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弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 日々是好日 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2004-11-06

「P2Pシンポジウム」(その4・終わり) 16:50 「P2Pシンポジウム」(その4・終わり)を含むブックマーク 「P2Pシンポジウム」(その4・終わり)のブックマークコメント

岡村弁護士から、「本日のパネルディスカッションに、権利者側からの出席も呼びかけたが、出席を得られなかった。」との紹介。

今年の6月下旬に行われた、情報処理学会情報ネットワーク法学会共催のワークショップの際にも、まったく同様の経緯があった。本日、岡村弁護士も「残念」と述べられていたが、私も同感である。

権利の擁護に忙しく、こういったシンポジウムへ参加して、P2Pについて真面目に考える余裕もないのか?まさか、そんなことはないだろう。要請があっても参加しないことで、「逃げ隠れ」しているかのような印象を持たれるのは、得策ではないと思うが。利便性が高く、ますます利用が広がるP2Pについて、敵視するだけで、今後について真面目に考えようとせず、警察や検察庁に媚びへつらうことに汲々としているようでは、国民の幅広い支持は得られないだろうし、先細るだけではないか?権利者の権利保護は当然の前提としつつ、そういう感慨を抱いた。

パネルディスカッション参加者が、活溌に発言している途中であるが、所用のため、私は途中で退席せざるを得ない。残念である。

しかし、本日の研究大会は、シンポジウムを含め、なかなか充実した内容で有益であった。

(終わり)

「P2Pシンポジウム」(その3) 16:33 「P2Pシンポジウム」(その3)を含むブックマーク 「P2Pシンポジウム」(その3)のブックマークコメント

続いて、苗村氏から、「インターネット、P2P、およびデジタルコンテンツ保護をめぐる課題」として、

1 コンテンツに関する権利保護の必要性(財産権、人格権)

2 公共領域としてのインターネット   

 インターネットアメリカで軍事目的(ソ連の核攻撃に備える)のため開発されたという「神話」は事実と異なる、など

3 P2Pの意義とその成立のための条件

 創作者・製作者の意思の明示、尊重(著作権表示、著作権登録などによる)、仲介機能の排除・分散(参加者の責任分担や危機管理体制の整備などが必要)など

といったことを論じられていました。

 その後、「ひろゆき」氏が登場。私は、実物を初めて見るので、なかなか興味深い。P2Pがいかに問題視されても、実際の利用者はさらに拡大を続けており止めようがない状態である。京都地裁で公判中のK氏以外に、開発や改良を行う者は他にも大勢いる。ネットワークは肥大化し、入手できるものも増大する中で、いかにコントロールして行くかが課題。日本ではプリペイド携帯の廃止が言われているが、「スカイプ」を使えば、トレーサビリティがない中で、安価世界中の人と電話で話ができる。「ひろゆき」氏は、そういった話をした上で、「問題提起でした」として話を終えた。

(続く)

「P2Pシンポジウム」(その2) 16:08 「P2Pシンポジウム」(その2)を含むブックマーク 「P2Pシンポジウム」(その2)のブックマークコメント

続いて、奥村弁護士による「P2Pに関連する刑事事件」というテーマの解説。著作権、わいせつ、児童ポルノ、名誉毀損等について、裁判例を紹介しつつ、問題点を指摘。匿名性の悪用、という意味では、他の違法行為にも広く利用される余地があることも指摘。バラ色の可能性と重大な危険性が併存していることがよくわかる。

一旦、被害が発生すると、甚大なものになりがちであり、行為者の責任も重くなる傾向があるという指摘には、重いものがある。

奥村弁護士の意見としては、P2Pの開発にあたっては「悪用防止」の配慮が必要、とのことで、この点については、共感を覚えるものがあった(それがないから、即、法的責任が発生するというものではないが)。

(続く)

「P2Pシンポジウム」(その1) 15:49 「P2Pシンポジウム」(その1)を含むブックマーク 「P2Pシンポジウム」(その1)のブックマークコメント

午後の2つのシンポジウムの中の一つ。岡村久道弁護士の司会で、奥村弁護士2ちゃんねるの「ひろゆき」氏も出席しており、大変豪華な顔ぶれです。

立教大学上野達弘氏、慶應義塾大学の苗村憲司氏も出席されています。会場の人も多く、この問題に対する関心の高さが伝わってきます。

岡村弁護士から、P2Pに関するアメリカの判例について紹介された後、上野氏から、日本における民事判例についての説明がありました。

上野氏は、著作権侵害を利用とする、サービス提供者に対する差し止めの可能性について、

1 サービス提供者も物理的な意味での発信者である(判例は見当たらない)

