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弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 日々是好日 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2007-05-29

[][]音楽保存サービス ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁(続) 12:21 音楽保存サービス ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁(続) を含むブックマーク 音楽保存サービス ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁(続) のブックマークコメント

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070527#1180196927

コメントした事件ですが、判決文が

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070528141551.pdf

で紹介されていたので、読んでみました。

感想(「解説」ではなく)は、おって、本ブログで書いておきたいと思っていますが、結論として言うと、本件の具体的なサービス内容(利用者が音源データアップロード携帯電話ダウンロードできるという一体としてのサービス)に即して、サービス運営者が音楽著作権の複製の主体であり、かつ、自動公衆送信を行っているのもの、と判断されていて、ストレージサービス全般(一般的には上記のようなサービスではなく単に「預かっている」に過ぎず、複製の主体は各利用者で、自動公衆送信も行われない)において、利用者が著作物を無許諾でアップロードすることが全面的に違法と判断された、と見るのは、行き過ぎた(換言すれば誤った)見方ではないか、と思いました。

追記:

今後、私のような著作権法を専門としない者ではない、より適切な方々による評釈等が出ると思いますので、とりあえずの感想ということで。

問題点としては、

1 問題となっているサービスにおける音楽著作権複製の主体は誰か

2 サービス運営者が「自動公衆送信」を行っていると言えるか

に大別されると思われます。

まず、1ですが、これについては、サービスの具体的内容というものを、まず見ておく必要があります。これについては、判決文でも詳細に認定されていますが、

原告との間で会員登録を済ませたユーザは、原告の提供する本件ユーザソフトパソコンインストールし、これを用いて楽曲の音源データ携帯電話で利用できるファイル形式に変換して本件サーバアップロードし、これを携帯電話ダウンロードする。

このように、本件サービスは、楽曲の音源データを本件サーバから携帯電話インターネット回線を経由してダウンロードし、ユーザ携帯電話でいつでもどこでも音楽を楽しめることを目的としている。

判決書18ページ)

とされています。

そして、判決では、複製行為が行われること自体は争いがない、とした上で、その主体について、サービスが有償であることや、本件サーバにおける複製は、音源データバックアップなどとして、ファイルを単に保存すること自体に意味があるのではなく、最終的な携帯電話での音源データ利用に向けられ、本件サーバストレージが、利用者のパソコン携帯電話を「中継」する役割を果たしていること(しかも、このような作業を個人で行うのは技術的に相当困難)、運営者がサーバ等の装置一式を所有、管理し、利用者は運営者が設計したシステムに従って利用するかしないかの選択しかできず、複製行為は、あくまで運営者の管理下にあるサーバにおいて行われていることなどを指摘し、複製の主体を利用者ではなく運営者であると断定しています。

このような判断については、当然、異論もあるところですが、裁判所の判断にあたっては、上記で引用したようなサービスの特質がかなり重視されていることは明らかであり(27ページで「本件サーバにおける複製は、音源データバックアップなどとして、ファイルを単に保存すること自体に意味があるのではなく」と強調されています)、ストレージサービス全般を念頭に置いたものではなく、問題となっているサービスの特質に注目している、ということを見逃すべきではないでしょう。

したがって、ストレージサービス全般において、利用者が著作物を無許諾でアップロードすることが全面的に違法と判断された、と見るべきではなく、その種のサービスにおいて、通常、複製行為の主体は各利用者であって、私的使用のための複製(著作権法30条1項)の範囲内であれば、権利者の許諾がなくても違法にはならない、と見るべきでしょう。

次に、2の自動公衆送信の問題ですが、サービスの流れの中で、サーバから利用者の携帯電話ファイルダウンロードされる点が、運営者が主体となった自動公衆送信と言えるかどうかについて、判決はこれを肯定しています。

「主体」性については、上記のような複製行為の主体の認定とパラレル理屈になっていますが、このような行為(特定の利用者がアップロードしたファイルは、その特定の利用者しかダウンロードできない仕組みになっている)が「自動公衆送信」と言える、ということについて、判決は、このサービスが、インターネット接続環境にあるパソコン携帯電話を有する利用者が所定の会員登録を済ませれば誰でも利用でき、運営者側が利用者を予め選別、選択できないことを指摘した上で、

