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弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 日々是好日 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-06-24

[][]岡崎市立中央図書館事件について 01:39 岡崎市立中央図書館事件についてを含むブックマーク 岡崎市立中央図書館事件についてのブックマークコメント

http://librahack.jp/

事実関係について詳細には知り得ないので、あくまで感想にとどまりますが、犯罪としての業務妨害が成立するためには、用いる手段が、社会通念に照らし違法と評価されるものである必要があり、しかも、そのような業務妨害行為が、業務妨害の故意犯罪を犯す意思)に基づいている必要があります。故意については、未必の故意(業務を妨害しているかもしれないが、それでも構わないという内心の状態)も理論上は含みますが、客観面及び主観面の両面で、当該行為が業務妨害としての実態を備えているかどうかということが慎重に見られなければならないでしょう。

上記のサイト内の

なぜプログラムを作ったか

http://librahack.jp/okazaki-library-case/purpose.html

どんなプログラムを作ろうとしていたか

http://librahack.jp/okazaki-library-case/private-web-application.html

負荷について考えたこと

http://librahack.jp/okazaki-library-case/stress-test-thinking.html

等を見ると、自分なりに図書館サイトを活用したいという意図の下、プログラムを組み生じる負荷についても考慮しつつサイトアクセスしていたという経緯が認められ、その具体的な内容から見て、あながち虚偽を述べているとも思えず、上記のような意味での「業務妨害」とは異質なものがあります。あくまで推測にとどまりますが、図書館サイトサーバー自体が、公立図書館という、不特定多数の人々が利用しそれだけにサイトへの様々なアクセスが予想されるにしては、あまりにも貧弱、脆弱なものであり、そういった事情を、上記のようなプログラムを組みアクセスする立場からも、察して差し控えたほうがよいことは差し控える、という配慮があれば、サーバーが何度も落ちるという事態が発生せず立件ということもなかったのではないかと思われますが、それは、犯罪故意に基づく犯罪行為という高いハードルに達するはるか以前の、故意ではなく過失とか、違法ではなくモラルといったレベルの問題であり、これでいきなり立件、逮捕勾留というのは、この種の行為がインターネット世界ではよく行われているという実態への目配りを欠いた、あまりにも粗すぎる、人権への配慮も欠いた措置という印象を受けるものがあります。

サーバーが何度も落ちた、という現象面だけに着目すれば、いかにも大きな被害が生じ業務が大きく妨害されているように見えても、これだけブロードバンドが普及した時代に、公立図書館

先進図書館を支えるシステム化により、貸出・返却・問い合せ・情報発信の各種業務で、利用者の利便性向上と図書館員の作業省力化を実現

http://www.mdis.co.jp/case/city-okazaki/200908.html

と吹聴(吹聴しているのはシステム開発者ですが)するようなシステム不特定多数の用に供している以上、プログラムにより通常あり得る程度のアクセスをされる程度でサーバーが何度も落ちてしまうような貧弱な業務が、業務として保護に値するか、という問題も生じるでしょう。

起訴になったとはいえ、様々な疑問が次々と生じてくる事件であり、捜査当局としても、この種のことが立件され逮捕勾留までされてしまうことに対する多くの人々の疑問、不安に対し、きちんと説明すべきは説明しないと、世に不安を生じさせただけの欠陥捜査でしかなかった、と言われても仕方がないのではないか、と思います。