スローな香り_ J I C K Y に 恋 を し て

たべものには、スロー フード/ファースト フードという言い方がありますが、
香りの世界にもスロー パルファム/ファースト パルファムという言葉があってもよいのでは と思います。
素人なので思い違いをしているかもしれませんが、こんなかんじ。


  ・ファースト パルファムには 軽いものが多く、親しみやすい香り。
   シンプルで解りやすい香り。
   年代で区別すれば、主に第二次大戦後の香り。

  ・スロー パルファムは、特にクラシックなもの。
   たとえば、第二次大戦以前の香り。
   TABUとか、ミツコとか、夜間飛行とか。
   なんか濃厚で、おばあちゃまがつけていた というような。


わたしには クラシカルでスローな香りは頭が痛くなるほど苦手で、ファーストなものが好みに合っていたはずなのに、最近はスローな香りも好きになっていることに気がつきます。
好みの変化に わたし自身 驚いています。


だんだん 老いてきているから?
スローな香りが似合う人やシーンが、少なくなっている?
日本のように湿気がある気候ではなく、欧州のカラっとした風土で、ほんの少しスローなパルファムをつけて、レザーの服を羽織れば、レザーの匂いと調和して、さらにステキな香りになるのでは?
いろいろなことが、心の中を巡ります。
それから、ひやかし半分な気持ちでお店に入り、古い香水をテスティングさせてもらうと、こんな風に心が動くことがあるんです。


 んっ、 これ、わたしダメなのに、今日はすごくいい香りに思える。
     ____ !?。


 あ〜、こういう香り、まだまだ わたしには着こなせないんだ。
      ____ ということに気づいて、、、、
         その香りに対して だんだんと謙虚な気持ちになる。


 でもいつか、こういう香りが似合うようになりたいな。
    ____ 香りを通じて 心に秘めた人生の目標ができてしまう。


こうして気に入るようになったスローな香りに 出会えば出会うほど、出会った数だけその香りに似合うステキな人生があるように、思えてきます。
そんな香りは
「人生は、あなたが考えているよりも もっと広くて深いんだよ」
と語りかけてくるようです。
そして 今までのわたしは、スローな香りに嫌悪を感じてしまうほど、ファーストな香り/文化に洗脳^^!? されていたことに気づき、ちょっとびっくりするんですよね。


こういう香りを、創る人が居て。
こういう香りが、似合う人が居て。
そういう二人が、その香りに似合うシーンを醸しだす。
わたしも そんな人たちの一人になりたいものだと思います。



   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



銀座界隈にたくさんあるゲランのお店でも、帝国ホテルでしか扱っていない「JICKY」。
このあいだ、試させてもらいました。
何て すてきな香りなんでしょう!
お店の人は、オー ド パルファムもあると言ってましたが、これは絶対オリジナルのパルファム(香水)がいいと思う。


ムエットに吹いた「JICKY」の香りは、目をとじて注意深く嗅いでいると、長い時間をかけて 次から次へと変わっていくのが判ります。


最初のひと吹きの、ハッとさせられるような さわやかな香りは、
次第に甘くフルーティになってゆき、、、、
それから そのうちに、ずうっと息をひそめて脇役を担っていたスパイシーな香りが、じわぁ〜っと 前面に現れてきます。


その香り立ちと変化の妙は、今どきのコストパフォーマンス最優先な香りの、トップ→ミドル→ラストノートでは、まったく表すことができないもの ではないでしょうか。
19世紀にデビューした古い香りだけど、作った人の 深い、深い、思い入れが伝わってくるようです。


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