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2012-08-16 湯里

yaun2012-08-16

去年の糸島合宿に引き続き今年のカンパニー夏合宿は島根県の大田市。県の財団の方々と大勢の地元の方々に支えられて一週間を過ごしました。

朝7時からヨガ、ご飯食べて洗濯して撮影して稽古して、またご飯食べて昼寝して海に行って稽古して、またご飯食べて洗濯たたんで、夜は温泉津の温泉へ行って、温泉の帰り道にはお寺でやった今福優さんの太鼓のライヴに行ったり、神社の岩見神楽の公演に行ったりして、初日に買った花火をする時間が全然ありませんでした。

ダンサー総勢13名と制作の上原さん、というカンパニー以外にもたくさんのゲストが来てくれました。物理学者の江本伸悟さんには「渦」についてのレクチャーをしてもらいました。短い話だったのだけれどとても面白い話でした。江本さんは日夜研究に没頭する学者なのに暑い体育館で必死で作品の振りを練習していました。練習の仕方もわからないのに練習していました。そして海神楽の設営という肉体労働までしてもらい、ナチュラルにダンサーズの渦に巻き込まれていました。が、まるで随分前から一緒に稽古をしていたメンバーのように一緒に時を過ごしてくれました。気付いたらカンパニーの撮影にもいつも参加していたので、これから使われるチラシやポスターにはしっかり江本さんも写っていることになるでしょう。

江本さんの同級生でカンパニーでは馴染みの森田真生さんも京都から来てくれました。森田さんはダンスが大好きで踊りたい踊りたいと言って深夜2時頃ものすごいダンスを踊ってくれました。面白いというか怖いというか凄いです。凄いパワーです。意味不明なパワーです。荒もベーシストの悠自さんも完全に巻き込まれながらのコラボレーションでした。インターバルズっていうユニット名を付けてました。踊ったものにタイトルを付けるなら「渦」。

ベーシストの川本悠自さんは大きなウッドベースを車に積んでお盆の大渋滞をくぐり抜けて東京からやってきてくれました。そしてもう1人、フルーティストの上野賢治さんが五十肩でひーひーいいながら金沢からやってきました。この二人が来てくれたおかげで「ショーメン」は生演奏を少しだけ取り入れた形へと変化することができました。いつか「ショーメン」は全部生でやりたいと思っているのでその第一歩が踏み出せたような気がします。

音楽にとって「正面」っていうのは何なんだろうかと考えました。今も考え中です。

東京から大渋滞をくぐり抜けてやって来たのは悠自さんだけではありません。私の音響パートナーの江澤千香子さんも車でやってきちゃいました。びっくり嬉しいです!いつも私の作品にそっと大きな力をくれる江澤さんが側にいるとなぜだか「大丈夫」っていう気持ちになれます。

そして松江出身の舞踊評論の稲田奈緒美さん、福岡の妖精みぞちゃん、新潮社の足立さんが能楽師の安田登さんと取材途中で寄ってくれました。

安田登さんは最終日の夜に夏目漱石の夢十夜のこわ〜い話しを舞ってくれました。ヤンの太鼓と上野さんのフルートと悠自さんのベースでのコラボレーションで。教室の電気を全部消して暗闇で見ていましたが、なぜかものすごいタイミングで雷がピカピカッ!!絶妙なタイミングで完璧な稲光が窓から差し込んできました。身の毛がよだつ美しい瞬間に、そこが教室であることとか、すごく疲れていることとか何もかもが吹っ飛んでただただただただ怖かった!!!

安田さんには翌朝、能の型を教えていただきました。私はコンテンポラリーダンスとか芝居とか歌舞伎よりも能や文楽が断然好きで、それは観るものというよりも聴くもの、という感じがするからなのですが、体験してみて本当にまさに聴くものだなあと思いました。一つの型を覚え身につけるまでにたくさんの時間がかかるということについてはバレエを学ぶのと同じような気持ちよさがあります。今すぐにできないけどできたら「あの世界だ!」というような、今ここにいなくていい、だけど今ここだけにいれる、そういう「あの世界」に行ける階段を上っている感じ。日常から離れた身の置き場を自分の身に作ることは長い道程を含めて本当に快感です。

よく学校で子供達にダンスのワークショップで「意味なんかなーい!」「意味わからないけどOK!」とか自分で言っていますが、それって大事なキーワードなんだなあと実感しました。能って意味わからないけど面白いなあと漠然と感じているだけじゃなくて能楽師の人に「意味がわからなくてもいい」「意味などない」と言われることで世界がぐぐーんと広がるものです。分からなくていいことを分かった方がいいって思って、分かってないとだめなんだって思って、勝手に無知を卑下してしまう癖があるけれど、「分からない」から始まる道は歩く間ずっと分からないままかもしれないけれど、それでもずっと歩いていきたい道であるかどうかが大事だなと思いました。

