大和但馬屋日記

この日記について

2000年07月10日月曜日 ひたすらグラインド,の巻

今さら繰り返すこともないが,鉄道が好きだ。現役ファンと言えるほどの濃さは持ち合わせていないにしても,好きであることに変わりはない。

いわゆる「鉄ちゃん」と呼ばれる人種も実際は多岐にわたる。大まかに「車両派」「写真派」「収集派」「旅行派」「時刻表派」「歴史派」などに分かれるが,もちろんいくつかの属性を併せ持っている人が多いことは言うまでもない。しかし,一方で派閥ごとの抗争というのも絶えないが,それはまた別の話。

いつだったか,オレはどれに属するのかと訊ねられたことがあり,そのときは「強いて言えば車両が好き」と答えた。しかし,今思えばそれは間違いだった。もっと根元的な何か。他の乗り物ではなく鉄道を選ばせた理由。そんな何かがあったはずだ。

それをやっと思い出した。


線路が好きだ。常に同じ幅を保った2本のレールが,分岐や交差をしながらどこまでも続いていく様子が好きだ。ループやスイッチバック,渡り線なんかを見ると辛抱たまらんものがある。

ジェットコースターも好きだ。乗るのは怖いが,立体的に縦横無尽に巡らされたレールの上をハコが転がっていくのを眺めるのが好きだ。

電線が好きだ。下から眺めていてもどこがどうなっているのかわからないが,しかし必ずどこかに繋がっている,国家レベルの巨大な電気回路

迷路が好きだ。真っ白な模造紙を見て,全体を迷路で埋め尽くしたくなったことがある。半分も根気は続かなかったが。

インターチェンジジャンクションが好きだ。あまり面白みのない自動車関連の施設の中でも希有の存在。クローバー型やトランペット型なんか最高だ。

サーキットは必ずしも面白いものではないが,立体交差がある鈴鹿やとにかく形が美しいセパンなんかは別格だ。どちらもコースを2分して小さなサーキットにできるのも悪くない。

あみだくじももちろん好きだ。チクタクバンバンも素晴らしい。

近所の池から流れるドブみたいな川が,大きな川まで続くのを辿るのが好きだ。

歩道と車道を分ける縁石のようなブロックの上だけを渡り歩いてどこまで行けるか挑戦するのが好きだ。

こういう「線をたどる」ことに対して病的なまでの快感を覚える子供だったことを,今になって思い出したのだ。

だから,「ジェットセットラジオ」は最高だ。


インラインスケートで街中を自由に走り回り,そこら中に落書きをするというコンセプトが,たぶん初めにあったのだろう。従来のスケボースノボーなどの「滑りもの」には必ず「華麗なトリック」と「レール状の物体上を滑走(グラインド)」という要素がある。ドライブゲームにおける「ドリフト」と同様で,これがなくては一人前とされないわけで,「JSR」にも当然のごとくそれらの要素が含まれた。

「JSR」がスゴいのは,「レール状の物体」をこれ以上ないくらい拡大解釈してみせたことだ。手摺り,フェンスくらいは当然として,電線,家の棟,道路の盛り上がったセンターライン,側溝のちょっとした段差,鉄骨,換気用のダクトの配管,ダンプカーの荷台の側板,そして地下鉄のレール。とにかく乗れそうな「細長いもの」に向かってジャンプすれば,吸い込まれるようにそれに乗って滑走できる。ラインが途切れない限り,どんなに曲がりくねっていようと絶対に落ちることはない。しかも乗っている間は完全に無敵で,アイテムもライン上に配置されることが多いとあっては,これに乗らない手はない。

エリアとエリアを繋ぐ,時には下水道だったり工事中の裏道だったりする細い通路も最高だ。「意外なところに通じる道を辿るわくわく感」を,子供の頃に味わったことがないか?

「JSR」の神髄は落書きにあらず。実際,どんなにコマンド入力が上手くなっても,落書きという行為自体にはそれほど面白みが感じられない。「既に用意された絵を貼りつけている」という感覚から離れられないからだ。大体,絵を描く楽しみなどゲームに求める必要もなかろう。落書きはただのクリア条件にすぎない。


「JSR」は,子供の頃に感じていたフェティシズム的快感を丸ごと掘り起こして,それを存分に堪能させてくれた。始めるまではまさかこんなゲームだとは思っていなかったが,このアイデアを盛り込んだ人はやっぱりオレと同じ感覚を持っていたということなんだろう。そして,各ステージの最後に待っているのは「鬼ごっこ」だ。

「ジェットセットラジオ」は,90年代風(あえて2000年代とは言わない)のシブヤ系テクノの皮の下に,子供の頃の遊びの原体験を完全にデジタル化して封じ込めた快作だ。見た目の雰囲気に惑わされてはいけない。

少年時代のノスタルジーに浸りたい30前後の大人たちよ,「ぼくの夏休み」に伸ばしかけたその手をこちらに伸ばしてみるのもいいかもしれないよ。


それはそうと,クリアしてみたらDJの声は「何とかブラウン」というガイジンみたいな名前の人でした(つーかモノホンのガイジンか)。たぶんその筋には有名な人なんだろうな。”K”なんて名前のキャラだからてっきり小林克也かと思ったんだけど,所詮そっち方面のオレの引き出しなんてそんなもの。

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