2 サービス提供者も、規範的には発信者と同視できる(クラブキャッツアイ事件がその例、カラオケ業者に関する事件が多い「カラオケ法理」、ファイルローグ事件、録画ネット事件)

3 サービス提供者は違法行為の幇助者である(従来は多数説ではなかったが、平成15年2月13日のヒットワン事件判決で大阪地裁が採用)

という3つの理論構成を紹介の上、説明されました。

カラオケ法理」については、ファイルローグ事件や録画ネット事件で、変容して適用されているという指摘の上、そもそも擬制的であるという批判があり、再検討が必要ではないか、とも指摘されていました。

3について、東京地裁は、大阪地裁とは反対の立場をとっており、肯定説が定着しているわけではないことも指摘されていました。

また、損害賠償請求について、いかなる場合にサービス提供者が責任を負うかについて、従来の裁判例も一定の傾向があるわけではなく、判断にはブレが見られることも指摘されていました。

(続く)

コンピュータウイルス等の刑事規制」(帝塚山大学・京都光華女子大学・長岡範泰氏) 15:28 「コンピュータウイルス等の刑事規制」(帝塚山大学・京都光華女子大学・長岡範泰氏)を含むブックマーク 「コンピュータウイルス等の刑事規制」(帝塚山大学・京都光華女子大学・長岡範泰氏)のブックマークコメント

午前中の個別研究報告の中の一つ。

現在、国会において検討中の、サイバー判事条約関連の刑事法改正について、解釈上の問題点が指摘されています。

こういった問題点は、今年の5月に、情報ネットワーク法学会内・サイバー刑事法制研究会(一応、私が主査代行です)が開催した公開セミナーでも指摘されていました。

改正後は、法務省の立法担当者による解説書が出るはずですが、長岡氏や他の有識者が指摘している問題点を踏まえた上で、できる限りわかりやすい内容の解説にする必要があると思います。

「電磁的記録の無権限利用に関する各国刑事法制の比較法的検討」(明治大学・弁護士・夏井高人氏) 14:52 「電磁的記録の無権限利用に関する各国刑事法制の比較法的検討」(明治大学・弁護士・夏井高人氏)を含むブックマーク 「電磁的記録の無権限利用に関する各国刑事法制の比較法的検討」(明治大学・弁護士・夏井高人氏)のブックマークコメント

各種の情報漏えい事件が問題になる中で、「情報窃盗」の当罰性が主張されるなどしている状況にありますが、夏井氏は、そういった状況を踏まえた上で、電磁的記録に対する「無権限アクセス」行為について、我が国や諸外国で、どのような刑罰法令があるかについて、比較法的な観点から説明されました。

こういった行為に対する我が国の刑罰法令は、穴が多い、という文脈で語られることが多いのですが、配布された資料を見ると、確かに十分とは言えないものの、既存の各種刑罰法令を最大限活用することにより、かなりの実効性ある処罰は可能であろうと改めて感じました。

しかし、我が国において、違法性が高い行為であっても処罰されないものが少なくないことは厳然たる事実であり、「早急に立法上の対応をすることが必要である。」という夏井氏の主張には、説得力がありました。

具体的にはどういう立法が望ましいか、という私の質問に対し、夏井氏は、大陸法系の法体系を有する我が国においては、既存の刑事法の法体系の中で、改正を検討したほうがよいのではないか、と答えられていましたが、これには私も同感でした。

「ローライブラリーと法学教育:米国での経験から」(同志社大学法科大学教授・藤倉皓一郎氏) 14:31 「ローライブラリーと法学教育:米国での経験から」(同志社大学法科大学院教授・藤倉皓一郎氏)を含むブックマーク 「ローライブラリーと法学教育:米国での経験から」(同志社大学法科大学院教授・藤倉皓一郎氏)のブックマークコメント

午後の部の2番目の基調講演。

藤倉氏は、日本において、少数の閉鎖的な法曹により司法制度が運用されてきたことの問題性を指摘した上で、司法改革や、今年からスタートしたロースクール制度の歴史的意義を強調し、適切な法学教育を行う上で、ローライブラリーが極めて重要であることを、アメリカでの現状も紹介しつつ、主張されていました。

テーマが「ローライブラリー」である割には、ロースクールの苦労話が多く(法学部ロースクールの両方をかけもちして過重な負担にあえぐ教員の実態など)、学生だけでなく、ロースクール側や教員の方々も、かなり苦労しているということが伝わってきました。

