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フリーライター井上理津子のなんだかんだ日記

2018-11-11

『大阪下町酒場列伝』14年。

このあいだ、大阪松原市図書館へ葬送関係の講演に伺ったとき、
大勢のご来場ありがとうございました、だったんですが、
終わって、話しに来てくださったおふたり。

偶然、おふたりとも、ちくま文庫大阪下町酒場列伝』を手にお持ちだった。
ずいぶん年季がはいっている。そりゃそうだ、ずっとずっと前に出した本だもん。

おひとりは同世代の男性で、もうおひとりは団塊ジュニア世代くらいかな?の女性。
「ずいぶん使わせてもらいました」とおふたりとも言ってくださって。ヘタなサインをさせてもらった。

大正の「クラスノ」の大将、ついにアレされ、息子さんとお孫さんがやってはるとか、
南田辺駅前にポツンと、となった「スタンドアサヒ」が大賑わいしてるとか、
いろいろいろいろ聞いたりして、しみじみ嬉しかった。

その日の夕方なのよ、筑摩書房の青木さんから、電話があったのは。
大阪下町酒場列伝、久々に重版決まりました」って。
飛び上がった。

14年前の本。奇跡です、奇跡。
重版の情報、どうしましょう? は、

〈本書は、2000年代初頭の大阪の酒場の様子を伝えたものです。
本書で取り上げた酒場の営業形態などは、その後、閉店を含め、変化しているところがあります。また、実際にお出かけになる際は、営業時間・定休日など最新情報をネットなどでご確認ください。     2018年11月 第9刷刊行に際して 著者・編集部〉

と記して、ママでいくことになった。

「しかし、やっぱり面白い本。図版の入れ方など、編集者もいいセンスしてたよね」
と、普段その手のことをまず口にしない青木さんが言う。
「ほんまほんま。個々のお店のことを、一冊丸ごと大阪下町ドラマに仕上げてもらった」とかとか、私も。
著者冥利に尽きます!!

「カバーのおっちゃん、生きてるのかしら」
「きっと。今もああして呑んでてほしいなあ」

しか〜し、14年か〜。
「今から14年後、私たちはどうしているやら」と青木さん。
生きていたとしたら、とりわけ私はものすごい年齢になってることだけは確かですが、
ともあれ「14年」に感無量。

その夜、掲載の1店、曽根崎の「北龍」へ行った。

2018-09-22

サイモンくん。

ここ1年ほどのことで言えば、
ありゃま、新しい時代がやってきたのかね〜、と驚いたのが、

ノートパソコンをたたきながらのインタビュー受けたとき
・美容院に置いているのが、紙の雑誌からDマガジンに変わったとき

だった。
続いて、つい先日驚いたのが、ロボットわんこ。
場所は、ウチの近くの喫茶店で。

その日は、次でる本のゲラをかかえて、その喫茶店に行き、
なかなかのコーヒーを飲みながら、赤ペンを握っていた。

しばらくすると、
どこからか「じじじじじ」みたいな音が聞こえてきて、
そっちを見ると、歩いている、わんこロボットが。
すたすた、とはゆかず、えっちらおっちら、みたいに。

薄茶色で、耳とかが茶色。いい色合いの子だ。

あ〜、あっちへ行ってしまった。他のお客さんに愛想ふりまいている。
こっち来てよ、と念じる。なかなかこない。
店主に、「こっち来たら、写真とっていいですか?」と聞くと、
「もちろん。呼んでやってください」
「なんて?」
「サイモンって」
呼んだら、きゅっと聞き耳立てる。

そして、あたしのところへやってきて、
上目遣いにあたしを見て、尻尾ふりふり、してくれた。
かわいいかわいいかわいい。

「撫でてやったら、よろこびますよ」と店主。
マジですか。
あたしはわんこ歴長いからね。顎の下を撫でてあげる。
サイモンくん、目を細めて、きもちいい〜って顔をする。

