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2011年07月05日

作者本人が関わる“村上春樹本”?☆☆☆

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)
河合 隼雄 村上 春樹
新潮社 (1998/12)
¥460

※私が読んだのは『村上春樹全作品 1990〜2000 第7巻 約束された場所で 村上春樹、河合隼雄に会いにいく』です。

タイトルそのまま、村上春樹さんと心理学者(心理療法家)の河合隼雄さんの対談集。内容は幅広く、日本という国と個人の関係性や、時代の移りかわりによる意識の変化といった大きなものから、結婚生活についてまでさまざまだ。もちろん、村上さんの作品に関する話もたっぷりある。



村上さんがご自身で書かれているように、話しているだけで癒されるような感覚があったんだろうな、というのが読みながら伝わってきた。残念ながら河合先生はもう亡くなられてしまったが、もしかしたら村上春樹という作家の作品を日本一理解していた人かもしれない、と思った。

ふたりに共通するキーワードは“物語”。河合先生はご自身の著書でも物語の大切さを説かれていたが、それを体現したのが村上さんの小説だったのだろう。
河合先生の言葉を追ううちにより深く村上さんの作品が理解できるような、不思議な充実感があった。村上さんの作品は(一般に)難解とされているため解説本がたくさん出ているが、実はこの対談集が著者公認の村上春樹本のようなもの、と言えるかもしれない。


個人的には気づきがいろいろとあった。文中、河合先生が“生き方には普遍性があるが、どう生きるかは個性の部分であり、その人らしく生きるしかない”と話されるところがあり、ご自身はこういう仕事をするしかなかったのだと思う、と言われていた。その言葉が妙に印象に残ったのだ。

私は心理学に興味があり、大学の時に心理学科に転籍しようかと真剣に考えたことがあった。その時は相談した人に
「文学部と言っても理系に近いよ。データ取って集計して、毎日パソコンとにらめっこしてるだけだから」
と言われて断念した。その後も何度かいろいろと調べてトライしようとしたのだが、なぜかそっちへの道は開けなかった。
今まですっかり忘れていたが、この本を読んで思い出したのだ。

現在私は何ら心理学系の国家資格は持っていないが、セラピスト的な仕事をしている。日本の第一人者である河合先生と比べるなど恐れ多いが、仕事のことに関して、先生の言葉がすごくよく理解できた。大きなくくりで言えば、同じようなことをやっているんだ、と実感できたのだ。そしてそれは、全然違うルートをたどってきたものの、自分も「セラピストになるしかない」人間だったのだ、と初めて理解できた気がする。
とても大切な1冊になった。

人によって、きっと響く部分は違うのだと思う。会いに行った村上さんだけでなく、読んだ人も癒される不思議な本だ。
ピンと来た方はぜひ読んでみてください。