任務中の救急車が爆弾を持つ犯人にジャックされ、次々と都内の病院を時間内に巡らされる。身代金の要求はダミーで犯人グループはかって緊急医療が受けられず、肉親を亡くした人たち。救急体制の改善を世に問うべく犯行に及んだ。しかし機関員と救急士の必死の努力にふれるうち、心を動かされ自然と矛を収める。感動は読者も同じ、特に女性救急士の排泄音を消すために消防歌を叫ぶシーンは印象的。背景に現在のシステムの問題点と最前線で働く現場の状況を切々と訴える。女性作者と思えない丹念な取材。男女ともキリリとした登場人物は好印象。年初から秀作にあたった。文句なしのA評価。
- 作者: 日明恩
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/09/13
- メディア: 文庫
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