時津風事件、初公判で兄弟子暴行認め「親方の指示」主張へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081005-00000004-yom-soci

検察側は、2日間にわたった一連の暴力は制裁的な意味があり、被告らは違法な暴行だと認識していたと主張する。3被告はこの点は争わず、「親方の指示に従ってけいこのつもりで始めたが、徐々に暴行に変わった」などとし、量刑に影響する情状面でくみ取るよう求める方針だ。
共謀時期について、検察側は、親方が暴行1日目に「教えてやれ」と声をかけた時点とする見通し。弁護側は、一連の暴行が行われる中で、徐々に共謀が成立していったが、3被告は絶対服従の立場で、親方と比べ責任は比較的軽いと強調すると見られる。

こういった争い方が本当にされるのであれば、傷害致死罪の成立や共犯としての刑事責任があることは認める、ということになり、情状面に重きを置いた進め方になると同時に、完全否認のままと思われる「親方」の責任を強調するということで、親方側には苦しい展開になる可能性が高いでしょう。
相撲部屋における傷害致死事件という特異な事件であり、公判の行方にはかなり注目が集まることは確実です。

暴力団「法の抜け穴勉強会」 対策法改正で3大組織

http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY200810040182.html

警察庁幹部は「解説書は弁護士など法律の専門家が書いたとしか思えない」と指摘する。
暴力団捜査に携わる警察幹部は「暴力団は代表者への損害賠償請求を一番恐れているのだろう」とみる。勉強会開催の動きは、法改正による締め付け効果が一定程度表れている証拠とみることができる一方、代表者への賠償請求を巧みに避ける方策や、実質的には同じ「出所祝い」なのに、別の名目にして金品を渡すなど、法の抜け穴を探すための勉強会の可能性があると見ているという。

私はそういったジャンルの弁護士ではありませんが、そういった世界に頼りにされている弁護士、という人々はいるので、そのような弁護士に相談したり、資料を作ってもらっていることは確実でしょう。
上記のような脱法行為といったことは、今後、確実に出現することが予想され、警察との間で熾烈ないたちごっこが続くことも確実であると思います。世に組織暴力の種はつきまじ、ということでしょう。

容疑者Xの献身

http://yougisha-x.com/

早速、観てきました。映画の舞台になっている場所が、前に私の書斎兼物置があった場所のすぐ近くで、懐かしさを感じました。
ストーリー、特に明かされた真相については、新味は感じず、私のような仕事をしている者としては、いろいろと突っ込みたくなるような衝動を感じましたが、むしろ、この映画の良さは、情感豊かに、人間の情の機微が丁寧に描かれていることではないか、と思いました。その意味では、この映画は成功していると評価できると言え、主題歌も、そういった映画の性格にうまく合っているのではないか、という印象を受けました。
真実が解明されるということは、多くの場合、関係者を幸福にはしない、ということを、改めてしみじみと感じました。

<個室ビデオ店放火>「自殺するつもり」…接見で動機語る

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081004-00000111-mai-soci

容疑者は、放火の動機と当時の行動について「自分としては1人で死ぬつもりだった。でも、煙で苦しくて、我慢できなくなり部屋から出てしまった」と明かした。火の燃え方は「予想外だった」と言い、25人が死傷する大惨事になったことについては「思ってもみなかった。ビデオ店を出て、救急車や消防車を見た時、えらいことになったと思った」と振り返った。

この種の建物への放火事件では、殺人罪まで認定できるかどうか微妙な場合が多く、起訴できない、とうケースも少なからず出てくる傾向があります。
以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060630#1151621315

とコメントしたことがありますが、上記の事件の場合、殺人までの動機が認定できるかどうか、個室ビデオ店の構造上、中にいる人々が出火に気づくのが遅れたり気づいても逃げ遅れる可能性、といったことを被疑者がどこまで認識、認容していたかどうか等の事情を、殺人罪認定の上でどのように評価するか、ということが問題になりそうです。
最近、

<障害者施設放火>所有者の女を起訴 「殺人」は見送り
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081003-00000146-mai-soci

という

被告は6月2日午前2時過ぎ、7人が入居する同施設の1階物置で熱した炭を新聞紙の上に置いて放火し、施設と隣の民家計2棟を全焼させた。地検は入居者とのトラブルが主な動機とみている。この火事で2階に住む3人が亡くなった。

「入居者とのトラブルが主な動機」という点では、殺人の動機がより強く認められ得る事件で、

殺人罪について地検は▽動機に殺意があったか疑問▽事件直後に自ら119番している−−ことを重視、不起訴処分とした。

という処理結果になっていて、この種事件における殺人罪認定の難しさを浮き彫りにしているという印象を受けました。