「公衆」とは、不特定の者又は特定多数の者をいうものであるところ(著作権法2条5項参照)、ユーザは、その意味において、本件サーバを設置する原告にとって不特定の者というべきである。

判決書34ページ)

と断定し、ファイル携帯電話へのダウンロードが、「公衆たるユーザからの求めに応じ、ユーザによって直接受信されることを目的として自動的に行われる」(判決書34ページ)「自動公衆送信」に該当する、とされています。

この点については、本ブログコメント欄でも、また、町村教授ブログ

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2007/05/jugement_ed2a.html

でも疑問が呈されていますが、常識的な見地に立った場合、特定の利用者がアップロードしたファイルは、その特定の利用者しかダウンロードできない仕組みになっているにもかかわらず、上記のような理屈で、「ユーザは、その意味において、本件サーバを設置する原告にとって不特定の者というべきである。」と言ってしまって本当に良いのか、という問題は当然生じます。

私自身は、判決の理論は、やはり、おかしいのではないかと思っています。最近、購入した最新の

著作権法 第3版

著作権法 第3版

では(38、39ページ)、公衆送信権が新設された経緯について、その元となったWIPO著作権条約が、8条で、著作物の「公衆への伝達」(communication to the public)許諾に関する排他的権利が存することを定め、その権利の中に「公衆の構成員が個々に望んだ場所から、望んだ時にアクセスできるように、著作物を公衆に利用可能な状態にすること(the making available to the public)を含む旨定めたことが解説されています。このような立法趣旨や、

communication to the public

the making available to the public

の字義を考えたとき、本件のような「特定の利用者がアップロードしたファイルは、その特定の利用者しかダウンロードできない仕組み」は含まない(to the publicではない)、と解するのが、自然かつ合理的であると考えます。

判決論理は、上記のような特質を無視し、伝達される情報というものを「伝達される情報全体」と捉え、伝達される対象が「不特定」だから公衆へ向けて送信される、という誤った論理に立脚しているとしか思えません。

複製行為の主体に関する判断は、最近、本ブログでも

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070331#1175269522

コメントした過去の事件に関する裁判所の判断に照らし、やむをえないものではないか、という印象を受けますが、ストレージサービス全般に適用されるものではなく、また、自動公衆送信であることを肯定した判断には問題があり、今後、上級審における更なる検討を強く期待したいというのが、私の感想です。

[]全日空、懸念される乗客離れ=システム障害、直接損失は数億円か 01:27 全日空、懸念される乗客離れ=システム障害、直接損失は数億円かを含むブックマーク 全日空、懸念される乗客離れ=システム障害、直接損失は数億円かのブックマークコメント

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000142-jij-biz

JALは危ないから乗りたくない、ANAもシステム不具合で多大な迷惑をかけるから乗れない、ということになると、乗る飛行機がなくなってしまい、困ります。

一利用者としては、どちらにも安全、確実に運行してもらい、競争により運賃を下げ、サービスを向上させてほしい、という、ただそれだけを願うばかりです。

[]<富山冤罪事件>「取調官恨まない」地検が男性から調書 00:58 <富山冤罪事件>「取調官恨まない」地検が男性から調書を含むブックマーク <富山冤罪事件>「取調官恨まない」地検が男性から調書のブックマークコメント

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000095-mai-soci

弁護団によると、その後の同24日、男性は富山地検で、検察官から無罪を証明するための調書を取ると説明を受けた。検察官は県警の捜査員や同地検支部の副検事の実名を挙げ、男性に「恨むか、恨まないか」と質問。男性は無実の強姦事件で取り調べを受けた際の威圧的な態度を思い出し、「恨みません」と答えた。検察官は、その言葉を盛り込んだ調書を朗読し、男性は調書に押印、署名したという。

国家賠償請求を意識し、そういった事態にならないようにしたいという思惑があって、上記のようなやり取りになった可能性はあるでしょう。しかし、そういったやり取りで済んでしまうような底の浅い問題ではそもそもなく、また、新たな不信感を生んだという意味でも、適切な取り調べであったとは思えないものがあります。

取調べの能力というものは、人間としての全人格的な能力であり、そういった能力が、検察組織全体として、徐々に低下していることの現れかもしれません。

[]「国民におわび」と遺書 松岡農相、宿舎机に直筆で 00:39 「国民におわび」と遺書 松岡農相、宿舎机に直筆でを含むブックマーク 「国民におわび」と遺書 松岡農相、宿舎机に直筆でのブックマークコメント

