投函されない手紙

本日の中日新聞コラム「中日春秋」

投函されない手紙


ファインマンさんは28歳の時、一通の恋文を書いた

宛先は、妻アーリーンさん

しかし、その時すでに、彼女はこの世にはいなかった

長患いの末に妻が25歳で逝って1年余もたってから、彼は筆を執ったのだ

<…亡くなったきみを愛するとはどういうことか、頭ではよくわからずにいる。それでも、今でもきみを慰め、面倒を見たい。きみに慰められ、面倒を見てもらいたい。いろいろな問題についてきみと話し合いたい…>

妻が逝った時に、彼は泣けなかったそうだ

涙が本当にこぼれたのは、数カ月もたってから

百貨店の店先でドレスを見て、ふと「ああアーリーンの好きそうな服だな」と思った瞬間だったという

ファインマンさんが妻に宛てた恋文は、こう結ばれていたという

<追伸 すまないが投函はしないよ。きみの今の住所を知らないんだ>

http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2015031102000112.html

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