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弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 日々是好日 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2004-11-08

「ノーティス・アンド・テイクダウン手続と責任回避」に関連して 23:19 「ノーティス・アンド・テイクダウン手続と責任回避」に関連してを含むブックマーク 「ノーティス・アンド・テイクダウン手続と責任回避」に関連してのブックマークコメント

小倉先生ブログ

http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/4d1554b67e36407599ca2a1c2d98b49c

に関連して、若干コメントしておきます。

その前提として、私の考え方については、

インターネットにおける匿名性について

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040814

はてな」問題について(いろいろなご意見に関する、ちょっとした感想

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041107#1099824096

「発信者」性について(小倉弁護士の見解に関連して)

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041105#1099657378

を参照していただければ、と思います。なお、本日のブログで取り上げた

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/11/08/5301.html

の中の、上野先生の解説も参考になります。

私は、ファイルローグ事件で問題となった日本MMOの立場と、「はてな」の立場(特にブログに関して)は、明白に一線を引くことができるし、また、引く必要があると考えています。日本MMOは、東京地方裁判所により発信者と認定されており、もちろん、これについてはいろいろな議論があると思いますが、やはり、発信者と認定されるだけの特殊な事情があったと言うべきでしょう。そのことは、既に指摘したとおりです。

小倉先生が、日本MMOについて、「発信者ではない」と主張されるのは、その立場から当然のことであると思いますし、私も、ファイルローグ事件の今後の行方には大いに注目していますが、「日本MMOは発信者である」という認定の下に、裁判所が、小倉先生の言われる

しかし、上記1も2も、基本的にファイルローグが講じていた「違法行為防止措置」と同趣旨の対策であり、東京地方裁判所からは実効的ではないと一蹴されてしまったものに他なりません。

特に2については、権利を侵害された権利者から十分な内容の申告がなされなければ対応のしようがないわけですが、日本MMOが用意していた「ノーティス・アンド・テイクダウン手続」は、JASRACや各レコード会社から一度も活用されることはありませんでした。その結果、日本MMOが用意していた「ノーティス・アンド・テイクダウン手続」は実効性がないとして、結果回避義務違反が認められてしまいました。

と判断されたものを、「はてな」についても同様に考えるというのは、「はてな」も発信者である、あるいは、発信者である可能性が高い、という前提に立って、はじめて妥当するものであり、そういった前提に立たなければ、別の話になると思うのです(どうも、うまく文章にしにくいのですが、趣旨はおわかりいただけるのではないかと思います)。

私は、今、こうしてブログを作成していますが、情報を発信しているのは誰か、というと、正に「私」です。「はてな」も発信者である、ということが肯定されるのであれば、例えば、無料ホームページサービスの管理者なども、皆、「発信者」扱いされるでしょう。しかし、そういった考え方が妥当とは到底思えませんし、どこかで明確な線引きをして、発信者とそうでもないものを峻別する必要があると思います。従来の日本の裁判例を見ていても、確かに曖昧な部分はあるものの、「はてな」のような立場の者にまで、発信者性が肯定されるほど無茶な判断までは示されていないと、私は考えています。別に「楽観」しているわけではなく、そういった整理、切り分けといったものが不可能なほど、日本の裁判例が混乱しているわけではないと思うのです。

逆に、ファイルローグ事件などで示された裁判所の判断を、過剰に拡大解釈し、「プロバイダ等としては、裁判で負けそうな要素は極力なくそう。」という方向で過剰に振れてしまうと、必要性に疑問がある個人情報を過度に利用者に求める、といった現象が、インターネットの世界のあちらこちらで起こりかねず、非常に問題だと思います。

更に言えば、これは個々のプロバイダ等のポリシーにも関わることですが、確立した判例であればいざ知らず、確立もしていない裁判例におびえ、利用者に負担をかけることで自らのリスクを回避しようという姿勢は(今回の「はてな」がそうだと言うわけではありませんが)、利用者軽視という批判を免れがたく、我が国におけるインターネットの発展という観点からも、得策とは言い難いのではないかと思います。

