【第5期】2017年5月31日のゼミ日誌

今回の日誌当番は、矢原さんです。

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今回は第9章の残りを村上さんと矢原のレジュメに沿って進めていきました。

ベネット夫人が風邪を引いたジェインの心配よりも、ジェインとエリザベスがネザーフィールド屋敷に残り、ビングリーともっと親しくしてほしいと思っているところから、結婚を重視する恋愛感覚がよくわかります。現代とは少し違う感覚のようでした。

ネザーフィールド屋敷を訪れたベネット夫人は、ビングリーやダーシーと会話している中でダーシーに田舎を馬鹿にされたように感じ腹を立てます。元々、ダーシーに良い印象を持っていなかったベネット夫人は
・"Aye-that is because you have the right disposition. But the gentleman," looking at Darcy, "seemed to think the country was nothing at all."
・those persons who fancy themselves very important and never open their mouths, quite mistake the matter."
と、ダーシーへ皮肉まじりに言います。
特に2つ目の文章からはダーシー氏に対する嫌悪感が強く感じられます。

そして、ベネット夫人が帰ろうとビングリーにお詫びと感謝のお礼をすると、それを待っていたかのように、リディアがビングリーにネザーフィールド屋敷で舞踏会を開くという約束はどうなったのかと尋ねます。
末っ子として母に1番可愛がられながら育てられ、小さな頃から人前に出されてきたリディアは、自信過剰なうぬぼれ屋です。
・"I shall insist on their giving one also. I shall tell Colonel Forester it will be quit a shame if he does not."
というように、自分は大人だというような発言をしています。

今回の授業内容では、ベネット夫人のダーシーに対する明らかな嫌悪感が現れていました。また、ダーシーに大人気ない対応をするベネット夫人を見て恥ずかしく思うエリザベスからは、お母さんよりも大人なところを感じました。また、8章の最後でされるエリザベスとダーシーの「唄は恋の糧」についての会話から2人の頭の良さが伝わります。それに反して、末っ子のリディアはある意味空気を読まずに、大人顔負けの話し方です。それぞれの個性がよくわかった8章と9章でした。
これで予定していた9章までの授業が終わりました。次、「高慢と偏見」に関しては先生が見ておいた方が良い箇所を紹介してくれるので、とても楽しみです。

===ここまで===

ベネット夫人の大人げなさが特に目立つ回でしたね。エリザベスのあきれた様子も伝わってきました。その後リディアが「やらかしてしまう」伏線も貼られていましたね。

【第4期】2017年6月1日のゼミ日誌

今回の日誌当番は横井くんです。

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6月1日のゼミでは、『大いなる遺産』の20章から27章までを読み進めました。

 ロンドンへと赴いたピップはジャガーズに会い、彼の事務員のウェミックに連れられてバーナーズ・インへと案内されます。バーナーズ・インでは、昔にミス・ハヴィシャムの屋敷でボクシングをした青白い紳士に再会します。彼の名前はハーバート・ポケットといい、ピップと一緒に暮らすことになります。その後、ピップはミス・ハヴィシャムの婚約者に捨てられた過去を知ったり、ポケット(ハーバートの父)の自宅にも招待されたりします。ピップは、ポケットとハーバートの協力の下勉強をし、長足の進歩を遂げます。一方で、ロンドンに住むようになり、環境が変わったピップは多くの額を散財するようになります。ある時、ピップはウェミックに手紙を書き、彼の家まで歩いていくことにします。ウェミックの自宅はお城の様にしつらえられており、非常に凝ったものでした。ピップはウェミックと一緒にジャガーズの事務所に行きます。そして、ジャガーズの家で食事をとりますが、ジャガーズは彼の家政婦のモリーの傷が残っている手首を見せ、彼女の手首を絶賛します。ある時、ピップはジョーがロンドンに来るという内容の手紙を受け取ります。ピップのところに来たジョーでしたが、彼はピップに対して、どこかぎこちない敬語で話します。ピップはジョーの訪問に対して、嬉しくはない心情を抱いていましたが、ジョーからエステラがピップに会いたがっているということを聞いた時、初めから知っていたら好意的にふるまっていたのに、と思います。宿を出て行ったジョーをピップは追いかけようとしますが、ジョーの姿はありませんでした。
 以上があらすじです。

 ピップはロンドンに来てから多くの人に会い、新しい経験をします。中々一筋縄ではいかない人間ばかりですが、僕は中でもウェッミックがお気に入りです。彼の印象は、I found him to be a dry man, rather short in stature, with a square wooden face, whose expression seemed to have been imperfectly chipped out with a dull-edged chisel.(P.171 l.14-17) とあるように、どこかくたびれたような印象なのですが、ひとたび自宅に帰れば非常に饒舌になり、ピップを歓待します。僕にとって、ウェミックはどこか憎めない人間であり、彼の人物像は中々一言で表しにくいように思います。と同時に、後々の物語においても、かなりピップと関わりのある立ち位置なのでとても興味深いです。

6月1日に学んだ章では大きな展開はなかったように思われますが、後々の伏線などがところどころ張られており、しっかり読みこなしていかなければならないと感じました。ジャガーズの女中のモリ―や、ウェッミックのセリフにIt brushes the Newgate cobwebs away(P.207 l.26)とあるのですが、これは32章におけるピップとウェッミックのニューゲイト監獄への訪問と繋がっている様な気がします。また、ロンドンに来てからのピップの変容も注目に値すると思います。散在するようになったことや、ジョーへの態度等々です。今後のピップがどのように成長していくのか、ゼミの中でゼミ仲間たちとしっかり分析していけたらと思います。

===ここまで===

小説のクライマックスに向けて様々な伏線が見え隠れしてきました。ウェミックさんの役割も興味深いですね。