気骨の判事ドラマ化 福井市出身 吉田久裁判官

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2009081402000164.html

この裁判官は、吉田久(一八八四〜一九七一年)。福井市佐佳枝上町(現在の市中心部に当たる)に生まれ、小学校中退後に福井地方裁判所ででっち奉公をしていたことがきっかけで裁判官を志した。東京法学院(現中央大)で学んだ後に検事となり、二十六歳で裁判官に転向。現在の最高裁に当たる大審院判事を務めた。一九四五(昭和二十)年、当時裁判長だった吉田は「翼賛選挙」に対し「鹿児島二区の選挙は無効」とする判決を下した。
ドラマのタイトルは「気骨の判決」。NHK現役記者の清永聡さんが書いた新潮新書発刊の同名の著作が原案になっている。ドラマでは、俳優の小林薫さんが東条英機内閣と戦った吉田役を熱演。当時の時代背景なども織り交ぜながら、判決にたどり着くまでの吉田の生き様を描いている。

原作の

気骨の判決―東條英機と闘った裁判官 (新潮新書)

気骨の判決―東條英機と闘った裁判官 (新潮新書)

は、昨年、読んで

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080816#1218846927

とコメントしたことがあります。
ドラマも、先ほど、録画しておいたものを観ましたが、

http://www.nhk.or.jp/nagoya/kikotsu/

原作よりも、さらに内容が深められていて、かなり見ごたえがあるものになっていたと思います。戦時中に、翼賛政治に抗することは、生命の危険を現実に生じさせかねないことであり、そういう中で、信念に基づいて出されたこの判決は、正に「気骨の」判決と言え、日本の司法史上、高い価値のある判決と改めて感じ入りました。

裁判員裁判ならどうなる 長期の公判、多大な負担

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090817-00000024-san-soci

今回の事件は今年5月の裁判員制度施行前に起訴された。しかし、もし裁判員裁判で行われていれば、裁判員は5カ月間にわたり週2〜3回のペースで出廷しなければならず、多大な負担を強いるのは必至だ。
裁判員法は、複数の事件で起訴された被告の場合などに、審理の期間や内容に応じて審理を分割する「区分審理」もできると定めている。事件ごとに裁判員を選んで部分判決を積み重ね、最後に量刑を判断するため、裁判員の負担は軽減されるが、個々の起訴事実が互いに状況証拠となる今回のようなケースで適用されるかは不透明だ。

裁判員裁判が暗礁に乗り上げ頓挫する可能性が最も高いのは、こういった、公判が長期化するケースでしょうね。多くの裁判員候補者は、上記の記事にあるような負担に耐えられず、裁判員選定がそもそも困難になる可能性が高い上、一旦、何とか裁判員を選任して公判が始まっても、次々と裁判員が脱落し(生活への負担に耐えられないとか、事案が複雑でとてもついて行けないなど)、補充裁判員による対応も困難になるといったことが起きてくることは十分あり得るのではないかと思います。
そのような長期公判になった場合、期日の間隔をできる限り詰めて入れることで、特に、弁護人の負担が耐えがたいものになる可能性も高く、健康を損ね、最悪の場合、死んでしまったり、事務所経営が立ち行かなくなり経済的に行き詰まるなどの、悲惨なケースが出てくることも、オーバーな話ではなく十分考えられます。
深刻な問題を抱えた制度が始まってしまったということを、改めて強く感じます。