藤倉氏は、アメリカロースクールでは、ローライブラリーなどでのサポートスタッフが充実しているのに対し、日本のロースクールでは、そういったスタッフの陣容が極めて貧弱であると主張されていましたが、こういった問題点も、日本のロースクールの足を引っ張っているのだろうと感じました。

「P2Pコミュニケーションの歴史的意義」(情報セキュリティ大学院大学・林紘一郎氏) 13:48 「P2Pコミュニケーションの歴史的意義」(情報セキュリティ大学院大学・林紘一郎氏)を含むブックマーク 「P2Pコミュニケーションの歴史的意義」(情報セキュリティ大学院大学・林紘一郎氏)のブックマークコメント

午前の部終了後、奥村弁護士や壇弁護士らと、慶應義塾大学内で食事をしながら情報交換(?)していたので、残りの2つの個別研究報告については後回しにして、午後の部の基調講演へ。

林氏は、東大法学部卒業後、電電公社やNTTでの勤務の後、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究教授等を経て、現在は、情報セキュリティ大学院大学副学長を務められている、ということです。

講演では、インターネットを、言語の使用開始以降の、コミュニケーションの長い歴史の中で位置づけた上、サイバースペースの特徴を

1 サイバースペースには制約がない

2 サイバースペースは忘れない

3 サイバースペースは「個」をあぶりだす

と総括し、P2Pコミュニケーションについて、賢者の知恵よりも衆愚の知恵のほうが優れているというのが民主主義と市場主義の原点であり、P2Pはそのための手段になり得るものであるが、

1 サイバーワールド用の法や倫理も、リアルワールドでの経験を踏み台にしたものでなければならない

2 リアルワールドで違法・不当なことはサイバーワールドでも違法・不当である

ことに留意されるべきであるという、非常にバランスの取れた考え方を述べられていました。

P2Pについては、注目度が高く、いろいろな議論がありますが、長所や短所をきちんと見据えた上で、関係者の努力により健全に発展する方向へ誘導して行く必要性が痛感されました。

また、林氏のような人を輩出するような、旧電電公社やNTTの人材の厚みというものには、侮りがたいものがある(これまでも侮っていませんが)という印象も受けました。

私が、講演後の質問で、京都地裁で公判中のwinny幇助公判について、「歴史的意義」といった大きな視点で、林氏がどのように見ているか、今後どのような視点で見て行くべきかををおたずねしたところ、ご自身の経験も踏まえられた上で、「裁判で著作権侵害が問題になっていることは当然のことであるが、P2Pが著作権侵害に悪用される場合がある、というのは、P2Pの機能としては、片隅のことであり、そういった見方も必要ではないか」といった趣旨のお答えをいただきました。

インターネット上の青少年に有害な表現の法的規制について」(大阪経済法科大学・永井善之氏) 11:45 「インターネット上の青少年に有害な表現の法的規制について」(大阪経済法科大学・永井善之氏)を含むブックマーク 「インターネット上の青少年に有害な表現の法的規制について」(大阪経済法科大学・永井善之氏)のブックマークコメント

永井氏は、最近、

サイバー・ポルノの刑事規制

を出されていますが、この本は、この分野の幅広い論点について検討されており、文献や判例の引用も豊富で、極めて参考になる内容です。この分野に関わる方で、持っておられない方は、やや値段が高いですが、手元においておくことをおすすめします。紀伊國屋書店サイトでは、「在庫僅少」となっていました。

永井氏は、この分野の法的規制について、諸外国(主としてアメリカ、イギリス)の

1 法的規制による方向で進むアメリカ型(但し、表現の自由等との関係で違憲判断が出るなど問題が噴出している)

2 公的な団体による自主規制の方向で進めるイギリス型(但し、問題があっても、「自主」によるものということで責任の所在が曖昧になる等の問題がある)

といった取り組みを紹介した上で、我が国が今後、進むべき方向として、

1 フィルタリング機能について、保護者が任意に選択・決定しうる形での、プロバイダや端末メーカーへの整備・搭載の法的義務づけ

2 フィルタリング以外の方法による自主的規制

3 国家による、自主的規制に対する各種支援や協力体制の構築

を提案されています。

私も、いくら国内で情報発信者に対する法的に義務づけを強化したり、刑事罰を科そうとしても、インターネット上、国外から膨大な情報が流入する状況の中で実効性の確保は不可能であり、表現の自由の保障という見地からも、永井氏の提案のように、情報の受け手である青少年の側に力点を置きつつ、実効性ある自主的規制を進め、それを国家(地方公共団体も含む)が支援する、という方向が望ましいと感じています。

(続く)

