売ったニセ通帳からの引き出しは窃盗罪に当たらない!?

http://www.chosunonline.com/news/20091226000029

韓国での話です。

大法院は判決理由について、「いわゆるニセ通帳の名義人であるK被告が金を引き出そうとしても、これは自分名義の銀行口座を利用したものと見なすべきであり、口座を開設した銀行の意思に反しているとは考えられないため、窃盗行為には当たらないとした下級審の判決は妥当だ」と述べた。

K被告は今年初め、インターネットを通じ10万ウォン(約7700円)を受け取り、自分名義の通帳18冊を売った。
数日後、K被告は売った通帳に3000万ウォン(約230万円)が振り込まれた事実を知り、銀行で通帳の再発行を依頼して金を引き出そうとし、その場で逮捕された。

日本で同種の事件が起きたら、おそらく詐欺(未遂)罪か窃盗(未遂)罪(ATMの場合)が適用され、起訴されれば有罪になるでしょうね。
この種の行為に詐欺罪や窃盗罪を適用する場合、確かに、上記の記事にある韓国の大法院が指摘するように、口座を開設した銀行の意思に反していたのか、ということが問題になり得ますが、実際の意思というよりも、規範的に考えた、一種の評価として捉えている傾向が強いように思います。
ただ、財産犯というものを考える上で、こういった規範的な評価というものをどこまで推し進めてよいかという問題は常にあり、安易に拡大されすぎると罪刑法定主義を没却することにもなりかねず、なかなか難しい問題ではあります。

裁判員「忌避」頻繁に、趣旨と違って法廷戦術

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091226-00000559-yom-soci

最高裁によると、8〜10月に判決のあった46件で忌避された候補者は229人。選任手続きに出席した人の13%に上り、1件当たり約5人に達した。ある刑事裁判官は「予想より多い。本来の趣旨に反して戦略的に使われている面もあるのではないか」と話す。

アメリカの陪審裁判の場合、当事者が、いかに自分にとって有利な陪審員の構成にするか腐心するということはよくあることで、そのために陪審コンサルタントという仕事まで存在するようですから、日本の裁判員制度で、理由を示さない不選任が様々な思惑から利用されることは不可避でしょうね。
そもそも、裁判員制度がはじまり何が起きているかと言えば、派手なパフォーマンス、お涙頂戴の論告、弁論、裁判員の感情に動かされての恣意的な判断等々で、こういったものに「国民の感覚が反映された」とマスコミ的な礼賛をしておきながら、理由を示さない不選任を「本来の趣旨に反する」などと問題視する感覚が理解できません。裁判員制度というものは、本質的に、当事者が素人である裁判員をだまし、口車に乗せるなどして有利な判断を引き出すために利用されかねない、裁判というものをゲーム化、ギャンブル化する危険な制度であり、理由を示さない不選任をこのように問題にするのであれば、制度自体を問題にすべきでしょう。
裁判員制度の本質的な問題点をお座なりにして、単に表面的にしか見られない人間が記事を書くとこうなる、こういうところに落ち込んで行く、という、一種の見本のような記事という印象を受けます。

ゲレンデの主役、若者から中高年に交代

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091226-00000595-yom-soci

映画「私をスキーに連れてって」が公開され、空前のスキーブームとなった1987年から20年余り。
国内のスキー人口はピーク時の3分の1近くまで減り、スキー場の数も約2割減少。当時、ゲレンデの主役は若者だったが、近年はめっきり減り、中高年の姿が目立つようになった。

大学のスキーサークルも低調で、立命館大の公認団体は5サークル約130人。同大学学生部は「かつて夏はテニス、冬はスキーというサークルが数えきれないほどあったが、最近は大幅に減っている」という。

若者にとってネックになっているとみられるのが費用。2008年のレジャー白書によると、スキーに行った回数や費用の平均は年3・8回で計8万9000円。1回当たり約2万3000円と、ゴルフの約2倍かかる計算だ。

私が大学生の頃は、記事にあるような、「夏はテニス、冬はスキーというサークル」が多く、キャンパス内で、楽しげな学生が闊歩していたものでした。お揃いのスタジアムジャンパー(スタジャン)を着ている人が多かったのを覚えています。私自身は、そういう人々とは無縁で、汚いジャンパーを着て、六法や法律書が入ったバッグを肩にかけ、大学内をあてどなくさまよっていたものでした(昔、テレビで放映されていたアニメ「タイガーマスク」のエンディングのイメージですね)。当時から、スキーはお金がかかるものでしたが、「私をスキーに連れてって」といった声に応えるため、一生懸命アルバイトにいそしんだりして、若者はお金を貯めスキーに行っていたものでした。それが、時代の流れの中で状況が一変してしまったということになります。
かつてのような大衆のレジャーというよりも、今後は、ちょっと贅沢なレジャーとして、特に中高年層が、快適な宿泊先でスキーだけでなく温泉や食事等も楽しめる、といった方向を指向しないと、生き残りはなかなか難しそうな気がします。