堀江被告保釈の可否判断、10日以上出ない異例の事態

http://www.asahi.com/national/update/0422/TKY200604210357.html

堀江前社長の弁護人は、過去2回にわたり保釈申請を東京地裁に出したが、棄却されたため、今月10日付で3回目の申請を出した。
担当裁判官は直後に検察側から意見を求め、弁護人とも面接したが、21日までに保釈の可否を判断していない。2回目の申請では2日後に棄却決定していた。
判断が遅れている理由について、関係者は「公判前整理手続きにもとづく東京地検の立証方針が近く出るので、それを判断材料にするとみられる」と指摘する。

確かに、通常の取り扱いとは異なるという意味では「異例」ですが、こういったことは時々起きるので、「特異」なケースではないと思います。
私の経験では、保釈請求後、検察官の追起訴が間もなく終了する、という状況になったため、追起訴終了まで保釈の判断を待ってもらったことがあります。追起訴未了、ということになると、保釈が却下される可能性が高く、また、保釈になっても再逮捕されて留置場に逆戻り、ということも起こり得るので、そういう取り扱いにしてもらいました。こういったことは、頻繁ではないと思いますが、時々はあります。
堀江被告人の件について、あくまで推測ですが、東京地裁14部(令状部)裁判官としては、現時点で判断すれば却下、と考えているのでしょう。そこで、どちらかというと弁護人側から、上記のような立証計画が検察から出るのを待ち、それを見た上で判断してほしいと求め、弁護人は、できるだけ争点を明確化し証拠についても同意できるものは同意して、却下の理由になる「罪証隠滅の恐れ」がない、あるいはあっても低い(したがって裁量保釈相当)、というところへ何とか持って行こうと調整しているのではないかと思います。
裁判所だけの都合で、ここまで保釈の判断が遅れるということは、実務上は考えにくいと思います。
あくまで「推測」です。

「ハルちゃん」(ラサール石井・脚本)

http://colore.tv/stage/haruchan/index.html

5月9日から、赤坂で公演予定ということで、準備が進んでいるそうですが、法廷が舞台となっている関係で、専門家の意見を聞きたい、という依頼が関係者の方からあり、他に適任者も見当たらない、ということでしたから、不肖ながら私がご協力することになりました。
公演会場は赤坂の便利な場所にあるようで、興味のある方は観に行ってみてください。

監視社会化が進む韓国

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/04/18/20060418000064.html

イさんが1日に外で過ごす時間は、通勤・帰宅時間と昼食時間の1時間ずつ。この「公式的」な3時間で、イさんが防犯カメラに撮影される回数は少なくとも35回だ。外を歩き回る時間の5分に1回は撮影されるという意味だ。駐車場を利用すれば撮影回数はさらに増える。

こういった状況は、日本でもますます進んでいると言えるでしょう。監視社会化は、今や、全世界的な傾向と言っても過言ではないと思います。

韓国情報振興院のチョン・ヨンス個人情報チーム長は、「先進国では防犯カメラの設置場所、内容の閲覧、本人の同意などに関する基本的原則を立てている」とし、「防犯カメラを犯罪発生時に限って閲覧できるようにするなど、プライバシーの侵害を防ぐためのきめ細かいルール作りが求められる」と述べた。

上記のような意味で、日本が「先進国」と言えるかどうかは、甚だ疑問ですね。
防犯カメラの有効性を否定するつもりはありませんし、うまく使えば犯罪防止や犯人検挙に役立つことももちろんですが、街、道路、津々浦々にカメラが張り巡らされた「超監視社会」が、我々の目指す社会なのか、ということは、常に考えて行く必要があるでしょう。

「東京地裁公判前整理手続適用第1号事件を体験して」(竹村眞史)

http://seihokyo.jp/421.pdf

竹村弁護士ご自身が、「本件は特殊事情もあり、一般化できない面もあるという前提で」と述べられているように、安易に一般化はできないと思いますが、この種の手続や裁判員制度に対する、安易な礼賛論に対しては、十分警鐘を鳴らす実態と言えるでしょう。
そもそも、日本の刑事司法は、「精密司法」と言われるように、微に入り細にわたって捜査を尽くして証拠を収集し、そのような捜査の結果を、職業裁判官が、これまた微に入り細にわたって検討する、という前提で組み立てられています。そこに、こういった、迅速そのものの手続が導入されれば、刑事専門で特定の事件にかかりきりになれるような、およそ日本ではあり得ない特殊な弁護士でもないと、とても、おつきあいはできない、ということになるのは必定です。
上記の事件の場合、裁判員は関与していませんが、ここに裁判員が関与することになれば、目の前を、ものすごいボリュームの証拠が次々と通り過ぎて行くような状態になり(新幹線のホームで、目の前を停車しない新幹線が猛スピードで通り過ぎて行く、というのが、イメージとしてはぴったりだと思います)、何が何だかわからないまま、裁判官との評議に入る、ということが、日本全国各地で続出しかねないでしょう。そういった状態の中で有罪になったり、無罪になったりした事件を、高裁が舌打ちしながら是正する、ということになりそうです。

追記:

ボツネタ経由で

http://humitsuki.exblog.jp/4452855/

を知りました。
読んで、なるほど、と思いましたが、その中で、

結局,専門家である裁判官が適宜議論をリードして論点を整理し,効率の良い評議を実現して行くしかないように思われる。そして,論点が分かりやすく提示されていさえすれば,それなりに常識に基づいた落ち着くべきところに落ち着く評議となるものと筆者は期待している。

