「デザインはマーケティングではない」とはどいういうことか

デザイナーの持つ矜持を垣間見ました。

デザインの教科書 (講談社現代新書)
デザインの教科書 (講談社現代新書)

デザイナーに要求されることは、…切羽詰まった貧困な生活を以下により良くするかという、まさに具体的なデザインの提案なのだ

マーケティングは市場開拓するが、デザインにはマーケティングにできないことがある。

『残り90%展』はその最も顕著な取り組み。


Design For the Other 90% | Cooper-Hewitt, National Design Museum

モダンでエレガントな「豊かな人」10%にではなく、その"残り90%"にアプローチしようという取り組みである。世界の人口の半分が一日二ドル以下で暮らしているという現実に真正面から向きあう。

それは「具体的なデザイン」を有するからこそできるもの。
「デザインはマーケティングではない」という言葉にデザイナーの矜持を感じるのは、デザイナーが「何ら実用性のない」華美な世界から意識的に飛び出すことを示しているからだろう。



■ 蛇足:オレはこう思う

  1. 本書冒頭で紹介されている、インテリアがアイデンティティを示すものだから、シャーロック・ホームズなどの探偵小説が成り立ったという『家具哲学』のエピソードは面白かった
  2. その他、本書はデザインを専門にやってこなかった人間にとっては、そういった個々のエピソードが面白いといった感
  3. ということで本書を通して「デザインの視点」が培われるかは疑問(たぶん「教科書的」ではない)

@ymkjp