ここでアメリカの刑事判例を持ち出すのは唐突かもしれませんが、我が国でも著名で、アメリカ刑事裁判史に燦然と輝く著名な判例は、最高裁判所まで徹底的に争った被告人や弁護人がいたからこそ生まれたものです。我々が、インターネットに関する裁判例を見るときにも、そういったチャレンジ精神は必要だと思いますし、多くの利用者に支持されているサービスの提供者には、利用者のためにも、必要なリスクは取りつつ、安易な妥協はしない、という姿勢も必要ではないかと思うのです。

私の考え方としては、「はてな」は発信者とは言えないし、実態としても発信者にはならないという状態をきちんと確保した上で、既に述べたように、

1 利用規約の整備及び利用開始時の利用者による承認

 利用者に対する禁止事項を、利用規約上で網羅的に明示し、利用規約違反に対しては、「はてな」が利用停止やコンテンツの削除措置を講じる権限を持つことを明確にするとともに、利用者をして利用規約遵守を約束させる

2 権利侵害申告に対する対応態勢の整備

 権利侵害申告があった場合に、申告内容が不十分であれば補充させるとともに、内容的に十分な申告については、速やかに対応する態勢を構築し、速やかに対応する(利用規約に照らし、必要に応じてコンテンツ削除や利用停止等の措置も講じる)

3 サイト内に、利用規約違反、権利侵害行為といったことを行わないための参考ページを作り、利用者の便宜を図る

といった措置を的確に講じ、裁判所がよく言う「特段の事情」(平たく言えば、違法状態の横行といった事態)が生じないように十分注意して臨めば、「発信者」と認定されるような事態は十分回避できると思います。そういう状態に、プロバイダ責任制限法も適用されて、不測の損害が生じるといった事態は十分回避できるはずです。

以上述べたこととは別に、違法行為の抑制のため、利用者から氏名、住所等の提供を求める、ということは、方法としてはあり得ます。ただ、そういった方法をとるのであれば、利用者に対し、説明責任を尽くすとともに、プライバシーポリシー個人情報保護体制を整備して万全にする必要があることは言うまでもありません。

私は、匿名性絶対論者ではありませんが、匿名性を制約するのであれば、きちんとした根拠が必要であり、また、制約される人々に対して、十分なわかりやすい説明が行われるべきであると考えています。

従来の「はてな」の措置とか説明を見ていると、残念ながら、そういった点が極めて不十分であると言わざるを得ず、だからこそ、多くの人が反対意見を述べていると思います。「はてな」としても、様々な意見に対し、謙虚に耳を傾けるべきでしょう。

日経ウーマン12月号 21:53 日経ウーマン12月号を含むブックマーク 日経ウーマン12月号のブックマークコメント

http://www.nikkeiwoman.net/

お金も時間もムダにしない!社会人大学のすべて」という記事の中で、私もほんの少しコメントしています。

情報ネットワーク法学会の会費未納問題 21:41 情報ネットワーク法学会の会費未納問題を含むブックマーク 情報ネットワーク法学会の会費未納問題のブックマークコメント

私は、寝坊して、研究大会冒頭の総会には欠席したのですが、

http://cocky.exblog.jp/1285639

で、会費未納が多いということが総会で指摘されたことを知りました。

私自身は、口座からの引き落としで支払っていますが、年会費は確か1万円であり、安くはないものの、高くて払えないほどでもないと思うので、会員の方々には、きちんと払って欲しいものだと思います。

学会としても、未納者に対しては、期限を定めた上で支払を求め、支払がない場合は除名する、といった、厳しい措置も必要でしょう。

その一方で、会費を有効に使うことも必要だと思います。具体的に細かく指摘するだけの知識を持ち合わせていませんが、紙ベースでの配付資料は極力減らすといったことは必要でしょう。

犯罪で1週間違法拘置 旧浦和地検、12人処分 21:11 軽犯罪で1週間違法拘置 旧浦和地検、12人処分を含むブックマーク 軽犯罪で1週間違法拘置 旧浦和地検、12人処分のブックマークコメント