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007052801000925.html

便せん1通には「国民の皆さま、後援会の皆さま」あてに「ご迷惑をかけおわび申しあげます」と記されていた。

私は、多くの国民と同様に、松岡農水相に対しては批判的な見方をしていましたし、自殺により種々の問題が解決されるとも思っていませんが、上記のような遺書、このような遺書をしたためた上で自ら死を選んだ松岡農水相心中、残されたご家族の気持ちを思うと、このような重大な、取り返しがつかない事態に至る前に、何とか回避する方法はなかったものか、と思わずにはいられません。

松岡農相自殺>首相の擁護裏目 参院選に影響必至

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000118-mai-pol

hirono_hidekihirono_hideki 2007/05/29 01:40 恨むとか恨まないというのも、おかしな質問ですね。二者択一の問い掛けだったんでしょうか。恨むというのも極端な表現ですし、心情を逆なでしそうです。年金問題の、「救済措置」と同様、言葉を間違えているという気がします。
 報道を見ると、国賠にあてがうのも税金だし、感覚そのものがずれている印象がありますが、真摯に本音を聞いておこうという、姿勢であれば、あるいは好意的な配慮だったのかもしれません。

hirono_hidekihirono_hideki 2007/05/29 02:26 国賠というのも行政訴訟の一種なんでしょうか。日曜日の午前の番組で、マスコミが行政訴訟にも裁判員を導入すべきと言っていましたが、国を相手にした敗訴率がおよそ9割だとか。
 ところで、20年の時効というのは「ジョセキ」期間で、時効とは別の問題と言うことになるように思われるのですが、弁護士も含め、その点は全く触れておらず、国民に誤解を与えそうな。
 変更されたのかしりませんが、不法行為の時効は本来3年だったのでは。例外措置としての主張というのも聞いたことがなく、どうなっているのやら改めて疑問に感じました。
 乱訴による財政破綻を防止するための思惑もありそうですが、不当なしわよせとかもありそうですね。
 真の冤罪というのも捜査を含め、時間と税金の無駄遣いでしょうし。現職大臣が自殺をするような何が起こるかわからない、世の中なので、そのうち夕張市みたいになるんでしょうか。
 「金と政治にまつわる疑惑」がキャッチフレーズみたいでしたね。列島が談合の嵐で、これも税金や利権に絡むんでしょうね。
 検察が動かなければ、平穏無事だったのかもしれませんが。これも税金で動いているんでしょうね。それだけ不正な蓄財が蔓延っているということなんでしょうか。
 全人格的能力に問題の生じつつある組織という見方もあるようですが、現職大臣が税金の無駄遣いの象徴のような悪名高い宿舎で、自殺されたのですね。
 5000万件(確かこんな数字だったとおもいますが)の入力ミスとか、報道自体がにわかに信じがたいフィクションを見ているようです。
 「国民の皆様にお詫びします。」はわかりますが、「そっとしておいてください。」というのはいかがなものか。「死者に鞭を打つわけにもいかないでしょうが。
 公職、なかでも大臣だった立場を考えると、割り切れなさが残りますね。
 富山地検の対応と比較して考えてしまいます。腫れ物に触る、触らないよりは、問題に真摯に向き合った姿勢だった気もしますし。

66の者66の者 2007/05/30 05:39 >ストレージの判決
こんなの、アメリカだったらFair Useで簡単にOkになるんでしょうけどね。
Googleとかのキャッシュや画像検索とかだって、今は誰も疑わないけど、あのサービスがもし日本で始まったら著作権侵害で止められていたでしょうし。。。
裁判所もいつまでも「プロパテント」ならぬ「プロコピライト」にとらわれることなく、柔軟な解釈をすべき時期にきているかと思うのです。

B 2007/05/30 07:47 ボツネタでのストレージの判決の取り扱いが興味深いですね。
裁判官としてはあれがぎりぎりのところなのでしょう。。。。

bn2islanderbn2islander 2007/05/30 23:36 入会も退会も自由なサービスですから、会員は果たして特定と言えるのかなと思わないでもないです。仮に特定であったとしても、特定多数な訳ですので、公衆送信に該当するのが自然なのかなと思います。