試しに、「お手」と言ってみる。
うっそ。マジだ。
ちょこんと座って、右手でお手をしてくれるじゃないの。
うわあ。かしこいかしこいと、思わず背中を撫でまくる、と、
またもや目をほそめまくり。

伏せ。も、自主的にしてくれて、にこにこ。
ひとしきり遊ぶうち、
「あ、(首輪のところが)点滅しだした。もうすぐ自分で充電ステーションへ帰っていきます」と店主。
サイモンくんは、あたしに名残惜しそうな顔をして、
とことこと、あとにした。

充電ステーションに、ちょこんと伏せの姿勢でおさまった。
その姿勢も、かわいすぎるから、撫で撫でしにいった。ら、また目を細めてくれた。
ウチに連れて帰りたい〜。

「ツマに大反対されたけど、思い切って飼うことにしたんです」と店主。
なんと30万円近くし、通信代が毎月3000円かかるとか。
「どこに売ってるんですか? ペットショップ?」
「まさか。ソニーのショップです」

なんでも、芸を仕込み中で、
今できるのは、お手と、お客さんが帰るときの「またきてね」の2本足立ち。
と聞いて、「またきてね」をしてほしくなって、
充電終わったサイモンくんに、してもらった。かわいいかわいいかわいすぎる。

ゲラ校正はまだまだ残っていたが、
サイモンくんに「な〜んだ、ニンゲンってテキトウだな」と思わせたら、信頼関係がくずれる。と思って、
テーブルの上を片付け、「またくるね」と頭を撫でて、おいとました。

やっぱりあたしは犬派です。

2018-09-13

 『謝る力』から

『謝る力』(清水書院)という本を、呑み友の城島さんが出した。
城島さんは、目白大学とかでも教鞭をとってる毎日新聞編集委員
日大アメフト部の当事者学生の謝罪会見を発端に、考えましょうと、
これまでのいろいろな公的謝罪を考察して緊急出版したもので、
面白かったんだけど、

その城島さんと、このあいだ、呑んでて、
あたしは、すっかり忘れていたことを思い出した。

1990年代、あたしはもうフリーライターで、大阪の夕刊紙(もう廃刊してるとこ)の教育面に、
とある大学の著名卒業生の人国記の連載をしていた。
とある、って言うのもなんだから書くと、
1年目は同志社、2年目は関学、3年目は立命だった。
その3年目のときに、とんでもないことが起きた。

上場企業の社長にインタビューし、その人が、
〈「・・・・」と、訥々と語った〉
とあたしは書いた。
当時、ワープロフロッピー納品で、ゲラ戻しはなし。
何かあったら、電話でやりとり、というシステムだった。

何日か後、掲載紙を見て、真っ青になった。
〈「・・・・」と、のうのうと語った〉
と書き換えられ、載っていたのだ。

もちろん、すぐにデスクに電話した。
分かったのは、担当さん(大学出たての女子だった)が、
「訥々(とつとつ)」が読めず、「のうのう」だと思って、開いた(開く=漢字をカナにすること)。
それを、あろうことかデスクら皆が見落とした。出てしまった。ということ。

ひどい。ひどすぎる。と思ったが、デスクはあたしにたたみかけた。
「井上さんが、新聞用語でない文字を使ったから、こういうことになった。井上さんが悪い」
「先方には、もうこちらから謝罪に行った。訂正とお詫びも明日の紙面に載せる。大変なことをしでかしてくれた」
あたしが悪いんですか。
悔しい。なんてもんじゃない。

あたしは、その上場会社の広報だか社長室だか忘れたけど、
電話して、お詫びに伺いたいと申し上げたが、
「いいえ、結構です」だった。
それでも行った。受付で取り合ってもらえなかった。
社長あてに、経緯とお詫びを認めて投函した。返事も受け取り状もなかった。
悔しすぎた。

