちゃってて楽しそうで、あーいいなー思った。永沢さんがキャプちゃんのパチンコあるあるにうなずく回数は尋常じゃなかったけど(笑)。
「恋愛禁止だけど大丈夫ですか?」と言われて「お前SEXしまくっとるやんけ!」と言った後真っ赤になてしまう清和さんが可愛すぎた。純情……! はぐれてなんぼの純情男がここに……!
何と言ってもスパローズがすごかったなー。ながーいこと黙ってた平子さんが「みなさんベテランだけあって堅いネタを持ってきていただいて」と言ったらすかさず「大和:ずいぶん前に用意してたやついっただけでしょ」。すげー! 平子さんをいなせるスパローズすげー! いや若手も平子さんのスキはなんとなくわかってるんだと思うんだけど、あそこまで軽やかに踏み込めないよね……。一閃、って感じだった。


それぞれの担当ポジションをめぐっておふざけのような対決をする前に、風藤さんの不良キャラがなんなんだという話になり、風藤さんは「床! なに見とんねん!」と、床にメンチを切るはめになる。ああいうときは関西弁なのねー。ふくふく。
山本さんと森田さんの「スケベ対決」の時、ブラジャー外し対決と聞いて即座に「いけるかな―」と言って客席に降りた森田さんすげー! 違います! と言われて膝をついて残念がる山本さん(笑)。実際はブラジャーを3つずつ着けた松原さんと玉城さんが出てくる。山本さんと森田さんはなんの意地か、片手しか使わず外してた。松原さんを外してた山本さんが勝って、ブラ全部とった松原さんがこっちに向き直ってたんだけど、風藤さんにホワイトアスパラとかエロモヤシとか言われてる割にふつーに良い体してた気が……。ガタイがいいとは言わないが、けっして貧相ではなかった。そんで色は白かった。すでに半そで焼けをしていた。見すぎですね。


オーディションは全員合格だからエンディングまでに事務所にオッケーとってきてね、と言うゆるさで終了。「和賀:こちらの気持ちは固まっております!」これよかったなー!

ユニットコント

【抽選漫才】う大(ツッコミ)・和賀(ボケ)・高松(ボケ)

う大さんがやりづらそうながら名フレーズ連発でさすが。私が好きだったのは「四月に人を殺して」です。「四月になれば彼女は」みたいじゃないですか。違うか。最後の「やめさせてもらうわ!」の狂気じみた満面の笑顔に、ああやはりこの人はコントの人なんだなと思った。演じ切っていた。

【抽選コント】篠宮(ノリツッコミ)・土谷(オヤジボケ)・川元(歌ボケ)・新妻(ハイテンションボケ)・玉城(ハイパーツッコミ)

新妻さんが書いたと思われる脚本。ハイテンションボケが篠宮さん完コピで、新妻さんにとってハイテンション=篠宮さんなのね……と目を細めたり。土屋さんのおやじボケに篠宮さんが乗り続ける導入部がすっごく楽しかったー! あれ延々見ていたかった。川元さんも見事に歌い上げていた。玉城さんのあの衣装たぶん篠宮さんのだろうなーと思ったらビンゴだった。

【チームマジで】岡安・黒田・佐々木・長浜

ショートコントのオチの「マジで!?」を言うと謎の歌手(さっさん)が出てきて「それはマジで〜マジで〜」と歌う、と言う考えるな感じろと言わんばかりのネタ。この歌が! 頭の中で回るのよ! 一回マジでって聞いちゃうともう駄目。最後は長浜さんが「ご本人」というたすきをかけて登場するんだけど、まずさっさんものまねだったの!? てか誰の真似!? 最後まで回収せず終了。なにこれー(笑)!

【チーム5人漫才】永沢・久保・風藤・ちゅうえい・平子

めっちゃくちゃ楽しかった! もうあれだけの漫才師がスーツで並んだだけでわくわくしますね。前回は平子さんの代わりに上田さんだったけど……と言われて「平子:最近どう!? ハーブティーの香り、楽しんでる?」。コント師なのに決勝行ってるなどやいやい言われて、のけにされる平子さん(笑)。改めてメンツ見て、決勝・認定・認定・決勝ってすごいな……。どこでだったか、「風藤:相方元気ならいいじゃん!」笑えねー(笑)!
風藤さんが言ってみたい台詞で「手術を怖がる少年のお見舞いに行ってホームランの約束をする」というも、「(少年じゃなくて)松原さん?」とか、少年に声をかけるくだりで「風:パンツ洗った?」とか、あと「肝臓は大事にしないと……」とか松原さん入院ネタが出てくる出てくる。でも風藤さんが入院中の松原さんのパンツ洗ってあげてたってエピソードは浸透してないからあんま受けてなかったよ! 最後、ちゅうえいの「先に行け!」で一斉に捌ける漫才師4人のうしろすがたが、なんか赤塚漫画の一コマに見えた。

