言われてうれしかったこと。

そういえば以前

「言われて傷ついたこと、悲しかったことは無限に思い出せるけど

 言われて嬉しかったことは思い出せない」

と書いたが、あれは嘘だ。

いくつか思い出せる。


それは中学の修学旅行。

バスの中で旅先名物の天然水が配られた時の事。

無味なはずなのに何とも言えず美味だったことを覚えている。

そこで私は「透き通った味がする」と感想を述べた。

先生は驚愕して

「そんな形容は初めて聞いた、小説家になれるかもね」

と私を褒めた。

些細なことだったが大層うれしかった。

なお私は現在小説ではなくjavaプログラムを書いている。


それは2年前のバイト先。

いつものように私は同僚と客の愚痴をこぼし合っていたが

「本当にあの(常連客の名前)には辟易させられる」

というと、その同僚は

「みゅーさんはホントに語彙が豊かで話してて飽きない」

と私をほめた。

嬉しかったことを覚えている。


今思い出せるのはこれくらいだ。

なんと「さすが理系」と褒められたことは

一度もない(あるいは思い出せない)。


もっと本気を出せば思い出せるかもしれないが

これを書いている最中に

言われて悲しかったことや

自分が言って人を傷つけてしまったことが

10個以上思い浮かんだので

やはり私は根っからの後ろ向きらしい。


思い出せる最古の「言われてうれしかったこと」は

その中学の修学旅行の件で

思い出せる最古の「人を傷つけてしまった言葉」は

なんと小学1年生のものである。

思い出せる最古の「言われて傷ついた言葉」は

4歳で投げられたものなのだから笑わせる。


相手はとっくに忘れているに違いない。