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2012年02月11日

パイオニアが語る電子書籍の「効用と限界」☆☆☆


日垣隆さんの、去年4月に出た本。東日本大震災で製紙工場が大打撃を受け、この本が出版されたのは奇跡に近い、と前書きにある。

著者は“電子書籍元年”と言われた2010年のはるか昔から、絶版になった本やいろいろなものを自身のサイトで販売している。手がけたのも、おそらく日本で最初だろう。
それでも「紙の本が好き」と言うんだから、いったい何が書いてあるんだろう、と思い読んでみた。

著者にとっての電子書籍元年は1986年、米紙「ワシントンポスト」がサイトを開設していて、それに日本から苦労の末アクセスできた時のことだという。世界中の情報にアクセスでき、世界中に発信できる。それがわかった日から、ずっと「電子書籍で課金する」形を考えて活動してきたそうだ。だからいろんなことへの着手が速く、あらゆることで“第一人者”となったのだ。


25年間、先頭で変化を見続けてきた人のことばは説得力がある。
さまざまなデバイスを試し、読みやすい=眼が疲れないのはキンドルだが、販売するのはPDFが一番廉価で買う側にも使いやすいといった具体例。
電子書籍は検索には便利だが、これで考える読書をする人はいないので、紙の本はなくならない、という話。
電子書籍と紙の本を両方売るにはどうすればいいのか、という見解や電子書籍販売のための著作権問題など、なるほどと思うことが多かった。
これ1冊読めばだいたいのことはつかめると思う。一般読者だけでなく、業界に関わる人も読んでおくと理解が深まってよさそうだ。そのくらいわかりやすい。


ただし苦言を呈すると、この本は前篇・中篇・後篇の3つに分かれていて、書き下ろしは前篇だけなのだ。つまり、直接電子書籍に関わる内容も前篇だけ。中篇と後篇は週刊現代の連載記事を編み直したものだそうだが、箱根駅伝の話やら旅館のサービスの問題やら、話があちこちに飛ぶ。新聞の未来など時々関係のある話題も出てくるものの、もとが週刊誌の記事だからじっくり腰を据えて読む内容とはちょっと違う気がする*1。それがとても残念。このため☆は3つになった。

電子書籍に関して知りたい人は、前篇だけを読めばいい。それだけでも価値があります。

*1:もともと著者の書く文章が好きな人は、それなりに楽しく読めます