著作者人格権に関するブログサービス提供者の考え方

私自身の勉強も兼ねて、ブログサービス提供者の考え方を見てみます(網羅的ではないことを予めお断りしておきます)。
まず、話題のライブドアブログ

http://blog.livedoor.jp/staff/archives/9413905.html

修正後(本日)

第8条 (ウェブログの公開について)
利用者が著作したウェブログとそれに付随するコメント及びトラックバックは当該ウェブログを著作した利用者に著作権が発生するものとします。但し、宣伝、利用促進、出版等を目的としウェブログサービスの著作物を使用する場合、利用者は弊社に対し、当該著作物を著作権法の規定に基づき無償利用することを期間無制限で非独占的に許諾し、かつ弊社及び弊社の指定する者に対し著作者人格権を行使しないものとします。

検討の結果、上記の通り修正をさせていただきました。

著作権についてはウェブログを著作した利用者に帰属しますので、その利用について弊社は制限をすることはありません。
また、著作者人格権の記述については、もちろん故意に著作者人格権を行使せざるを得ない行為(改悪など)を弊社が行うことはありませんが、例えば、文章を読みやすくするための編集などを行う際に都度確認をしないで済むようにする、などの効果を想定した上でこのような表記とさせていただきました。

上記のように修正されています。「宣伝、利用促進、出版等を目的としウェブログサービスの著作物を使用する場合」に限定が加えられたのが特徴です。ただ、気になるのは、「等」という言葉が入っていることでしょう。余談になりますが、起訴状の中で「等」とあると、「等」とは何かということで、検事と弁護士が丁々発止、延々とやりあうことがあります。意外な用途が将来持ち出されて、文句を言ったら、「等」に含まれますよ、と言われる可能性を、完全に排除はできない、という考え方は成り立ち得ます(法律家独特の意地悪な見方と言われるかもしれませんが)。
利用方法が、下記の他社のようには限定されていないのも、やや気になるところです。
より明確に限定して考えようという路線は、ニフティ

http://homepage.nifty.com/service/agreement.htm?info

第11条(ニフティによる利用)

ユーザーが作成したホームページに係る著作権は、原則ユーザーに帰属しますが、ニフティは、サービスの広告・宣伝、利用促進の目的に限り、メタデータ(RDF Site Summary形式など)で配信されたblog上の情報を、ニフティが管理・運営するWebサイトに掲載することが出来るものとします。

「サービスの広告・宣伝、利用促進の目的に限り」としており、ライブドアのように「等」といった曖昧な要素がないところに明確性と清々しさを感じます。利用方法も、「ニフティが管理・運営するWebサイトに掲載」と明確に限定されています。
メタデータ」とは、

http://www.atmarkit.co.jp/aig/01xml/metadata.html

ということですが、こういう表現を用いることで、単に「著作者人格権不行使」とするよりも、利用の範囲を限定、明確化しようということなのでしょう。よく考えられているという印象を受けます。
似ているが、やや規定ぶりが異なるのがBIGLOBE

http://webryblog.biglobe.ne.jp/guide/rule.html

利用形態に応じて規約が2通りあるようですが、「著作権」のところで、いずれも、

2 当社は、メンバーページについて、本サービスの宣伝または広告等を目的として、メンバーの承諾を得ることなく、メンバーページ上のサマリー情報を、当社のウェブサイト上で掲載する等自由に利用することができるものとします。

とされています。
「本サービスの宣伝または広告等を目的として」と、「等」が入っているところが、ライブドアブログと同じで、上記の疑問がそのままあてはまるでしょう。「自由に利用」の中に、著作者人格権不行使特約を読み込んでいると思われますが、「自由に」というところで、無限定な印象を強く利用者に与えるかもしれません。
利用方法についても、「当社のウェブサイト上で掲載する等」と、「等」が入っており、「等」の解釈によっては幅広くなるでしょう。
そういえば、小倉先生の新ブログはgooだったな、と思い出し、gooブログ利用規約

http://blog.goo.ne.jp/info/rules.html

を見ると、第10条(著作権)で

2.会員は、当社に対して、自己が投稿した記事及びコメントに関する著作者人格権を一切行使してはならないものとします。

となっています。うちはNTTグループだぞ、電話加入権だって廃止するし、著作者人格権も一切行使してはならないんだぞ、という感じでしょうか。小倉先生の著作者人格権についても、心配になってきます。ただ、小倉先生のブログは、一般のgooブログとはちょっと違うようではありますが。
利用方法については、第10条の1項で、

