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食品研究者の夜食日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-05-29

「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」

| 「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」を含むブックマーク 「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」のブックマークコメント

 日々、人に伝えるのが難しいなぁと思っていることがあります。

 今日講義で、焼き肉や焼き魚のコゲに含まれる発がん物質の話をしました。どんな化合物の物質が生成していて、どんな生理的作用があってという話がメインですが、補足として、人はどのぐらい食品からその発がん物質を摂取していて、実験動物で発がんするにはどのぐらいの量が必要かを具体的な数字で説明しました。

 実際、焼き肉のコゲを今の100倍ぐらい毎日食べても、発がんするかしないかのレベルですよと伝えたつもりですが、講義後に毎回書いてもらっている質問・コメント票には、「発がん物質→怖い」という脊髄反射的コメントがいくつかありました。

 毒性と量の関係の説明は、伝わらない人には本当に伝わりません。有害物質がほんのちょっとでも入っているとを聞くと、量のことは全く考えず拒絶する人が少なからずいます。とにかくリクスを避けたいという心境は分からないことはないのですが…。

 そこで、講義の中で「皆さんが普段食べているトマトには必ず毒が入っています」という話をあえてしました。

 どんなトマトにも、アルカロイドと呼ばれる毒性を示す物質が入っていて、問題なのは、その量なのだと。通常私達が食べているトマトに含まれるアルカロイドは、ごく微量で健康を害する量は入っておらず、何の影響も及ぼさない微量のアルカロイドを避けるために、美味しいトマトを食べるのを止めてしまうのは、トマトからの栄養摂取の機会を逃がすことになる。つまり、食品の持つリスクとベネフィットを天秤にかけて、ベネフィットが大きければ食べる価値があり、リスクが大きければ食べるのは避けた方がいい。

 そんな話をしました。「トマトに毒が入っていたなんて、衝撃的」というコメントがありました。

 社会的にも「量」の概念のなさが問題になることが多いと感じます。基準値を下回り、健康上何の問題もない量の有害物質が検出された食品をマスコミが大騒ぎし、全部回収して廃棄するようなニュースを見ると、いったいこの国は大丈夫なのだろうか?と心配になります。

luckdragon2009luckdragon2009 2010/11/22 13:46 最近、フードファディズムの記事を書きましたが、ゼロリスク心理は、食品ではちょっと過剰なほどです。マスコミが主なので、どこかに、マスコミに突破口を開けてみるしかないかもしれません。
国民全体に、参考書籍を読んでもらう訳にも行きますせんしねえ...。

toku_basstoku_bass 2010/11/22 21:41 レントゲンも同じ理由で拒否してる人いるかもしれませんね

satosato 2010/11/22 23:53 私はその講義を聴いていないので判断できませんが、本来伝えたいことが理解されていないというのは伝え方に問題があるのではないかとも感じてしまいました。
(いくら丁寧に説明したとしても理解できない輩が蔓延しているのは理解している上での感想です。)
なぜなら、このブログタイトルにもあるように、まずは相手の注意を引くことを目的としているのかもしれませんが、とりあえず印象的な言葉をつかってみる、という手法が多用されているという風潮が現代ではあると感じています。
例として挙げられているトマトにしても、講義の前後が分からない状態でブログの記載のみ見ると、訳も無くアルカロイドの危険性をネタとして、自分の発言に興味を引かせた、と思われたとしてもそれを否定できる善意を読み取ることができないのです。
これは最後に書かれているマスコミの扇動手法となんら変わらない表現であり、この記事のみ読んだ一見さんには、いったいこの教員とは大丈夫なのだろうか、と感じてしまいました。
言葉の印象はどうしても強いので、極小濃度で健康被害がまずありえないことを無垢な学生に伝えるのであれば、この記事にある「毒」「有倍物質」を他の言葉に置き換えるだけで大幅に印象を代えることはできるでしょうし、そんなことは当然ご承知されていることでしょう。
ぜひ誤解を解消していただけたらと思います。

rr 2010/11/23 00:53 どんなものでも、大量に摂取すれば死んでしまいますからね。水でさえも。
あと色んな物を食べる事って、脳に良い刺激を与えるような気がします。

日日不穏日記日日不穏日記 2010/11/23 09:52 動物実験は、極端に言えば、死ぬまでの量を与え続けるわけでしょう。そんな極端な摂取を人間がするわけではないし、安全性を確認するためにやっているわけで、どんな食物であれ、添加物であれ、ゼロリスクはありえないですね。それに対する過剰反応。

食品の安全は、まず第一に異物混入と食中毒。残留農薬や添加物のリスクはかなり低く考えて良いでしょう。気にする人は、無添加を選択すれば良いわけで、それだけの話だと思います。

やみくもな回収と廃棄は資源の無駄。食品廃棄は、コストの上昇に加え、自給率を引き下げる少なからぬ要因になってるわけですが、そういう人に限って、自給率向上、より安い食品をなどと相矛盾する要求をしているように見えます。

dolphin-bluedolphin-blue 2010/11/23 14:18 逆に「どんなにいい薬(や食べ物)でも過剰摂取すれば毒になる」という話もよくききますよね。コーヒーのカフェイン、ビタミン剤などなど…そういった事もあわせたらどうかな?と思います。

gurafugurafu 2010/11/23 21:48 はじめまして。
講義では具体的な数字を出して説明されているとは思いますが、
「微量」「影響はないくらい」といったあいまいな表現から
誤解は始まるのではないかと思います。
マスコミも、こういった「どうとでもとれる発言」を拾い、
騒ぎ始めるよう私は思います。
教員をされている方のようでしたので、
ここが起点にならぬよう、初めてで失礼とは思いますが、
書かせていただきました。

yashokuyashoku 2010/11/24 19:52 >コメントを書いていただいた皆様

まとめてお返事するご無礼、何卒ご容赦願います。
数々の大変貴重なコメント、誠にありがとうございます!!
だいぶ前のブログとはいえ、私の言葉足らずのところがあったなーと反省しております。

学生には「多面的に物事を考えなさい」と常日頃から言っておりますので、私も上の自分のブログにちょっと批判的な記事を書いてみたいと思います。↓

理性や理屈だけでご飯が食べられるか? - 食品研究者の夜食日記
http://d.hatena.ne.jp/yashoku/20101124/p1