○人間すげぇ!ー サイモン・シンフェルマーの最終定理」感想
新潮文庫/青木薫ISBN:9784102159712


読んじゃった!面白すぎで読む終えてしまうのが惜しくなり他の本など読んで読み遅らせてきたが、ついに読了。
17世紀のフランスの裁判所役人フェルマーは趣味が数学。役人としては寛大で有能な彼も、数学となると意地の悪さを発揮した。
マチュア数学の大家、フェルマーの密かな愉しみ。それは数学友だち宛に手紙を書くことだった。「僕はこの問題解けたんだけど、君どお?」という内容の。。。
フェルマーが本当に意地悪だったかというと、そうとも言えない。当時数学は学問の対象とされず純粋に愛好家のものだった。ようするに連中のヒラメキや発明に価値はなく、審査評価する義務なんて誰にもなかった。つまり、客観的吟味そっちのけ状態の当時の数学は、独力であーだこーだ考えをめぐらし問題を解くことが好きなフェルマーにとって格好の気晴らしだったかもしれない。
本書は、フェルマーが蔵書に残した走り書きを挑戦状とみた数学猛者たちの悪戦苦闘のハナシ。有り体にいえば数学バカ列。時代的制約やら、境遇やら、気の迷いやら、数学魂のリレーは世俗との闘争の歴史でもあった。そうやって彼らが累々と築き上げた数学宇宙に半笑いに敬意を感じつつ、人間ってすげぇなと改めて思った。マジで。
サイモン・シン、こんどは「宇宙創世」あたり読んでみよう。


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)サイモン シン Simon Singh

新潮社 2006-05
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