田舎の子供達や大人達と過ごすと彼らは何でも知っているって感じます。何が大事で何が面倒で何が面白くて何が辛くて楽しいか。空はどんな色をしているか、空はどんな色になれるのか。空気の匂い、風の形、目や耳や鼻で感じ取れない奥の方に感じる何か。だからわざわざ言わなくていいやって思うことがいっぱいあります。でもそれでも当たり前のことでも言ったらいいんだなと思いました。当たり前のこと、もう分かってることでも、言葉にすることで視界がぐっと鮮明になるものです。知らない海で泳げるようになるために。

知らない海で泳ぐといえば日本海で初めて泳ぎました。知らない海は怖いです。遠浅の海の中、なぜか大きな岩がぼこっと水面近くまで出ていて知らずに足を切りました。怪我して初めて「あ、この海知らない海だった」って気付きました。そういえば私は海だけに限らず、知っていることと知らないことの区別が普段からあまりついていないみたいな気がします。

田舎のごちそうをたくさんいただきました。私にとっての一番のごちそうは田舎料理ですからこれ以上嬉しいものはありませんでした。盆には餅や団子ですね。ほっとしました。そして海の幸、山の幸、見たことも聞いたことも食べたこともないものがたくさんでてきました。

畑の恵みも素晴らしかった。まかないをしてくれている地域の皆さんの畑からとったものばかり。手作りの蕎麦、手作りの葛、農薬を使わずに丁寧に育てたものばかり。日々虫をとって草を刈って、雨の日も風の日もしっかり見守って育てた農作物の味は私の大好きな日本のさっぱりだけど濃〜い田舎の味がします。

今回総勢40名の方々にまかないをしていただいたのですが、お盆の忙しい時期に本当に何とお礼を申し上げたらいいか、、という思いです。交代交代でそれぞれ1人1人がみんな愛情たっぷりのご飯を用意してくれました。その40名を切り盛りしたのが湯里の母、山根澄子さん。山根さんは大きな景色のような人。初めてお会いした時から懐かしい気持ちになった人。ものすごく元気な笑顔しか見せない人だから、きっと今頃ばててるんじゃないかなあと心配です。

山根さんは学校の先生だったからかみんなに山根先生って呼ばれていす。大田には山根先生の教え子がたくさんいす。海神楽実行委員長の神楽面職人、小林泰三さんもその1人。泰三さんは海のような男です。今回私達カンパニーを海神楽のオープニングに入れてもらったのも彼の懐の広さです。毎年京都造形の学生達を引っぱってきて海神楽を成立させています。その学生達の動きやイベントの雰囲気、そして舞台上の泰三さんの姿を見て泰三さんの大きさが分かります。何かを守りながら新しいことに進んでいくダイナミックな存在です。

そしてはっちゃんも山根先生の教え子の1人。今回私達の合宿を最初から最後まで世話してくれた財団職員のはっちゃんこと福間一さん。この土地で育っただけあってすごくすごくすごくピュアでいい男。4月に東京からUターンで県財団の職員に。私が最初に会った初夏の頃にはまだ車の運転も慣れてなくて車庫入れ出しに10分くらいかかって「この人大丈夫かしら」って思ったけれど大丈夫でした。

はっちゃんと一緒に寝泊まりまで一緒にいてくれた田尻さんは技術スタッフ。いつも影できっちりとたくさん仕事をしてくれていてさぞかし疲れただろうなあって思います。パワフルすぎてビックリする野津さんと押して引いてのいいコンビですっていったら叱られるかなー。

他にも、今回のきっかけを作ってくれた財団の山本さんをはじめとするたくさんの方々にお世話になりました。ありがとうございました!そして、お世話になりました、ではなく、またお世話になれたらなと思っています。ここがスタートになって新しい形を動かしていけたらと思います。廃校の学校が新しい学びの場になることと、私達の「踊る」が単なる芸事に収まらない「踊る」になっていくことが共にあれればいいなと。

近年カンパニーのレジデンスや合宿は「特例」として生まれてきています。今回も「レジデンス」などやったことのない場所や団体が私達を受け入れてくれました。システムがあるところを利用するのではなく、システムがないところに新しいシステムをつくるということでしかこの大所帯が活動できるところはないと感じるこの頃。何かがある所にいくのではない。場所に合わせてなにかやるのではない。ないものは作る。なにもない場所に「こうじゃない?」という場を作る。まずは自分たちが場所になる。というか場所になってしまうでしょう。振る舞ってしまうでしょう。大勢だから「場」になってしまうでしょう。自分達の存在ごと場所がどんどん広くなっていく。私達がいなくてもそこが私達の場所になれる場所になっていくように遠く離れていても生まれた場は消えないでしょう。たくさんの遠回りをしながら。理想郷に直行できないことを楽しみながら。いつか世界中が踊る広場になったらいい。

来週は北のふるさと南郷にて二年目のダンス!島守神楽との共演です。http://nangoartproject.jp/showmen.html

そして横浜にてKAFE9にてショーメン野外バージョン2012が完結! http://www.kafe-kaat.jp/-/co-yamadaun 野外!無料!いただいた栄養はパワーに変えていっぱい出すからどんどん見て見て持ってって!

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