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041108-00000159-kyodo-soci

刑事訴訟法では、

第60条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。

1.被告人が定まつた住居を有しないとき。

2.被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

3.被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

2 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第89条第1号、第3号、第4号又は第6号にあたる場合を除いては、更新は、1回に限るものとする。

3 30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律大正15年法律第60号)及び経済関係罰則の整備に関する法律昭和19年法律第4号)の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第1項の規定を適用する。

とされており(被疑者にも準用されます)、法定刑が「拘留又は科料」しかない軽犯罪法違反の被疑者被告人の場合、上記の3項で、「住居不定」でないと勾留できませんが、おそらく、問題となった事例では、住居不定ではなく、勾留できないはずなのに、罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れを理由に、勾留状が出てしまったのではないかと思います。

私自身に対する自重自戒にもなりますが、やはり、「条文を読んで確認する癖をつける」ということになると思います。

<ビル賃料>減額請求権認める逆転判決 最高裁 21:01 <ビル賃料>減額請求権認める逆転判決 最高裁を含むブックマーク <ビル賃料>減額請求権認める逆転判決 最高裁のブックマークコメント

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041108-00000097-mai-soci

近時の不動産相場の下落の中で、この判例の影響はかなり大きいのでは?と思います。

米国の判例を日本語で読むサイト 20:47 米国の判例を日本語で読むサイトを含むブックマーク 米国の判例を日本語で読むサイトのブックマークコメント

http://www.hanrei-usa.net/index.php

おもしろい試みだと思いますし、軌道に乗れば便利だと思いますが、収録判例がもっと増える必要があるでしょう。現在の数では少なすぎます。

ひろゆき氏「開発者逮捕P2Pネットワークの制御がしにくくなる危険も」 19:57 ひろゆき氏「開発者逮捕でP2Pネットワークの制御がしにくくなる危険も」 を含むブックマーク ひろゆき氏「開発者逮捕でP2Pネットワークの制御がしにくくなる危険も」 のブックマークコメント

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/11/08/5301.html

先日の情報ネットワーク法学会の際の、「P2Pシンポジウム」に関する記事です。

ファイルローグ事件に適用された「カラオケ法理」

 しかし、著作権の権利者にとっては著作物が違法に配信される状況は好ましくなく、P2Pソフトによるものであればユーザーを特定することが困難なため、「サービス提供者に対する差止請求が可能だとする考え方もある」(上野氏)という。

その例として、著作権の侵害がサービス事業者の管理下で行なわれている場合には、その事業者に直接責任を問うことができるという「クラブ・キャッツアイ事件」の判例を紹介。クラブ・キャッツアイ事件とは、JASRAC著作権料を納めていなかった「キャッツアイ」というスナックがカラオケ機材を客に提供したとして、裁判所がスナックの著作権侵害を認めたというもの。通常の法理では、直接的に著作権を侵害したのはカラオケを歌った客だが、「店側が客の歌唱を管理していた点とカラオケを歌わせることで店側の利益につながる点で、店側が権利侵害の主体と判断された」(上野氏)という。

 こうした「カラオケ法理」の考え方がP2Pなどインターネット関連のサービスに適用された例として、日本MMOとJASRACなどが争った「ファイルローグ事件」やテレビ番組録画サービス「録画ネット」のサービス停止を挙げた。しかし、ピュアP2Pソフトについては、必ずしもカラオケ法理が適用できるとは言えないという。「中央サーバーを持たないピュアP2Pにおけるコンテンツの管理性や、それが無料サービスだった場合は、営業上の利益を認めることができるのか」と指摘した。

 次に、JASRAC著作権料を支払わないカラオケ店へ通信カラオケリースしていたリース業者「ヒットワン」が、権利侵害行為を幇助しているとし「幇助行為を行なう者は侵害主体に準じる」と判断された「ヒットワン事件」に言及。上野氏によれば、大阪地方裁判所で出されたこの判決については賛否両論で、「否定的な意見を表明している東京地方裁判所の裁判官もいる」という。

 このほか、ホスティング事業者などが違法なユーザーにサービスを提供している場合、その事業者の施設も物理的に違法送信を行なっており、事業者自身も違法送信の主体であるという考え方を紹介。事業者がユーザーの違法送信を認識し、不作為により放置している場合は「(サービス提供者自体が)公衆送信を行なっていると見なすことができる」という。ただし、こうした考え方は「従来の裁判で採用されたことはない」と付け加えた。