但し、会員は、本サイト及び当社が単独で若しくは第三者と共同で運営するその他のWEBサイトの運営の目的に限り、当社に対して対価の請求をすることなく、以下に定める権利を当社に対して許諾することを予め承諾します。

とされており、「限り」というところを見ると、一見、限定されているかのようですが、「本サイト及び当社が単独で若しくは第三者と共同で運営するその他のWEBサイトの運営」というと、相当広範囲にわたりますから、インターネット上なら、ほぼ何にでも利用できる、と言っても過言ではないと思います。
そして、これも話題の「はてな」。

http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20041116#1100578621

はてな利用規約改定版の中の8条(はてな財産権)1項内の著作人格権についてお問い合わせを頂きましたので、回答させて頂きます。

本条項の中で、

本サービスの提供、利用促進及び本サービスの広告・宣伝の目的のために、当社はユーザーが著作権保有する、本サービスへ送信された情報を無償かつ非独占的に本サイトに掲載することができるものとし、ユーザーはこれを許諾するものとします。この場合、ユーザーは当社に対して著作者人格権を行使しないものとします。

とさせて頂いておりますが、これは9月15日の日記にもご説明しました通り、RSSやアンテナ上のサマリー表示など、様々な形態ではてなサイト上に日記の内容の掲載を行うことを目的とするものです。

著作人格権の行使不可を謳うのではなく、用途を限定した条文にして欲しい、といったご意見を頂いておりますが、今後の機能追加において、例えば(未定ですがほんの一例です)キーワードを含む日記の該当部分前後を表示する機能など、様々な機能を今後も開発していきたいと考えております。こうした際に、ユーザーの皆様の同一性保持権や氏名表示権の非行使許諾を毎回得たり、あるいは利用規約の改定を行うといった作業が必要となれば、サービス開発のスピードを著しく阻害するものと考えております。

一方で、基本的にユーザーの皆様に著作権は帰属し、はてなのサイト上の掲載に限定して著作人格権を行使しない、という内容ですので、ユーザーの皆様の利益を大きく損なう内容ではないと考えております。

この条項はシステム的に自動処理を行い、内容が表示されることを想定しており、「書いてもいないことが表示されている」や「間違った作者名が表示されている」といった事は基本的に発生せず、はてなとしてもそれは「間違い」であると考えています。そうした場合にはご遠慮無くご意見を頂ければと思います。

目的の中で、利用促進及び本サービスの広告・宣伝(これは他社の限定理由と同様です)と並んで「本サービスの提供」が含まれていること(これは他社よりも広い)、利用方法が「本サイトに掲載」と限定されていること(ライブドアBIGLOBEよりは狭く、ニフティと同様)が特徴です。
こういう規定にしようとしている具体的な理由が、上記のように述べられています。
確かに、「はてな」のサービスには、他社とは違った独特なものがあり、ニフティのような限定をしてしまうと、今後のサービス展開の重大な制約になりかねない、という危惧があるのでしょう。
そういった点をきちんと説明しようという姿勢が見られることは評価できると思いますが、利用者の理解がどこまで得られるかは、何とも言えません。
このように見てくると、ネット上についてはほぼ無限定なのがgoo、限定度が弱いのが、BIGLOBEライブドアで、強いのがニフティ、他社とは違った観点で考えているのが「はてな」、といった状況になると思われます。
会社もいろいろ、ですね。

米国防総省が構築中の超高速ネットは「神の目」

http://www.zakzak.co.jp/top/2004_11/t2004111621.html

戦闘機や戦地に展開している米兵が持つ端末とスパイ衛星をつなぎ、「軍用車の中にいる海兵隊員が端末を開けて画像を要求すれば数秒で(画像を)得られる」(米空軍幹部)システムにする意向。
 推進者は、開発が行われれば米軍最強の武器になると強調。インターネットが社会に大きな変革をもたらしたように、軍に「ネット中心の戦争」への大きな変革がもたらされるとしている。

重宝を制する者は勝利する、ということでしょう。
ただ、得られた豊富な情報について、最終的な判断を下すのは、やはり人間であることも忘れるべきではないと思います。

スケープゴートにされた=野中氏に権限、橋本氏逃げた−村岡元長官、作り事と主張

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041117-00000136-jij-soci

公判で、派閥の内幕が暴露されるなど、いろいろな意味で注目される展開になりそうです。
こうなると、旧橋本派もいよいよ追いつめられた感じですね。他の派閥の草刈り場になる可能性もありそうです。