情報ネットワーク法学会・第4回研究大会慶應義塾大学11:21 情報ネットワーク法学会・第4回研究大会(慶應義塾大学)を含むブックマーク 情報ネットワーク法学会・第4回研究大会(慶應義塾大学)のブックマークコメント

本日、開催中です。午前中は個別研究報告、午後は講演とパネルディスカッション2ちゃんねるの「ひろゆき」氏も登場予定)が行われ、その後、懇親会があります。

私は、午前中の個別研究報告の中で、

1 「インターネット上の青少年に有害な表現の法的規制について」(大阪経済法科大学・永井善之氏)

2 「コンピュータウイルス等の刑事規制」(帝塚山大学・京都光華女子大学・長岡範泰氏)

3 「電磁的記録の無権限利用に関する各国刑事法制の比較法的検討」(明治大学・弁護士・夏井高人氏)

を聴きたいと思っていましたが、「はてな」問題等で疲れ(読売新聞ではないですが、単なる言い訳です)、寝坊してしまい、1と2は聴けず、これから3を聴こうとしているところです。

1と2については、資料でもらった予稿集で一通り内容が把握できたので、資料に基づいて若干コメントし、3については、報告と資料に基づいて、若干コメントしておきたいと思います。

(続く)

虚偽記載:日テレが有価証券報告書訂正 5年分 00:43 虚偽記載:日テレが有価証券報告書訂正 5年分を含むブックマーク 虚偽記載:日テレが有価証券報告書訂正 5年分のブックマークコメント

http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/news/20041106k0000m040135000c.html

誤った記載は71年以降の歴代トップ3代の名義で30年以上続いていたという。読売新聞東京本社は「日テレとの親密性のシンボルとしての形式的な名義表示で、その慣行が続いてきた」(広報部)と説明。「税務当局や財務局には渡辺会長の持ち株は読売の実質持ち株だと説明し、了承を得ていた。意図的に投資家の判断を誤らせようとした証券取引法上の『虚偽記載』ではない」(同)と話している。

「虚偽記載でない」ことについて、上記の理由では、何の理由にもならないでしょう。税務当局や財務局に説明していれば、有価証券報告書に、実態と異なる記載をして良い、ということにはならないというのは、当然のことだと思います。読売新聞は、

1 意図的に投資家の判断を誤らせようとした証券取引法上の『虚偽記載』

2 意図的ではなく、投資家の判断を誤らせようとしない証券取引法上の『虚偽記載』

の2種類がある、と言いたいのでしょうか。こういう論法を、「詭弁」と言うのでは?

渡辺恒雄氏名義株、実際は読売が保有 日テレが報告訂正

http://www.asahi.com/national/update/1105/036.html

 日本テレビ総合広報部は「法律的には問題ないが、誤解を受けないよう訂正することにした」と話している。

 一方、読売新聞東京本社広報部は、読売新聞が関東財務局に提出している大量保有報告書では渡辺氏の名義分も保有者・読売新聞社で報告している、と説明。今回の訂正は「大量保有報告書との不一致を訂正したもので、証券取引法の虚偽記載などには当たらない」としている。

法律的に問題ない?誤解を受けないように訂正?不一致を訂正したもの?報道に携わっている者とも思えない、子供だましの弁明(弁明にもならない)だと思います。実態に反する記載をしていれば、「虚偽」そのものでしょう。

東京証券取引所は同日、「上場廃止基準にある虚偽記載に当たる」などとして、同社株を上場廃止の可能性があることを示す監理ポストに置いて審査を始めた。

当然でしょう。東証も、証券取引等監視委員会も、徹底的に調査すべきです。

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20041105i314.htm

記事全体が、「弁解」調で、見苦しい限りです。

thinthin 2004/11/06 01:23 こういうことをやっている企業の親玉が、プロ野球のドンでもあって、インターネット上のアダルトサイトについてわかったような口を利くわけですねえ。

発表者某発表者某 2004/11/06 11:43 いいかげんな予稿ですみませんでした。先生にご批判いただくような大した発表ではありませんでしたので、とりあえず私の分については、お休みいただけてよかったのではないでしょうか。

nanashinanashi 2004/11/06 14:41 藤倉先生、相当お嘆きのご様子ですね。。

yjochiyjochi 2004/11/06 14:44 ロースクールの愚痴が目立ちます。それだけ大変なんでしょう。

messinamessina 2004/11/06 15:06  確かに,アメリカのロースクールのLaw Libraryの充実度合いには私もたまげました。大学によっては,私立であっても,州と提携して(予算も分捕って),州裁判所関係の文献を多量に有していました。
 司法改革といっても,結局はお金なんでしょうね。