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2011年07月03日

☆村上春樹、過渡期の短編集☆☆

神の子どもたちはみな踊る
村上 春樹
新潮社(2000/02)
¥1,365

※おことわり
文学作品の感想を書くことはあまりに個人的なので、ここに載せるのはどうか、と考えました。誰かの役に立つとも思えません。
ただ、まとめて村上作品を一気に読んだのは面白い経験だったし、それがこのあと何か自分に変化をもたらすかもしれないな、と思ったのでメモ程度に簡単に感想をまとめることにしました。
興味のある方はどうぞ。当然ですが、「私のアクション」やメモはありませんのでご了承ください。



先にインタビュー集『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』で、この短編集の目指すところや、村上さんが自らに課したものやテーマが何だったのか知っていて読んだので、ある意味カンニングかもしれない。

村上さんにとって、初めての完全な3人称の小説。そして、様々な年代の登場人物が出てくる。阪神大震災のあとに書かれたこの短編集では、直接地震については触れていない。すべての作品を通して阪神大震災が基底音のように流れていて、その扱いに作家としての力量を見た気がする。


いろんなタイプのいろんな小説があるので、たぶんどれかは気に入るよね、という本だろう。
村上さんは今でこそ大長編作家だが、昔は短編集も多かった。その頃から話のテイストがバラバラで、ものすごく好きな作品と、たぶん読み返さないな、という作品が共存していた。それを、この本を読んで思い出した。
でも、「大長編小説」にはこのテイストが全部入っている。やはり村上春樹恐るべし、だと思う。

私が気に入ったのは最後におさめられた「蜂蜜パイ」という作品。何というか、一番“村上さんらしい”ストーリーだからだ。安心して本を閉じられた。
「蜂蜜パイ」があったので☆3つ。なかったら2つだった。

「蜂蜜パイ」にはこのあとに出ている『東京奇譚集』の中に後日談ならぬ前日譚があるそうなので*1、読むのが楽しみ。
関連記事
読書日記:『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』

*1:「日々移動する腎臓のかたちをした石」