【チーム女装】新妻・瀧上・槙尾・篠宮・玉城・下池+酒井・平子

来ました恒例。にんにんの今回の衣装は白いワンピース(「嘘」で赤いのの下に着てたやつだと思う)の上に薄いグリーンのふわっとしたのを着て、レースの巻物していつものトレンカとリボンカチューシャ。もうこのさー! にんにんの女装の、女目線でのアップデートが怖いのよ! あれシャーベットカラーってやつでしょ今年の流行りの! 私はあんなうすぼんやりした色のもの持ってないよ! 服の名称もわからないから「ふわっとしたの」とかしか書けないよ!
私は今回も暁子ちゃんが大好きでした。いいっすねー、あばずれ。「男なんて、ただのでっぱりー!」
新キャラはまさかの酒子。赤いリボンカチューシャとキャミワンピで、なんか、焦げたキティちゃんみたいだった……。言えることはただ一つ、あれ平子っちと共依存だな。絶対殴ってるよな。しかし新妻さん、あまり自然に相方を恋人設定にスライドさせないように……。
前に瀧上さんが元カノコントやったとき思ったんだけど、恋人役が必要になった時に相方を発想する人としない人がいるような気がする。

【トイレタイム】ちゅうえい+川元

安定のちゅうえい一発ギャグに、異次元からきたような川元さんのツッコミ。

【チーム根暗】う大・川元・酒井・松原

ちゅうえいのギャグが悪夢と言うつながり(笑)。サバイバル=長く苦しむという発想がもう黒い。すごいよな……。動物の本能を覆す根暗。海にでも行っていた設定なのか、ジーンズをまくりあげて裸足の松原さん。

【チームダンディ】平子・佐々木・高倉・瀧上+永沢・久保・ちゅうえい

ガンちゃんいないからどうするのかなーと思っていたら、ここでまさかの永子(他2名)の登場!
講師役の平子さんがホストの研修の仕上げとしてあの女の子を笑わせろという無茶ぶり。
「平子:さっさん、俺業務連絡メールになんて書いた」「佐々木:黙って立ってるだけで良いからって……」「平子:そんなコント、いや路上はないんだよ!」
リアルに両膝をつくさっさん。絶望してるー! あと関係ないけど平子さんもさっさんって呼ぶんだと思った。
平子さんも平子さんだけど、「黙って立ってればいい」って言われてほんとになにも用意せず300人の前に立てる3人が恐ろしい。芸人さんてほんとに、神経の構造が常人と違うんだな……と改めて思った。
結局全員大怪我をし、それぞれの相方に感想を求めるんだけど永子が「私も最近毎週やってるから〜。大変なのはわかる。来週アイアム野田!」と告知を挟む。当たり前すぎて書いてないけど、このコーナーの間中永子は恐ろしくキレイです。
3人が平子さんのも見たいですと言うと間髪いれずお題をよこせという平子さん。予想してたな。小島よしおのものまねしながら夫婦あるあるを言うことになるが、あるあるは言わずちょっとごまかした感が強かったぞ! そこは鮮やかに決めてほしかった! 女の子をひきつれて捌ける平子さん。取り残されて呆然とした3人を残したまま暗転していく舞台(笑)。

【チーム全員集合!】高倉・山本・関・ちゅうえい+FKDメンバー全員

きたー! これはもう一度見たいと思ってた! もう山本さんのフリのとこからわくわくしてたら「山本:バイきんぐの勢いがすごい」(笑)。
今回はサンパチの出し捌けが松原さんだった。
最初松原さんが出して、コードを綱渡りするみたいにして帰って、また出てきてひっこめて、次に介助で風藤さんも出てきて、帰りは肩を貸してあげる。誰かが「そんな重病!?」とか叫んでた気が。それを捌けるのに風藤さんが出てきたら誰かが松原さんがやって!と言って、そしたら松原さんは袖から一歩出て風藤さんが持ってくるのにこにこして待ってて受け取ってた。
そのサンパチの前に飛び出してきたのが待ってましたのHi-Hi! 会場大歓声、キャーって言いましたよ。「上田:間に合った! ぜってぇ脱けねぇぞー!」ってもう泣かすなよー! しかも上田さんが「ハーブティの香り、楽しんでる?」ってそこからいたの!? 2回目からはうちわ持ったおっかけ(女装した新妻さんたち)もひきつれて、しっかりエア漫才……してたみたいなんだけど、風松も下手でわっちゃわっちゃしてるからあんま見られなかった(泣)。
その後も松原さんがキャスター付きの椅子に座ってサンパチ持って、風藤さんがそれを押して出し捌け、次が松原さんに風藤さんのジャケットを羽織らせてたんだったかな? 風藤さんが椅子に座って松原さんが押してたときもあった。途中でキャスターにコードが引っかかってそこでHi-Hiが漫才始めちゃったり。
最後はガヤとオチの為に、普段松原さんが後ろに行っても気にしない風藤さんが松原さんを引率して立ち位置まで連れて行ってた。2回。
もうね、病気がネタになったことも嬉しいし、こんなに風松が舞台上でセットでいることもないのでもう他は諦めてずーっと風松だけ見てました。普段松原さんは緞帳と同化してるし風藤さんはそれを気にしないし、あんま近くにすらいないんですよ。こんなセット売りありがとうございます……(涙)!
玉城さんのハイパーツッコミ登場でオチかと思いきや、大オチはまさかのななめ45°! そうきたかー! もう拍手しかできない。途中で山本さんが「今年でいちばん楽しい!」って言ってた。