上野先生のこの解説は、「はてな」問題を考える上でも、非常に参考になると思います。会場で聞いていても、わかりやすい説明であると感じました。

はてな」が、上野先生が紹介されている具体例の中の、どこにあてままるか、を考えてみると、おもしろいと思います。

著作権の過度な保護はかえって収入減を招く〜研究大会基調講演 著作権の過度な保護はかえって収入減を招く〜研究大会基調講演を含むブックマーク 著作権の過度な保護はかえって収入減を招く〜研究大会基調講演のブックマークコメント

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/11/08/5307.html

先日の情報ネットワーク法学研究大会の際の、林先生の講演に関する記事です。

P2Pの特性は殺すべきではない」

P2Pネットワークは実際にはこのようなクラスタの集合体になるのではないかという

 一方P2Pネットワークについては、林氏は「P2Pのような通信手段は歴史上初めて現れたものであり、その特性は殺すべきではない」「匿名性と言論の自由は密接な関係にあるためにむやみに否定すべきではない」と述べたが、その一方で、P2Pが本当にメッシュ的なネットワークを形成するかという点については「実際には自然発生的な階層は存在する。平均的な正規分布ではなく、偏りのあるベキ分布のような特性を示すのではないか」として、ある種のクラスタ構造のようなトポロジが形成される可能性が高いとして否定的な見解を示した。

 林氏は最後に「P2Pネットワークを違法コピーのためだけに使うのであれば、それはコミュニケートの原点を外れた行為」だと述べた上で、「P2Pはもっと大きな地平を確保できる技術であり、P2Pを敵視している人たちには『そうかっかとしなさんな』と言いたい」と語った。そして、同氏がかつてNTTパケット通信網を事業化した際に、研究所では「音声をパケットに変換して伝送するなんて狂気の沙汰であり、そんなアホなことをやるな」という人間が大多数を占めていたというエピソードを紹介して、「しかしこの技術がなければ今のVoIPもないわけで、それと同じでP2Pも著作物の違法伝送に使われているのは応用例の隅っこのごく一部に過ぎない」と述べ、P2Pの持つ可能性を広範囲に追求して行くべきだとの考えを強調した。

示唆に富むお話だったと思います。「匿名性と言論の自由は密接な関係にあるためにむやみに否定すべきではない」という点も、重要な問題です。

はてな川崎氏「有料サービスによる良好なコミュニティを構築」 19:41 はてな川崎氏「有料サービスによる良好なコミュニティを構築」を含むブックマーク はてな川崎氏「有料サービスによる良好なコミュニティを構築」のブックマークコメント

http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/7085.html

他のブログでも紹介されていましたが、私のような「はてな」の利用者にも参考になる内容です。

クレームの中では中傷や名誉毀損といった事例も多いという。川崎氏は「我々はユーザーの考えを理解し、それが正しいかどうかを判断してからアクションを起こすというスタンス」とコメント。「強い事業者からの削除要求だから対応するということはない。それをやってしまえばユーザーが離れていってしまう」とした。

 現在は弁護士と相談しながら規約改正やガイドライン整備、判例の公開といった作業を進めているという。川崎氏は「この規模の会社にしては弁護士にお金を払っているのではないか」と前置いた上で、「我々はユーザーが自己解決能力を持っていると信じている。判例を出すことでユーザー自身による問題の処理が可能になるのではないか」と語った。

