大阪中之島合同庁舎訪問

昨日は、winny控訴審無罪判決を聞いた後、大阪高検・地検がある大阪中之島合同庁舎を訪問し、ある方(本ブログにもちらっと登場したことあり)とお会いしてきました。winnyやその他の事件とは何の関係もなく、午後に帰京するまでに時間がとれたため、訪問したものでした。

http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/osaka/osaka.shtml

私は東京の弁護士なので、東京地検へ行くことはよくありますが、大阪中之島合同庁舎の中へ入るのは初めてでした。内部は最新のオフィスビルという感じで、広々としていて、私もこのようなところで仕事がしてみたかったと思わせるものがありました。最上階まで上がりそこから周囲の風景を見せていただきましたが、素晴らしい眺めでした。
昔の大阪高検・地検の建物には何度か行ったことがあるはずですがどうしても思い出すことができず、それだけ、現在の大阪中之島合同庁舎のイメージが強烈であったということかもしれません。
歓待していただいたことを感謝しつつ、今後、仕事でここに来ることもあるかもしれない、と思いつつ、大阪中之島合同庁舎を後にしました。

「無罪主張悪あがき」NHK記者、ウィニー開発者に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091008-00001413-yom-soci

弁護団事務局長の壇俊光弁護士によると、手紙は1審公判中の2005年、当時、NHK京都放送局に勤務していた20代の記者から送られた。内容は、「弁護側が的外れな見解を繰り返している」と弁護方針を批判した上、「インタビューに応じて動機を正直に話せば、世間の納得は得られる」と求めていた。壇弁護士は6日付の自身のブログでこの経緯を明らかにし、「露骨な弁護妨害」と批判した。

昨日、大阪中之島合同庁舎を訪問した際、ある方との話の中でもちらっと出たのですが、東京型の捜査・弁護と大阪型の捜査・弁護はスタイルが異なり、上記の記事で出てくるNHKの記者は、そのことがわかっていなかったのではないか、という印象も受けました。
東京型の捜査・弁護というのは、良くも悪くもスマートな面があり、ポイントを突きそれに従っててきぱきと進められる傾向があります。特に捜査にはその傾向が強いでしょう。大量の事件を迅速に処理する必要に常に迫られている中で、余計なことはしない、無駄を省くという傾向があります。
それに対して、大阪型の捜査・弁護は、無駄を省く、合理的に進める、といったことは、まったく考えないわけではないが、むしろ時間をかけ丹念に、徹底的に問題点をつぶして行くという傾向があるように思います。関西の風土や関西人の性格というものもかなり影響している面があるでしょう。東京よりは事件数が少なく1つ1つの事件に時間がかけられる、ということもあると思います。
そういった風土の中で、以前、本ブログでもコメントしたことがある

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080217#1203177756

の故・別所氏(元大阪高検検事長)のように、過去には、捜査に時間がかかるのは当然、と未済事件を厭わないという、東京型ではあり得ない決裁官というものも出てきていたということも言えるでしょう(さすがに現在は関西でもそういう決裁官はいないと思いますが)。
winny弁護団は、大阪型の弁護活動を展開していた側面があり、確かに、東京型の観点から見ると、それは不要ではないかとか、もっと別の表現があるのではないかと思われる面がなかったわけではありませんが、問題点を徹底的につぶし、京都府警、京都地検大阪高検が繰り出す「ミサイル」に、数千、数万、数十万の「竹槍」を繰り出すことで対抗し、最終的に裁判所の理解を得て、所期の目的を達成することができたと言えるでしょう。
今回の無罪判決は、上記のような関西特有の風土の中で、大阪型の弁護活動が奏功したケースということも言えるのでないかと私は考えています。