大和但馬屋日記

この日記について

2006年06月14日水曜日

yms-zun2006-06-14

シューティングゲームにおける戦闘美少女の歴史・大吟醸

昨日のアレで終つたと思つたら大間違ひだ。つか、いくらなんでもキモヲタ視点で語りすぎててアレなので、少し違つた角度で捉へ直してみる。昨日以上に話はとつ散らかるし、事実確認でなくオレ史観度を増してるので間違つても「勉強になる」なんて思はないこと。つか読まなくていいつてば。

あ、タイトルは「蜂」ぢやなくて大鳥居さん。つか「蜂」は大往生。

立場表明

ワシは衒学趣味の方々が語る社会学的な「萌え」論をほとんど信じちやゐない。何かが流行り廃る様にいちいちもつともらしい理由を見出すのは面白いことかもしれんけど、大抵の場合それは真実ではないと思ふ。

だから、昨日の言及先にある「考察」部分は悪いけれども嘘つぱちだと思ふ。

  • 1990年代前半まで:囚われの美少女を男性主人公が助けにいく。
  • 1990年〜2000年:男性キャラクターに混じって、女性キャラクターも一緒に戦う。しかしあくまで戦闘機に乗って。
  • 1990年後半〜:女性キャラクター自ら、女の子の姿のまま戦うようになる。
  • 2004年〜現在:どこもかしこも戦闘美少女だらけ。

一番最後だけは現状を見たままなので「雨が降つてますねえ」「さうですねえ」といふレベルで同意するが、それ以外については昨日指摘した通りで、「別にそんなことは無かつたよ」としか言へない。

如何にも社会学的なタームを折混ぜて少なくとも1990年代の中頃ぐらいまでは「硬派な男の世界」というマッチョイズムが浸食されることは無かったし、浸食されることを期待する向きも少なかったなどと言はれても、あまり同意できるところはない。それあ、一途に「硬派な男の世界」を求める人も居ただらうが、たぶん同じ割合で「萌え」を求める人は居ただらうし、それ以外の(割合的に大半を占める)人はゲームで遊べれば世界なんかどうでも良かつたんだよきつと。

なんとかイズムではなくて、表現手法といふのは積重ねられていくものだといふのがひとつ。それから、もつとリアルで深刻な話がひとつ。今日するのはさういふ話。

昨日の繰返しになるけど

時代背景の整理。

  • '80年代後半のアーケード業界は改定風営法の余波や「不良の溜り場」問題もあつて、特に大手メーカーを中心に過剰なまでに「健全な娯楽」を目指してゐた(脱衣系は除く)。
  • 当時、ゲーセンの客のほとんどは男だつた。
  • 当時、漫画やアニメの社会的地位は今に比べればとんでもなく低かつた。
    • 仮に男の殆どが(現在の緩いレベルでの)ヲタだつたとしても、それを表に出すことははばかられた。

等々、初期のゲームにかういふ事情があつたから云々と昨日は書いた。しかしこれも実は深く考へすぎだと思ふ。

もつと単純な話だよきつと。ゲームつてさ、モチーフが何かに関はらず、ただ面白かつたんだよ、その頃は。で、「もつと面白いゲームを作らう」つてことばかり考へてたんだ、作る人たちは。その中で色々キャラクター性とかも考へる様になつて、絵もどんどん凝りたくなつて、その中での選択肢に「戦ふ女の子」が入ることだつて普通にあつた。

でも、人間の想像力が仮に無限であつても、なかなか突拍子もないことはできない。どうしても既にあるものに縛られる。シューティングゲームとして、「女の子がバシバシ弾を撃つて敵を倒す」といふ絵面をいきなり作れるだらうか。何もないところからそんな馬鹿な絵を生み出せはしないし、その必要もなかつたのだ。

スペースハリアー」を例にとる

「スペースハリアー」の開発当初は、その前にセガが出してゐた同種のゲーム「ズーム909」の流れで、自機が戦闘機としてデザインされてゐたといふ話は有名だ。それをいきなり空飛ぶ超能力戦士に変へてしまつたのが鈴木裕氏なのだとしたら、それは確かに慧眼だつたのだらう。ちよつとセンスがぶつ飛んでゐる。

