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2012年02月16日

マネが印象派に残した影響とは☆☆☆☆

印象派の誕生―マネとモネ (中公新書)
吉川 節子
中央公論新社(2010/04)
¥819

昨年11月の「ワシントンナショナルギャラリー展」の作品について調べていた時、たまたまあるブログで紹介されていたのを知り、借りてみた。
なかなか読みごたえのある本だった。

この本で面白かったのは次の3点。
1.バジールの足跡と作品について、かなりのページが割かれていたこと
28歳の若さで普仏戦争で戦死したバジールについて、こんなに書かれていた本は初めて読んだ。作品の詳しい解説や、手紙などから多くの情報が得られバジールの人物像に迫っている。
特にすごいのは、最後の場所となったアトリエを借りたのは、親交を深めたかったファンタンのアトリエの近くだったから、という結論を導き出す手腕だ。まるでミステリーのようだ。著者の専門は美術史だが、こんなことまでやるのか、と驚いた。

2.マネの画家としての評価が詳細に記されていること
今見ても特に衝撃を受けない「オランピア」がなぜ当時スキャンダラスとされたのか、をはじめ、時代背景やマネの狙いをとてもくわしく説いてある。
今まで、マネの絵は特に熱心に見る方でもなかったが、この本を読んで見方が変わりそうだ。そのくらい濃い内容だった。

3.「印象派」ということばのルーツはマネだった
一般的に、「印象派」という名前はモネの《印象、日の出》という作品に由来し、酷評された第1回展覧会のことを皮肉った評論このことばに由来するといわれている。
しかし、著者は当時の新聞評などを丁寧に拾い、その説を否定している。
さらに、モネがあの作品に“印象”ということばをつけたのは、マネの影響によるものだとする。しかも、マネの目指す印象と、モネの求める印象は違っていたとも。


美術史でこんなことまで追求できるのか、とびっくりしてしまうような本だった。
難点を言えば、新書だから限界があるのだろうが、載っている絵が口絵以外白黒で、しかも絵の記述と掲載ページがずれていることが多く、見ながら読むのが大変だったこと。
あとは、印象派ファンからすればマネの話が多いな、ということだろうか。著者はもともと長年マネ研究をされていてたそうなので、これは当然のことなのかもしれない。

知れば知るほど奥の深い印象派。ただ見るだけでは物足りない人や、謎解きが好きな人には面白い1冊だと思う。
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ワシントン・ナショナル・ギャラリー展@京都市美術館