龍馬史

龍馬史 (文春文庫)

龍馬史 (文春文庫)

この著者が書き、話すことは、史料に基づき、また、思考過程にも合理性が感じられて、私は好きなのですが、この本を読んでいて、それを改めて感じるとともに、私のような法律を生業としている者との手法の共通性も感じましたね。
坂本龍馬は、小説やドラマなど(特に司馬遼太郎作品)により形成されたイメージが大きく先行している面がありますが、著者は、史料(坂本龍馬が書いた手紙など)に基づき、リアルな坂本龍馬像を提示しようとしていて、それは、成功していると思います。豪快であるが繊細、自信家であり脇も甘い(それが最後には暗殺にもつながってもいるわけですが)、といった、等身大の坂本龍馬を、本書を通じてリアルに感じることができました。
暗殺の「黒幕」が誰であったかについて、本書では、幕府見廻組説を合理的に論証し、他説を一つ一つ排斥していますが、読んでいて、確かに、当時の坂本龍馬が置かれていた状況や動機から見ても、見廻組の犯行なのだろう、ということを(私は前からそのように考えていたのですが)、改めて強く感じました。もう少しの慎重さや警戒心があれば、暗殺は十分に避けられたと思うのですが、坂本龍馬という人物が、その人物として有りのままに生活していたが故の最期であり、避けようはなかった、とも言えるのかもしれません。
とても読みやすく、坂本龍馬を知る上では有益な本なので、興味ある方は是非読んでみてください。

2013年07月19日のツイート