カラ残業で6300人処分 大阪市、大半は訓告や注意

http://www.asahi.com/national/update/0330/OSK200503300073.html

このうち将来の昇給などにかかわる懲戒処分は戒告の135人だけ。残る大半は文書訓告や口頭注意にとどまっており、身内に甘いとも指摘される同市の体質が浮き彫りになった形だ。

市の処分は、同委員会の調査報告を踏まえ、この両年度にカラ残業や超過勤務命令簿の虚偽記載が見つかった幹部や職員を対象とした。また、カラ残業の実態が確認できなかった場合でも、命令簿の記載ミスなど「不適正な事務処理」と認定されたケースは処分対象とされた。

故意に、残業していないのに残業したという虚偽申告を行った上、支出権者を欺いて残業手当の支給を受ければ、刑法上の詐欺罪が成立する可能性が極めて高いでしょう。なお、記載ミスなど、故意がない場合は詐欺罪は成立しません。
また、刑事訴訟法上、

第239条 
1 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

とされており、公務員が職務上知った犯罪行為については、告発義務があります。
上記のような処分は、刑法上、犯罪が成立する可能性が高い行為について、軽い処分でお茶を濁した上、刑事訴訟法上の告発義務も尽くさないという、非常に問題があるものだと思います。

日航機トラブル続出のウラ

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050330/mng_____tokuho__000.shtml

続出する日航のトラブルについて、分析されています。

日航は一九八五年八月の日航ジャンボ機墜落事故を受け、「絶対安全の確立」を第一に掲げた。しかし、整備部門などでは九三年以降、日航本体での整備士の採用を中止。それに代わって分社化や海外委託化などに伴い、ベテラン整備士が整備現場以外への転出を迫られたり、人手不足の中で過酷な勤務を強いられているのが現状という。

CMで人気女優を起用したりして、華やかに見せていますが、「飛行機の整備」という、安全確保上、最も重要な分野で、過酷なリストラが行われているようです。
他にも様々な問題点があることが、この記事でうかがわれます。
やはり、当面、日航は避けたほうがよいのかもしれません。

技術ない医師「トレーニングのため手術」 東京医大調査

http://www.asahi.com/national/update/0331/TKY200503300370.html

心臓血管外科の専門医であるこの医師について「基本的な知識や技術力が不足していた」とした。病院側に対しては「トレーニングのために手術経験を積ませた」と不十分な安全管理を指摘した。

「基本的な知識や技術力が不足している」医師が、「専門医」というのが、あきれます。患者を実験台にして「トレーニング」しようという病院に、かかった患者は救われないでしょう。
こういった劣悪な病院は、厚生労働省の権限により迅速に業務停止にしたり廃院にできるような制度の必要性を感じます。

<東名転落事故>ひき逃げ容疑で運転手数人を聴取

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050331-00000052-mai-soci

問題になっているのは、道路交通法のこの規定のはずです。

(交通事故の場合の措置)
第72条
1 車両等の交通による人の死傷又は物の損壊(以下「交通事故」という。)があつたときは、当該車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
(2項以下略)

実務上、よくある弁解(もちろん、真実の場合もありますが)は、「事故に気づかなかった」というものです。本当に事故を認識していない場合、あるいは、認識していたことについて証拠上合理的な疑いが残る場合は、上記の救護義務違反・報告義務違反には問えない、ということになります。
ただ、上記のような認識については、未必的(いろいろな定義がありますが、事故かもしれない、ということを、ある程度の蓋然性として認識していること、と言えるでしょう)なものも含む、というのが実務の取り扱いです。
このような問題点があるため、上記のニュースで、

人をはねた認識を含め、当時の状況について、事情を聴いている。

とあるように、警察は、客観的にはねたかどうかだけではなく、主観的にその事実を認識していたかどうかを慎重に捜査するということになります。
交通事故の際、上記の規定に違反すると、いわゆる「ひき逃げ」ということになり、犯情も悪くなって罪も重くなります。

捜査対象の男、自殺か 転落女児ひき逃げ 山梨で火災車両から遺体

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050331-00000036-san-soci

下記のニュースの続報です。
この件については、コメント欄でも問題点が指摘されていますが、

1 高速道路上で、避けようがない事故が起きてしまったこと
2 事故後の運転者の対応

を、区別して考える必要があるでしょう。
高速道路上で、他の車から人が転落することを予見してまで運転する注意義務はないはずで、今回の事故のように、通常はあり得ない状況が生じて、他車から転落した人をひいてしまう、ということは、避けがたく、そのこと自体について刑事責任(業務上過失致死傷罪)が問われることは、まずないでしょう。
ただ、そういった避けがたい事故が起きた場合に、避けがたかったからその場から逃げて良い、ということにはなりません。事故が起きた場合の対応については、下記の道路交通法の規定が求めていることを実行する必要があります。こういった規定が、無理なことを求めているということもないと思います(黙秘権との関係でも、最高裁で合憲という判例がでているはずです)。
おそらく、静岡県警も、上記のような事情はわきまえた上で、捜査にあたっているはずであり、気が動転するなどしてその場から逃げてしまった人も、自殺など考えず、冷静に対応してほしいと強く思います。