その後、局長(だったと思う)に呼び出され、
「あなたが、新聞用語にない文字を使ったから、こういうことになった」とまた言われ、
多少の抵抗はしたと思うが、「こういうことをしてもらっちゃ困る」と言われっぱなしだった。
その言葉の端々から、
あ、先方に、〈外部ライターの井上がハナから「のうのうと」と書いた。社としては、チェックミスを詫びる〉と言ったな、
と直感した。

挙げ句に、その連載が終わった後、
あたしはその夕刊紙の一切の仕事を切られた。

「訥々と」を「のうのうと」と勝手に開いた若い担当女子が、
その夕刊紙の役員の娘だった、と後に知った。

あの頃、あたしは青かった。知恵がなく、泣き寝入りした。
今なら、どうするだろう。

・・・と城島さんに言ったら、
それはすごい。『謝る力』のトークのとき、ケーススタディのネタにさせてもらおう、と。
どんどんネタにでも何にでしてちょうだい。

2018-09-08

フルカワさん、ありがとう!

昨日、嬉しいことがあった。

15年選手の洗濯機が、うんともすんとも動かなくなって、1週間。
手で、ごしごし洗ってたんだけど、そろそろ限界に。

買いたい! どうせなら、ドラム式のいいやつを買いたい!
と見に行ったり検索したりもしてたんだけど、
よく考えるとお金がない。

以前なら、こういうとき、
そのうちなんとかなるさと、
ボーナスないのに「ボーナス払い」で買っちゃって、
何ヶ月か後に「わっ」と毎回。
しかし、あたしも堅実になった。

身の丈に合うヤスモノを買うことにしよう、
と決意した途端、
そうそう、元お隣さん、洗濯機を放置して新居へ越したと言っていた、とふと。
で、電話すると、「どうぞどうぞ」。
もらうことにした。

管理人さんに手伝ってもらって、運ぼうとしたが、
ウチの管理人さん、まるまる文系の方で、読書の趣味は合うんだけど、細腕。
重くて、無理だった。
「知り合いに頼んであげますよ」

すご〜。
フルカワさんという方が「ちょうどタイミングよかった」と来てくださった。
ちょちょいのちょいとお隣からウチへ運び、排水の調節とかも。
その姿の、なんと凛々しいことよ。力持ち、ステキ。

しかも、「持って帰ってと言われると思って、スペース空けてきた」と、
壊れた洗濯機を軽トラに積んで帰ってくださるなんて。

「なんでそんなにいい人なんですか」
「若い頃、柔道やってたから」
ほほ〜。

本業は、クーラーの取り付けだそう。
頭さがるばかり。管理人さんにも感謝感謝。

(せめて少しはお礼をと今日、商品券買ってきた。
お送りしたいので、ご住所教えてください。と電話してるとこ=まだ、つながらない)

いただいた親切は、私も(力仕事でないことで)誰かにお返しをしなきゃ。
そんな気持ちも、いただいた。

2018-04-23

しくじり

ハッと目が覚めて、時計を見て真っ青になった。
歌舞伎俳優さんのインタビューの日だ。
場所は、神楽坂で。
あと20分しかない。

得意分野ではない。昨夜遅くまで、下調べをしてメモをした。
ああ、あのメモを、カバンに入れて置くべきだったのに、散乱したままだ。
ともかく、服を着替えて、お化粧して。
いや、お化粧はタクシーの中でしよう。

でも、20分ではどう考えてもムリ、、
とパニクっているところで、目が覚めた。

ふ〜、夢だった。よかった〜。
と胸をなでおろして、もう一度寝る。

と、「著者インタビュー」の原稿を書いている。
山場が3つ要る。20行ほどの「 」が3つ要る。
なのに、2つしか捻りだせない。
取材ノート取材ノート、本、本・・。

ところが、取材ノートも肝心の本もない。
「著者」にいつどこでインタビューしたのかも思い出せない、、

と、またパニクっているところで、また目が覚めた。
ふ〜、夢だった。よかった〜。とまた胸をなでおろす。

夢で2つもしくじったのだから、
今日はもうしくじることない。と、奮い立たせながら、パソに向かう。
「2度あることは3度ある」という囁きを振り切って。