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弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 日々是好日 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-03-17

[]<名誉棄損>ネット上「深刻な被害ある」最高裁初判断 10:04 <名誉棄損>ネット上「深刻な被害ある」最高裁初判断を含むブックマーク <名誉棄損>ネット上「深刻な被害ある」最高裁初判断のブックマークコメント

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100316-00000131-mai-soci

インターネット上の表現を巡り名誉棄損罪の成立要件が争われた刑事裁判で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は15日付の決定で「閲覧者がネット上の情報を信頼性が低いと受け取るとは限らない」と述べ、ネット上の表現も罪の成立要件は他の表現方法より緩やかにならないとの初判断を示した。

1審・東京地裁は08年2月、「ネット情報の信頼性も低いと受け止められている」と指摘。罪の成立要件はマスコミ報道出版より限定すべきだとした。これに対し高裁は「ネットに限って基準を変えるべきでない」と覆した。

法廷は「ネット情報不特定多数が瞬時に閲覧可能で、時として深刻な被害がある。それ以外の表現手段と区別して考える根拠はない」と判断した。

高裁での有罪判決の際、

中傷書き込み、逆転有罪=ネット名誉棄損−東京高裁

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090130#1233302688

コメントしましたが、1審判決が示した問題意識、基準は理解できるものの、表現媒体により名誉毀損の成立要件を変えてしまうと、逆に、緩和した成立要件を適用すべき媒体は何かということが問題になり、その区別は極めて困難で、実務的には採り得ない基準であったと言わざるを得ないと思います。

ただ、ネット上での表現行為が萎縮してしまうことを防ぐために、そういった行為についての検察権の行使は慎重に行われるべきであると思います。例えば、東京地検特捜部は、週刊誌等による名誉毀損案件告訴を受けても、片っ端から不起訴にしていますが、そういう中で、なぜ、上記の事件が敢えて起訴されたのか、私は今でもよくわかりません。

また、民事上の紛争解決においても、表現行為の後、表現者が指摘を受け誤りを認め迅速に削除等の措置を適切に講じた場合損害賠償を免除する制度を設ける、裁判外の紛争解決方法(ADR)を整備するなど、今後とも改善が必要ではないかと思います。

追記(平成22年7月6日)

判例時報2075号160頁(最高裁第一小法廷平成22年3月15日決定)

審判決(東京地方裁判所平成20年2月29日判決判例時報2009号151頁、判例タイムズ1277号46頁)

審判決(東京高等裁判所平成21年1月30日判決判例タイムズ1309号91頁)

[]裁判員裁判は“損”? 手続き多く勾留が長期化 09:45 裁判員裁判は“損”? 手続き多く勾留が長期化を含むブックマーク 裁判員裁判は“損”? 手続き多く勾留が長期化のブックマークコメント

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100316-00000063-san-soci

公判前整理手続きは通常、起訴の約1カ月後に開始。月1回ペースで数回行われてから公判日程が決まる。裁判員候補者には6週間前までに呼び出し状を発送するため、公判は早くても起訴から約2カ月半後になる。公判前整理手続きに時間がかかれば、その分初公判は遅れる。

大阪拘置所によると、被告勾留期間が制度開始以降に延びていることを示す具体的なデータはないが、長期化の傾向は顕著になっている。

こうした状況を受け、最高検は1月、全国の検察に迅速な証拠開示を指示した。検察幹部は「スムーズに進めるためには、弁護人が分かりやすく証拠開示請求をしたり、裁判所が適切にリードしたりすることも不可欠」と話し、関係者の協力を訴えている。

だが、必ずしも関係者の足並みがそろっているわけではない。裁判員裁判を複数担当したある弁護士は「公判準備を急ぐことは被告利益にならない」と反論する。

この弁護士は、起訴後2カ月余りで行われた全国初の裁判員裁判(東京地裁)について「準備期間が短すぎ、十分な弁護活動ができなかった可能性がある」と指摘。「時間がかかっても納得のいく裁判にすべきだ。勾留が長びけば困るが、被告保釈されていれば問題はない」と話している。

全国で、裁判員裁判対象事件が徐々に滞留しつつあるようですから、記事が指摘する「勾留の長期化」問題は、今後、さらに深刻になる可能性が高いでしょうね。

従来の否認事件の公判は、とりあえず第1回公判を通常のペースで入れておいて、検察官立証をできるところから始め、その間に弁護人が準備を行って、当初は証拠意見留保したり不同意にしていたりしていた証拠も、準備が進む中で同意するなどして、徐々に争点が明確になり、最後には帳尻が合い、公判期間についても無用に長期化しないように済んでいる(無用に長期化することもありましたが)という面があって、それはそれでメリットもあったと思います。とりあえず公判が進行することで、裁判員裁判におけるように、公判前整理手続が先行して被告人が警察、拘置所で売れ残り在庫のような状態になるということがなく、わかりやすさという点でもメリットがあったと言えるでしょう。

記事にある「被告保釈されていれば問題はない」というどこかの弁護士の意見も、それはその通りなのですが、裁判員裁判対象事件の犯罪の重さや、保釈保証金が容易に調達できない場合が少なくないことを考えると、保釈の促進は必要ではあるものの、そう簡単には片付けられないのではないかと思います。

名案はありませんが、当面は、法曹三者がマンパワーをできるだけ裁判員裁判に投入することで、滞留状態を解消へと向かわせ、勾留長期化を防止するしかないと思います。人はお金だけで動くわけではありませんが、お金というものはいろいろな問題を解決する上で大きく作用するものであり、裁判員裁判での国選弁護報酬を、事案の複雑困難さに応じて大きく増額することも、優秀な弁護士の確保につながり、検討する価値はあると思います。

酔うぞ酔うぞ 2010/03/17 16:25 >ネット名誉毀損・最高裁判決

>なぜ、上記の事件が敢えて起訴されたのか、私は今でもよくわかりません。

わたしは、被告の応援側として民事裁判・刑事裁判とも傍聴し、被告とも話しをしていますが、なぜ起訴されたのか?はさっぱり分かりません。

そもそも、送検されたのも、一発ではなかったようです。

また、被告は脅迫を受けて、被害届を出しています。
こちらは立件されていないですね。

OguraHideoOguraHideo 2010/03/19 08:55 この件は、単なる中傷の枠を超えていたからではないですか。>酔うぞさん

この件とはずれますが、民事的に発信者情報を速やかに開示することをインターネット事業者が考えていかないと、当事者間の話し合いで本来解決できるものまで刑事事件化せざるを得なくなります。だから、「令状によらなければ発信者情報を開示すべきではない」と主張される方は、インターネット上の中傷案件は刑事事件として処理されることを望んでいるのとほぼ同義なのだろうと思います。

そういう意味では、果たして刑事事件として処理された以上、被告の方は本望だと思うべきだったのでは?

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