講談社などに4290万円賠償命令 大相撲八百長報道

http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY200903260260.html

横綱朝青龍ら力士30人と日本相撲協会が約6億2千万円を求めていた。判決は、力士全員と協会への賠償を命令。最高額は「八百長を頻繁にしていた」と報じられた朝青龍の1100万円で、協会は660万円だった。
八百長疑惑報道をめぐって同社側が名誉棄損を認定されたのは、北の湖親方が原告となった訴訟の判決(今月5日)に続いて2件目。今回の判決の賠償額は、雑誌の記事をめぐる名誉棄損訴訟で命じられた賠償総額としては過去最高とみられる。

原告が複数であったことによる面があるとはいえ認容額が多額で、この種事件における賠償額の高額化の流れの中で、今後、かなり注目を浴び続けるケースになりそうです。
雑誌が売れない中、こういった高額賠償を命じられるようでは、出版社としても、雑誌出版の在り方自体を大きく見直さないと、様々な形で追い込まれて行くだけということになりかねないでしょう。

法務局など人権侵犯調査 「ネットで」過去最多

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090327-00000128-san-soci

同省によると、20年に新たに人権救済手続きを始め、調査した総件数は2万1412件で、前年より減少。しかし、ネット上の人権侵犯は約100件増加し、比較可能な統計のある17年以後最多となった。
内訳では、ネット上に他人の氏名や電話番号を暴露するプライバシー侵害が238件、「異性関係がだらしない」などと書き込んだ「名誉棄損」が176件。この2つで、全体の8割を占める。75件についてプロバイダーに削除要請をしたが、16件は拒否されたという。

今日も、先ほどまで、事務所でこの種事案について打ち合わせを行っていましたが、その間に、以前に同種案件で相談を受けたことがある別の方から電話があり、私自身も、インターネットを使った誹謗中傷事案の多さを実感しているような状況です。
相談を受ける中で、警察への告訴状提出を行う場合もありますが、どの警察も、こういった事案に関する相談が多いせいか、相談を受けることを嫌がる場合が少なくなく、刑事事件にある程度慣れた弁護士に対してですらそうですから、一般の人が被害相談をしようとしても、かなり難航する場合が多いことが容易に推測されます。
インターネットがない時代が、ふと懐かしくなることもありますが、何とかこの状況を乗り越えて行くしかないでしょう。

国松長官銃撃、現場遺留品からオウム元信者のDNA

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090327-OYT1T00054.htm

同庁関係者によると、東京・荒川区の現場マンションの植え込みで銃撃事件の直後に見つかった韓国の10ウォン硬貨について、表面に付着していた人間の皮脂などのDNAを鑑定した結果、教団の「建設省」という部門に所属していた元信者のミトコンドリアDNAと一致したことが判明した。この植え込みの近くに銃撃した実行犯が潜んでいたとみられ、北朝鮮の人民軍バッジも発見されている。

国松長官銃撃事件を巡っては、2004年7月、警視庁が、教団の信者だった同庁の元巡査長(43)ら4人を、実行犯を特定しないまま殺人未遂容疑などで逮捕したが、東京地検は元巡査長の供述があいまいだとして4人を不起訴(嫌疑不十分)とした。同庁はこの際、元信者や早川被告についても任意で事情聴取したが、2人は「現場には行っていない」と関与を全面的に否定したという。

上記の「元信者」が、本件に何らかの形で関与していたのかもしれない、程度の嫌疑は生じても、実行犯が特定できていない上、上記の「韓国の10ウォン硬貨」が実行犯なり共犯者によって遺留されたかどうかも不明で、強制捜査で一気に解明、起訴というところまで持って行くには程遠い、という印象を受けますね。
時効まであと1年になり、警察当局が、我々の捜査方針、方向性は間違っていなかった、ということをアピールしつつ時効を迎えるための地ならし、そのためのリークに基づく記事、と見るのはうがちすぎでしょうか。

刑事訴訟法(安冨潔)

刑事訴訟法

刑事訴訟法

著者の安冨先生とは、何度かお会いしたことがあり、ご指導を受けたこともありますが、1冊贈っていただきました。ありがとうございました。
本の帯に「初学者でも読める 実務家でも使える」とあって、本当かな?と思いつつざっと目を通してみましたが、確かに、基本的なところと専門性が高いところがうまく書き分けてあって、読みやすさ、わかりやすさといったことに対する配慮が、かなり成功しているという印象を受けました。
著者には、

ハイテク犯罪と刑事手続 (慶応義塾大学法学研究会叢書)

ハイテク犯罪と刑事手続 (慶応義塾大学法学研究会叢書)

といった著書もありますが、そのあたりの成果は、通信傍受令状や電磁的記録の捜索・差押えについて、独立した節を設けて丁寧に説明されているところにも反映されていると思いました。
なかなかのボリュームがあって、特に初学者には読むのに骨が折れる思いがする人が少なくないかもしれませんが、こういった良書を読み込んで行くことで、刑事訴訟法、刑事手続といったことについて重厚に勉強しておけば、法曹になっても自信を持って仕事ができるのではないか、という印象を受けるものがありました。