で、一度「人間が空飛んで弾撃つ」といふ絵面が認知されれば、すぐさまファミコンに「アタックアニマル学園」なんてものが出てくる訣だ。セーラー服の女の子が、先の面ではブルマスク水に変化するといふ馬鹿さ加減だ。しかしもちろん、そんな作品がヒットしたりはしない。あくまでニッチ狙ひの作品である。

絵的な説得力

シューティングで人間を主人公にするなら、普通は地面を歩かせる。「戦場の狼」や「ガンスモーク」の様に。その頃、代表的な「奇々怪界」の他にちやんと「聖戦士アマテラス」といふゲームがあつて、しかしドット絵よりもインストカードのコスプレ姉ちやんの写真にハァハァしたもんだ(余談)。

その後縦シューといへば東亜セイブ開発かといふ時代が続いて、見た目の奇を衒はずともインカムが稼げたので人間を空に飛ばす方面の探求はなかなか見られなかつたけれど、「戦国エース」から「ガンバード」へ至る流れで乗物が簡素になり、横視点だけれど「戦国ブレード」で空を飛ばす理屈を考へるのをやめた時に、STGの視覚表現はたぶん自由になつたのだ。「もう、飛ばしたかつたら好きに飛ばしたらええやん」といつた具合に。これも言はば「スペハリ」的展開だらう。

一方、横視点の方は「戦国ブレード」がむしろ例外に終つた感じだ。「箒に乗つた女の子」の絵があまりに収まりが良かつたためか、ここからの発展が(今なほ)少ない気がする。この辺にも「既にあるものに縛られた想像力」を見てとれる。

実験場としての「家庭用」

アーケードに比べれば法的な制約や社会の厳しい目から自由だつた家庭用ゲームやPCゲームの分野では、「アタックアニマル学園」レベルの突拍子もないゲームが生れる余地が幾らでもあつた。「アランティア」とか「ニューラルギア」とか、分りにくいタイトルを並べてみる。

その極北が「ガーディック外伝」であり、ゼルダ的フィールドアクションと縦シューティングを合体させるといふアイデアへの回答としてフィールドを歩く女の子を縦シュー面ではバルキリーよろしく戦闘機に変形させてしまつた。これなどは絵的な説得力をどう持たせようかと考へた挙句に大暴投をやらかしたんではないかと邪推するが、ある種の萌えストライクゾーンを直撃してもゐるから困つたものだ。しかしこれはやはり当時のアーケードに置ける類のものではなかつた。

「場」の相応しさ

切掛けさへあれば「戦ふ女の子」を出したいと願ふクリエイターは昔から居た。ただ、その頃のアーケードがそれに相応しい場とは作り手も受け手も認知してゐなかつた。

作り手や受け手の欲求と別に、「場」の性質によつて作品が生れにくい状況は他のところでもある。例へば、「戦ふ女の子が主人公の特撮テレビ番組」などはなかなか定着しにくい。インディーズ方面では元気なジャンルだから作りたい人と観たい人は確実に存在する筈だが、様々な理由で本流とはなり得てゐない。

特に大御所である「ウルトラマン」「仮面ライダー」において、女性型のヒーローは居ても彼女らが主役になつたことはほぼ皆無だらう。今後もさうあり続けるかは分らないが、今まではさうだ。

昔のアーケードも、さういふ場だつたのかもしれない。

もう一度話を「フェリオス」に戻すと

あの頃既に「もうビデオゲームのアイデアは出尽した」なんて意見があつた。'86年の「アルカノイド」に始まる'80年代前半のゲームのリメイク作のブームの真只中のことだ。ナムコも「クエスター」や「ギャラガ'88」などを出してゐた。その頃には既に「ビデオゲームの時代は終つた」といふ論すらあつた。

先に書いた「もつと面白いゲームを作らう」つてのに疲れが見えてきて、ゲームの基本ルールを過去に求めたり、システムはそこそこ固定させてストーリー性みたいな部分を強化したり。その結果として、STGに脱衣麻雀的演出を折込んだ「フェリオス」が生れたといふことも出来よう。