【チームワガルドスギちゃん】和賀

もはやお疲れさまとしか言えない(笑)。関東屈指のツッコミをこんなぜいたくに使うのもFKDだけだろうよ……。和賀さんが全員に突っ込み入れるコントも見たいんですけどねぇ。みんな和賀さんが好きすぎますよ。

エンディング

オーディションの結果から発表で、まさかの全員「入らない」。清和さんが「ずっとうしろで見てたんですけど、ただただたいへんそう」ってのがもうリアルで。
やまもとさんは「マネージャーに確認しようと思ったら番号変えられてて確認できなかった」。
キャプちゃんは「稽古があるとパチスロが打てなくなる。月200時間は打たないといけないので」。
そしてスパローズK-PROさんブログにも書かれていますが、「群れる行為と、それを見に来る客が大っ嫌いなんです!」「あとお笑いも嫌いです」。
スパローズやっぱすごいな。これ、言ってみれば公演全体に冷や水をぶっかけるような発言ではあるんだけど、それで「おおーっ」って手を叩いちゃうのが自然である「お笑い」というジャンルの懐の深さとか、それに負けないFKDの楽しさとか、いろんな事を感じた。


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清和さんが言っていたけど、いやほんとに、非吉本事務所またぎの公演でこんなに「練習」が見えるのは私が見てる範囲ではFKDだけですよ。コンビ間のネタ打ちとはおそらく全く手間の違うであろうことを、よくあのキャリアの芸人さんたちがこれだけやれるものだなーと。
思えば、FKDの本公演1回目を見たときに「こんなにユニットコントをやると思わなかった」と書いたような気がするんだけど、そもそも何をやるかもわからなかった大型ユニットに、どちらかと言えば「春の新ネタ祭り」のようなイメージの方を抱いていたんだった。あくまで単位はもとのコンビで、それで寄ってなんかしようっていうくらいの。
それが4回目で完全にユニットとしての価値を感じ、今回はそれを減じることなくますます役割もはっきりとさせてきた。
最初はなにをやるつもりだったのかはわからないし、参加している芸人さんにもどれほどの覚悟があったかもわからないけれど、たぶん清和さんだけじゃなく普通に退くぐらい大変なことをしていると思う。でも、FKDのメンバーはそれをもう当たり前にやる。根拠はメンバーだから。
Hi-Hiが出てきたとき、大歓声・大歓喜だったけど、それは人気者が出てきたから嬉しいんじゃなくて、他ならぬFKDメンバーのHi-Hiが来てくれたから嬉しかったんだよ。


アイドルを見ていたときに、「なぜ個人でなくグループなのか」と言う疑問に「関係性と多幸感」と言う答えを出した。それはそのまま、「なぜほかならぬそのグループでなければならぬのか」と言う問いへの答えでもある。
複数の人間が集まって本気で作り上げたものには、成果物を超えて、そのグループそのものが放つ炸裂するような多幸感がある。それを体感すると、もう離れられない。これは彼らにしかできない、彼らでないといけないと思う。
炸裂してたなー。多幸感。最後のななめ45°で天井を突き破るかと思うほどに。


とはいえ、新メンバーが入ってもそれはそれで楽しそうだなと思うあたりが、アイドルグループとは違うところではある。今のFKDなら新メンバーをうまく容れて、また楽しいコントを作れると思う。今のメンバーが抜けるのは嫌だけど、増える分には大丈夫なような気がする。そのくらい、FKDのチーム感故の余裕みたいなものも感じた。
マシンガンズが全然来なくて、仕方ないのだけどこれでもしFKDでアメトーーク出ることになって(願望です)その時だけきたら変な感じになるんじゃないの……とか勝手に心配してたんだけど(まず出る予定がないけど)、そういう「いるけど来ない」なんて変な部分があるのもおもしろいじゃんと思えるようになった。


それぞれが形の違う武器を持ち寄って、まったく見たことのない爆発物を作ってしまうような。考えてみたらブッキングの化学反応はK-PROさんの得意技だった。
まるで錬金術のようなそれにこちらが寄与できることはないのか、観客なんて無力なものだとわかりつつも、こんなにいいものを見せてもらうと考えてしまうよ。