こういった方針が、今回、話題になっている措置へ、どのようにつながっているのか、興味がありますね。

西武解体加速、球団売却も暗礁、有利子負債1兆円超 大リストラ策に本格着手 西武解体加速、球団売却も暗礁、有利子負債1兆円超 大リストラ策に本格着手を含むブックマーク 西武解体加速、球団売却も暗礁、有利子負債1兆円超 大リストラ策に本格着手のブックマークコメント

http://www.zakzak.co.jp/top/2004_11/t2004110801.html

かなり深刻な状態のようです。

日経平均株価、終値は77円安 西武鉄道株は安値更新

http://www.asahi.com/business/update/1108/070.html

というニュースもあり、厳しい状況に追い込まれつつあるのでしょう。

栄耀栄華は長くは続かないということを実感します。

藤倉皓一郎帝塚山大学法政策学部教授からの説明 「法に頼る社会、人に頼る社会−法文化の比較」 藤倉皓一郎帝塚山大学法政策学部教授からの説明 「法に頼る社会、人に頼る社会−法文化の比較」 を含むブックマーク 藤倉皓一郎帝塚山大学法政策学部教授からの説明 「法に頼る社会、人に頼る社会−法文化の比較」 のブックマークコメント

http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/991118gijiroku5.html

情報ネットワーク法学研究大会での講演が、愚痴っぽかったな、と思いつつ、ネットで検索していると、「司法制度改革審議会第5回議事録」で、藤倉先生がお話されていました。

御経歴を簡単に御紹介しますと、先生は、昭和9年大阪市にお生まれでございまして、同志社大学法学部を御卒業後、ハーバード大学大学院を修了されて、昭和38年に同志社大学助手、47年に同志社大学教授をお務めの後、56年からは東京大学教授、それから、御定年後、早稲田大学に行かれまして、早稲田大学教授を経て、現在、帝塚山大学法政策学部教授ということでございます。御専門は英米法でございます。

先日の研究大会では、こういった紹介が特になかったと思いますが、やはり、必要でしょうね。

法に頼る社会の一番基本的な思考方法は何かと考えると、これはいわゆる対決主義なのです。対決主義というのは、決められた手続にのっとって自分の主張を徹底的に展開する。そして、その前提は自分の言うことは100%正しいのであって、相手の言うことは100%間違っている。これがぶつかる。そして、主張を尽くすことによって、証拠を出し、証人を呼び、そして第三者に判断してもらうことによって事の決着をつけよう、白黒をはっきりさせようというのが、このアメリカの法に頼る社会、そしてその司法制度の根底にあると思います。

 こういう対決思考というのを改めろと言われても、にわかに改まるとは思えませんけれども、いろいろな紛争の場で、こういうことではなしに、お互いの利害関係が一致するのはどこだろうかという辺りから話を始めてはどうか、そのために弁護士がいては邪魔になるから、弁護士をまず外して、ビジネスの紛争ですと経営者がいきなり出ていって相手と一体利害相通ずるところはどこだろうというところから話を始めよう。そのためのいろいろな試み、パイロット・プラン、モデルづくりが始まっております。これは、訴訟以外の紛争解決手段を活用しようというところにもつながるわけでして、仲裁であるとか、調停であるとか、あるいは和解といった当事者の話合いを主とした解決を求めることを制度的にもっと整備していこう。アメリカ人から見ると、日本はそういう制度をたくさん持っていてうまくやっているらしいということで、日本にそういう点から注目するアメリカ人学者もいました。裁判以外の紛争解決手法が本気で検討されております。

この指摘は、今後の日本における方向性を考える上で、示唆に富むものだと思います。「対決型」の部分と、「協調・話し合い型」の部分を、国民性も考慮しながら、うまく使い分けるという必要があるのかな、と思います。

最後に、私はここ30数年大学法学教育に携わってまいりましたので、司法制度改革の一環として法学教育法曹養成が挙がっておりますから、この点について一言だけ申し上げさせていただきます。これも私は反省を込めて申し上げるわけで、この年になって反省してもしようがないのですけれども、つくづく日本の戦後法学教育法学教育を行っている大学は90あると申しますけれども、戦後大学で行われてきた法学教育というのは本当に安上がりな教育だったと思います。それは一般教養なのか、専門教育なのか、教えている我々がはっきりした議論もなしに、はっきりした定見もなしに、どちらでもいいだろう、つぶしがきけばいいだろうということで50年間続けてきた。それがまさにこういう事態になっていて、ロー・スクール構想というのが方々で打ち上げられておりますけれども、しかし、こういう構想の底にも私は安上がりという考え方が見えていて、改革に本当につながるんだろうかという心配をいたしております。