「フェリオス」後

「フェリオス」が生んだのは単なる萌えだけではなくて、むしろ「STGのゲームの進行を止めてまでビジュアルシーンを入れてもいいんだ」といふコンセンサスの方が重要だらう。「かういふところに貴重なメモリを割いてもいいんだ」といふのも然り。

コナミは「出たな!! ツインビー」でその手法を採り入れ、「ゼクセクス」に繋げた。しかし「ゼクセクス」のあまりに下手糞なビジュアルに萌えた人が居るらしいことをワシは未だに信じられずにゐるのだが、どうなんだらう。

窮すれば萌えに走る

時につれて表現手法の幅が広がったり、絵的な説得力に関しての意識がルーズになつたりといふ条件が整ひ、ではなぜそれが今の「100%萌えシュー」に結びついたかといふと、それあもう「STGが萌えに頼らなくては存続できない程に衰退したからだ」としか言へない。

先に「見た目の奇を衒はずともインカムが稼げたので」といふ書き方をした通りであり、「フェリオス」が生れた背景とも重なる。はつきり言へば「萌え」的なものを前面に出すのはアーケードにおいては最後の手段であり、事実率先してそちらに走つたナムコは'90年代前半には既にビデオゲームからは半分足抜けしてゐた*1。脱衣麻雀に走つたジャレコ彩京もとうに見る影はない。一方、今やネットワーク対応の麻雀ゲームは脱衣を捨てて堂々とアーケードのフロアの大面積を占めてゐる。さう、インカムが稼げるならアーケードに萌えなんて要らないのだ。

大往生

死にかけの家庭用ハードにギャルゲーが群がるが如し、といふ状況が旧態然としたビデオゲームには訪れてゐる。「アルカノイド」から二十年、むしろよく保つたと思ふ。でもそろそろ本当に終りかもしれん。

そんな、ゲーセンの片隅で消えゆく運命にあるCRT筐体の一つ二つで起きてゐるにすぎない現象をさも大事の如く取り上げて、「何故今萌えが主流に」と騒ぐこと自体がナンセンスなんぢやないのかと、ここまで来てやうやく思つた。遅えよ。寝る。

  • 2007年02月19日 nibo-c ゲーム, おもしろい
  • 2007年02月19日 catfist game
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  • 2008年11月05日 g616blackheart メモ。
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  • 2006年06月14日 p_shirokuma オタク文化 そうかなー、傾向としては俺、ああいう流れでそんなにズレてないように思えたけどなー。少なくとも、俺の見聞きしたゲーセン世界では。
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どうでもいいけどキーワード「ダンシングアイ」の説明が

巧妙にゲームの特徴の明記を避けてて笑つた。いまむらさんたら‥‥

それについて語るな、それをやれ!

とは、「エンダーのゲーム」の中でエンダーの苛め役として登場して悲惨な最期を迎へた某(名前忘れた)の台詞。文が硬くてひどい「エンダー〜」の訳文の中でも一級品の「イケてない」文だが、言つてることは正しい。

ゲームもせんと二晩も長文書いたことを後悔。

あのあげだまが!?

少女漫画の主役の女の子役に佐々木望つて! いくら何でも冒険しすぎだよ大地監督!!

と思つたら「のぞむ」ではなく「のぞみ」さんといふ新人でした。ビックリさせやがる‥‥

つか佐々木望と見て真先に連想するのが「あげだま」てのはどうなのか。

今日のゲーム(六月十四日)

罪と罰 地球の継承者(N64,TREASURE/Nintendo,ASIN:B000069RZ0)

ゲームの神様がゲームをしろと仰つたのでやつた。

やつた! 初めてハードでクリアしましたよ。もちろんコンティニューしまくりだけど。ゲームの神様有難う。

‥‥駄目だワシ、本当に好きなゲームで遊んで心の底から満足した時に、それを書きつける術を知らないや。今がまさにさうなんだけどさ。

さて仕事仕事。

*1:「ダンシングアイ」が登場する余地がこのストーリーにあるとしたらここですぜい

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