とあるのは、「リード」、「整理」によっては、完全に裁判官主導、裁判員は「お飾り」になり、「落ち着くべきところ」は、「裁判官が落ち着くべきであると考えるところ」になるという、裁判員制度の形骸化につながりかねない危険性を示している(このブログの筆者にその意図がある、というわけではなく)と感じました。正に、そこが最高裁、法務・検察の「裏の目的」ということかもしれません。
単なる、しがない弁護士の勘ぐりですよ。>最高裁、法務・検察

飲酒検知器、誤作動は結露が原因・警察庁特定

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060421STXKF048721042006.html

この検知器は新型と旧型があり、旧型は構造上、新型よりも誤作動する可能性は低いという。

警察庁交通指導課の栗島明康課長は「取り締まりの際はいずれも本人が飲酒を認めている。顔色や歩行状況などを記した捜査資料もあり、大きな問題になる可能性は低いと考えている」としている。これまでに、摘発された人からの苦情などはないという。

「可能性は低い」と言っても、そういった可能性が存在する以上、この検知器は、刑事事件の証拠収集手段としては致命的な欠陥品でしょう。
酒を飲んでいれば有罪、というわけには行かない(一定以上のアルコールを体内に保有する必要がある)からこそ、わざわざ機械を使って飲酒検知をやっているわけで、大きな問題になる可能性が低いとか、これまでに苦情などはない、といったことで済むような問題ではありません。
この程度のレベルで警察庁の交通指導課長が務まるとは意外ですが、実際は深刻に問題視していて、世間を欺くために、上記のようなコメントを出している可能性もあるでしょう。

<学歴詐称>古賀元衆院議員の不起訴不当 福岡検察審が議決


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060422-00000068-mai-soci

検察審査会検察庁との間で、証拠評価に食い違いがあり、起訴相当、あるいは不起訴不当いう議決があっても、検察庁として有罪維持が困難であるという判断をする場合、現行法上、検察庁に起訴を強制することは困難であり、また、起訴される被告人の不利益、負担も考えると、そうすべき、とはなかなか言いにくい面もあると思います。
しかし、起訴猶予事案では、起訴すれば有罪になるだけの証拠は確保されていることを前提に、刑事訴訟法が規定する

第248条
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

の各要素が勘案されていて、そういった総合的な判断の中で、民意を代表する検察審査会が起訴相当、あるいは不起訴不当という議決に至った以上、民主的な基盤を持たない検察庁は、その判断を尊重し、原則として起訴する方向で臨む、という運用はあってよいと思います。

騒音おばさん 実刑 奈良地裁「再犯可能性高い」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060421-00000033-san-soci

3年の求刑に対し、判決は、実刑とはいえ1年で、3分の1になってしまいましたから、検察庁控訴の要否を検討することになるでしょう。
法曹関係者には広く知られた事実ですが、検察庁では、判決が求刑の半分(これが、「半分以上」ならセーフなのか、半分でも既に駄目なのかは、ちょっと記憶が曖昧です)になると、控訴の要否を検討することになっていて、検察庁内部で、公判担当検察官が資料作成や説明等に追われることになります。
この事件を通して感じるのは、こういった「近所迷惑事案」に対し、刑罰法令を駆使して処罰することにも限界があり、だからといって、「被害」を受けている側の肉体的、精神的苦痛にも多大なものがあって放置するわけにも行かず、しかし、新規に刑事罰を科すといっても限界がある、という、一種の八方塞がりのような状態です。
やはり、まず、第三者的な公的機関が被害者側の申立を受け、慎重に審査し、必要に応じて中止命令等を出し、それに従わない場合は刑事罰を科す、といった方法で臨むしかないのではないか(不服申立の手段も保障しつつ)と思いますし、そういった方向での法整備の必要性を感じます。

ブログのアクセス解析

私の場合、このブログの「アクセスレポート」という、管理者のみが見られるところで、時々、アクセスの状況を見ていますが、実際、ほとんど気にしていません。
アクセス数が今日は多いな、このエントリーのせいかな、とか、週末になると職場から見る人が減るせいか、平日より少ないか、とか、そういう見方をしている程度です。
リンク元をたどると、ブログで取り上げた話題や自分のエントリーにに関するコメントがあったりして、そういうものを読むと、参考になる場合が多いです。そういう役立て方をしています。
最近、「ブログランキング」といったものが増えていて、そういったところに登録してアクセス数を競う、といった人も多いようですが、私の場合、そういう競争にも興味はないので、一切登録はしていません(競争するのが悪いと思っているわけではなく、好みの問題です)。
確かに、ブログをはじめて間がない頃は、アクセス数が気になるもので、私も、当初はやや気になっていたこともありましたが、気にするときりがなくなるので、あまり気にせず、参考程度にとどめ、マイペース、というのが、長続きするコツではないかと思います。

東京に来て驚いてしまったことランキング

http://ranking.goo.ne.jp/ranking/051ki/surprised_tokyo/&f=news&LID=news

私自身、高校までは広島で生まれ育ち、大学生になって東京で生活するようになったので、このランキングにあがっていることには、納得できるものがあります。
11位の「夜なのに明るい」というのは、実感として非常によくわかります。時々、広島の実家に帰ると、「夜というのは、このように真っ暗なものなんだな」と、しみじみと感じます。