スタジオの窓を開けると春のにおいがするようになってきた。
一年で一番好きな季節のにおい。

少し前に友達が日本に引越していった。
そのことをぼんやり机にほおづえついて考えていたら、色んな思い出がこみ上げてきて
ぐすんぐすんなってしまった。

お客さんがやって来たけど、鼻水をぬぐいながらお話することになってしまった。
家に帰ると、もう目が腫れている。

私のスタジオ/お店の周りは本当に静かで、ブルックリン特有ののんびりした空気がある。
毎日がとてもゆっくりで、入って来るお客さんは大体笑顔で幸せそう。いつも通りの日常。

なのに、ひとつだけ違うのがもうNYに彼女がいないんだってこと。
そう思うと余計にその事実が残酷に思えて悲しくなってくる。

窓の外から鳥の鳴き声が聞こえる。この間お正月だった、そして今春になって、もう少ししたら裸足でサンダルを履いてるんだろう。そしてクリスマスのためにジュエリーを準備するときが来る。

まるで時間が私を追い越していくみたい。