 端的に言えば、文部省主唱の大学院構想が出てきているわけですけれども安上がりなのです。大学も教えなさい、そして身分だけは大学院教授ということに格上げしましょう。大学院も教えなさいということなのですから、二つを一つの給料で教えさせようという、これぐらい安上がりなことはないのです。ですから、今の教育改革についてもこういう安上がりの思想から抜け切れないことを大変心配いたします。

 法学教育がそういう状態で50年経過したというのも、これは大学間に競争が全くなかったからです。これまた官僚支配になりますけれども、文部省が予算を配分する。少なくとも国立大学については予算を配る。私学については文部省はあまり考えていないわけですから、私学は御自由におやりなさいと言いながらいろんな規制をするということで、大学の創意、教育現場でやりたいことに金が付かないっていうシステムで50年やってきた。だから、こういうことになって、安上がりな法学教育を安上がりなままでやってきた。

 大阪人としてのコメントを最後に付け加えさせていただきますと、大学法学教育がなんぼのもんじゃと問われると、なんぼのもんでもない法学教育をやってきたのです。これは、反省いたします。

問題は、法曹養成にかかるコストを、誰が、どれだけ負担するかということだと思いますし、その前提として、「かかるコストは本当に適正なのか?」ということも、当然、問題になるでしょう。

その辺が曖昧なまま、見切り発車してしまった、ということも、現在のロースクールの抱える問題につながっているような気がします。

共同通信が編集局長ら処分 イラク日本人殺害事件で誤報 共同通信が編集局長ら処分 イラク日本人殺害事件で誤報を含むブックマーク 共同通信が編集局長ら処分 イラク日本人殺害事件で誤報のブックマークコメント

http://www.asahi.com/national/update/1108/009.html

なかなか厳しい処分だと思いますが、共同通信が、それだけ記事の正確性について厳しく臨んでいることがよくわかり、長い目で見れば信頼確保につながると思いました。

情報ネットワーク法学会・研究大会 情報ネットワーク法学会・研究大会を含むブックマーク 情報ネットワーク法学会・研究大会のブックマークコメント

http://d.hatena.ne.jp/catstar/20041106

詳しくまとめられており、大変ありがたいです。じっくりと読ませていただきます。

小倉小倉 2004/11/09 00:24 しかし、ファイルローグの場合、2のような体制を用意して待っていたのに、JASRAC等は一度も具体的な権利侵害申告を行わず、結果、mp3ファイルに関しては権利侵害が横行するという事態が生じたのです。レンタルサーバ業者やblog事業者が、同じように、権利侵害申告に誠実に対応する体制を取っていたとしても、権利被侵害者が「ある程度権利侵害がたまってから潰しにかかる」という政策をとったら、同じような悲劇を味わいかねないことになります。

yjochiyjochi 2004/11/09 09:48 「はてな」の場合であれば、規約違反行為を発見した利用者による通報を呼びかけ、削除等に至った場合はポイントをあげる、というのも一計じゃないかと思います。

yukattiyukatti 2004/11/09 13:23 はじめまして。「ノーティス・アンド・テイクダウン手続と責任回避」につきまして、2にあたるものとして既にはてなでも「はてな情報削除ガイドライン」http://d.hatena.ne.jp/keyword/%a4%cf%a4%c6%a4%ca%be%f0%ca%f3%ba%ef%bd%fc%a5%ac%a5%a4%a5%c9%a5%e9%a5%a4%a5%f3を整備してそれに則った連絡や送信停止措置等の手続きが行われていますが、この情報削除ガイドラインの手続きでもなお不備がある、とのご指摘でしょうか。また、はてなフォトライフ(http://f.hatena.ne.jp/)につきましても、はてなダイアリーと同様の観点から考えることが可能でしょうか。以上二点、ご教示下されば幸いです。

yjochiyjochi 2004/11/09 16:04 上記のガイドラインを見ましたが、特に問題ないと思いました。そのガイドラインに不備がある、という趣旨で言っているわけではありません。フォトライフは、サービスの中身を確認した上でコメントしたいと思いますので、少し時間を下さい。